【コラム】山梨道志村 大渡水くみ場 おいしいおみずは誰のものか。

 

大渡水くみ場は道志みち沿いにあり、わたしにとって大変都合がいいんです。都内在住者にしては割と頻繁に通りかかるため、山中湖からの帰り道など、ありがたくおみずをいただいて帰ります。

湧き水って魅力的です。

ただもう冷たくて美味しくてっていうのもあるけれど、大地や自然の地形や天候、そういうものの中でサイクルが生まれて恵みという形で僕らに素晴らしいものを与えてくれる、そういうのに素直に感激してしまいます。

人間はそういうものに畏怖や憧れを抱きつつ、自分の手元に引き寄せようと努力して、いつしか自分の手の中で生成しようという考えになり、ちょいと行きすぎちゃったのが今なのかなあ、とおもっています。この夏の暑さも食糧のバランスと不足も、やりすぎの結果でいま人類、転落のキワにいるんじゃないかなあ、なんてね。

信心深いとはけっして言えないわたしなのですが、そんなことも考えます。自然と科学、信仰とテクノロジー。そういうものを俯瞰するのは面白いし自分の真実に近づく方法だとおもっております。あくまで「自分の」、ね。

それで、通りがかる神社やお寺さんを通過するときは腹の中で「こんにちは、ちょいと失礼します」などもぐもぐと言ってみたり、山の中のトンネルを潜るときはなんとなく山の重さが肩にかかる感じがしたり、湧き水を分けてもらうときは「ありがたいなあ、すいませんねえ、わけてもらって」など素直に思うわけです。いろいろな恩恵、いただけて感謝してこその日本人なのであるよ。

 

「大渡水くみ場」

 

はいつ行ってもその水量に驚かされます。いつでもドドドド!!というかんじでほとばしっとります。親切に2口、取水口を作ってくれていて一方は口の狭いハンディタイプのボトルなどに程よい水勢、もつひとつはダムの放水が如き凄い勢いでわたしの12Lタンクなぞものの30秒でたちまちいっぱいという勢いなんです。

すげえなあ、この水勢、水量。しかもこの夏場でさえきっちり冷たくてね、大変おいしいんです。なんともはや素晴らしいのだよ。ああ、ありがとうありがとう。

おいしいお水は山や自然がくれたみんなのものです。でもこのお水を守ってくれているのはこの場所のこの地域の人たちです。だから、当然でありますが敷地にある施設維持のための募金ポストに必ず小銭を入れてくるのです。これは絶対欠かさないぞ。小銭みんな入れちゃおうっと。

わたしのクルマにはいつでも水タンク、ないしはプラのウォーダーバッグを忍ばせてあります。クルマの常設装備で水タンク、お風呂セット(ズボンTシャツまでフル着替え装備)、食べ残しを持ち帰るドギーバッグがわりのダッパー(インドのお弁当箱)、保冷バッグは必須の人生なんであるよ。そういうことです。持ち物を見ればその人んぽ人生が見えるのです。なんなんだろう、あたしの人生は。

うちにお水を持ち帰り、お茶を入れてみたりします。正直それほど舌が肥えているわけではないわけですが、でもやっぱり「おや?」という味になるんだよねえ。おいしいのだよ。現地で沸かせばもちろんさらにおいしいに決まってます。そういう装備も予備装備としてクルマに積むことも多々あります。

見習うべき心のお師匠さん、スズキケーコ師匠には追いつけるどころか後ろ髪の先っぽも見えないわけなんですが、でもマネして楽しくやっているのであるよ。自分の「スキなもの」にどれだけ正直になれるか、などお師匠をみているといろいろと考えさせられるのです。

 

とはいえ楽しいがいちばん。楽しければどんどん掘りたくなってくる。先に進む。ますます楽しくなってくる。そういうことです。お茶、好きです。美味しい水で淹れよう。