塚本シェフの顔を久しぶりに見に行ったのです。ご存知の人気店ではあるんですが、この日は運良く1席のみ空いていた。いやあ、よかったよ。
カレーですよ。
なにがよかったって、この炎天下での行列を避けられてまったく有難い、というはなし。並ばず座ったんですが、やはりよく回転している様子。席が空いては埋まりを繰り返していますね。ランチどきピークの2、ないし3回転目という感じの時間帯でしたが幸運だったなあ。
相変わらずの繁盛店だね、
「初台スパイス食堂 和魂印才たんどーる」
ダメになったわたしの耳とつかもっちゃんのボソボソ喋りとダクトの音で会話がままならないのはいつものこと。なかなかに厳しいわけですが、適当にとぼけたり、奥様のみやちゃんに助けてもらったりして気分のいい時間を過ごせるのです。
さて、食事。ちょいと暑さにやられ気味でわたしとしてはちょいと意気地がない少なめの2種チョイス。
「カレー2種盛りのセット」
に決めました。
カレーは「豚肉のトマトカレー」と「小豆と大豆と干し相の黒ゴマカレーガリのせ」を。味玉も追加。いいね、いいんじゃない。
食べればやっぱり感心してしまう、塚本シェフ独自の世界。カレーでありインドに根っこも持つわけですが、やはりこれは和食でくくっていいのではなかろうか、そういう味。いつものようにそう思うわけです。いや、いつもではなく日に日にその感が強くなってるな。
とても好みでとてもいいのです。
自家製ドレッシングがおいしいサラダはやっぱり好きだしできればボウルいっぱい食べたいと思ってしまうよ。
付け合わせが嬉しいことに「オトナのスパイスナポリタン(鶏皮と昆布入り)」だよもうサイコー。思わず腹の中で快哉を叫びます。甘いスパイスの香りも高い、不思議なナポリタン。塚本シェフのスパゲッティは絶品なんであるぞ。
「大根と人参と高野豆のスパイス煮」これはもう完全に和食。わたしなぞはカレーばかり食べておりスパイスに対してなにかこう、もっともっと的なバカ舌と鼻になってしまっているんですが、塚本シェフはさすがの感度。ほんのり、というスパイスの使い方が実に上手です。浮きもせずかといって沈ませず。こういうのが難しいのよね。和食に向かう扉が薄く開いて見える感があります。
さて、この満足感。はらいっぱいではなくて、そうではないところの満足感が大きいのです。はらいっぱいにももちろんできるわけですが、そうじゃなくて、技術やセンスを楽しむ食事。貴重だと思うよ。