葛西・西葛西周辺はいまでこそインド租界とも呼ぶべき様相でありますが、例の2000年問題インド人増加エピソード(眉唾という話もある)の当時、それほどインドレストランがたくさんあったわけではないんです。
カレーですよ。
主要な店は「スパイスマジックカルカッタ」(1999年創業)くらいのもんで。それにあとちょいちょいという程度だったなあ。食材店もほぼなかったし。西葛西は「インド人が住んでいる町であってカレーが食べられる豊穣の地ではない」という認識でした。
時は流れて2024年。いまではなかなかに面白い店も出来て地域くくりで盛り上がっているようです。「カルカッタ」、「ミタイワーラー」、「レカ」、「アムダスラビー」と面白いお店にいとまがない地区です。さて、また面白そうなお店が登場。屋号は
「コッチヨ ハラール多国籍料理」
とありました。
店内、なかなかモダンで洒落ています。うちの近所の「ジャシャン」に印象が重なります。モダンでコンパクトなお店で、ハラール。あ、たぶん好きなタイプのお店だ。
メニューも面白いんですよ。サラダとスープがメニュー冒頭にあるのはお店のスタンスが見えてきます。キャンティーンじゃないよ、と言っているんだなこれは。
マンチュリアンポロッタなんていう面白そうなメニューもまるし。ビーフを使うのがなるほどムスリムな感じ。ビーフのビリヤニなどあまり他で見かけないものね。
日本風カレーライススタイルでジャポニカ米にカレーをかけてポリヤルを添えるという戦略的価格のメニューも。690円からは驚かされました豆のカレーです。鍋ポロッタなんてのがあって、これはあれか、タジン的なものか。シェフなのかオーナーなのか、センスが素晴らしいですね。
「ギーライスセット」
を頼んでみました。
「香り豊かなバター風味のスパイスの効いたライス料理、カレー2種、サラダ、ピクルス付き
Select any two Curries」とメニューにあったよ。カレーはビーフとフィッシュをチョイス。
フィッシュカレー
ココナッツと酸味。すっぱと、甘まと苦ががあります。まず酸味がサッときてちょっと酸っぱすぎか、など思いつつ食べ進むと口の中で次第にその酸味が馴染んでくる感じ。ここにギーライスをトッピングのフライドオニオンやレーズン(中東的だ)を一緒に含むと酸味と甘みでどうにも良いバランス。うーん、これたいへんおいしい。
ビーフカレー
胡椒スープ的な味付け薄めのクリアスープにビーフのエキスが強く主張してくるスープ。カレーというよりスープ。で、しつこくないんです。どんどん飲めるスープで、韓国料理店で出てくるコムタンスープではない白濁りのないビーフスープがありますが、あれを思い出すな。これもかなり好みです。結果カレーとスープ的なコンビネーションになり棲み分けができた良いバランスとなりました。
しかしギーライス、いいなあ、美味しい。塩加減が絶妙です。
アジアエスニックというものに随分慣れた我々日本人を、もう一度「エキゾチック」に引き戻してくれる力があると感じます。そういうのいいよなあ。
次の再訪が待ち遠しいお店です。