改めて、やっぱりいい食堂だなあ。いいお店がわたしの拠点である神田岩本町・デジタルキッチン徒歩圏内にできたもんです。ありがたい。
カレーですよ。
わたしの12年半、150回続いている雑誌連載「エキサイティングマックス!」誌の取材もお願いしてしまったのです。連載、実は今回が最終回です。終わっちゃう前に多くの人にこのお店のことを知ってもらいたいからね。だから、取材。
実はあの連載、「多くの人に知ってもらいたいから」など言ってみたんですが、それよりももっとエゴイスティックなのよ。わたしのあらゆる場所で書く文章の根底とも言えます。個人の趣味性が出てると言ってもいい。それはなにかというと、「もっと詳しく聞かせて!」というもの。そのお店のことをもっと知りたい、ごく個人的興味において。
20年近く(20周年が来年に迫った)ブログを書き続けてきましたが、ブログに、といってお店に行くのと取材でお邪魔するのとでは聞ける内容や情報の濃度が違ってくるんです。以前よりその差は埋まってきているとはいえこれはもう、体感してるのでまちがいなく。媒体に書くということはそういうことだと感じます。
さて、
「タジー食堂」
というお店のことをかなり気に入っているのです。だから取材の形で早々に入れてもらいました。コンセプトもいいんです。日本の美味しいお米で食べるタイ料理。納得というものがあるなあ。あたし、ごはん好きだからなあ。
現在、都市部ではモダンインディアやモダンネパーリなど、ブラッシュアップ〜スマートになった南アジア料理が出現する時代になりました。タイ料理はその昔から何世代かのタイ料理ブームの中でフュージョン、ミクスチャーがあったんですが、それを「正統派ではない、わけのわからないもの」として嫌われる流れも見てきました。確かに嫌悪の対象になるようなダメなものも見受けられたことも事実。だからいまタイフュージョンと言ってしまうと誤解を受けることもあるよなあとも感じるんです。しかし「タジー食堂」はちがう。もう時代は一回りしてリセットがかかったようです。とても価値のあるコンセプトとそれの実現がちゃんと叶っていると思いました。
うーん、やっぱりうまい「トムヤム海老米麵」。スープの質の良さにまた圧倒されるのよ。上品。海老出汁の効き具合が絶妙で必要分の旨みがたっぷりと、しかし過剰ではなくそこにあります。タイ料理という姿でやってきてしかし出汁表現にニッポンテイスト。そう感じます。大変に上手だなあ。
「鋼出汁米麺」はさらにシンプルで上品だったよ。「タジー食堂スペシャルセット」のヌードルのセレクトでチョイス。 センレックナームにあたるもの。国産の生米麺、米農家さんとの共同開発。メイドインジャパン、タジー食堂オリジナル。輸入乾麺しか見たことがないタイの米麺、それをオリジナルを作るとは驚きです。手間かけてるねえ。
「特製グリーンカレー」もいいよなあ。香り良くかなり甘く。ちょっとクセになるんです。リーフではなく刻みではいるバイマックルーに驚かされますよ。なるほど!こういうアプローチがあるのか。これはプロの仕業だわ。「チキンのガパオ」もお肉は包丁粗みじんで真面目な仕事が垣間見えます。ちょっともういうことがないぞ。
レストランが最終目的ではなく、2024年のこの重たい空気を吹き飛ばして世の中に楽しさや希望をもたらす一助になろうと本気で行動しているのだと聞きました。
まったく圧倒されます。
うまいもんを食ってわたしもそれを応援。
応援したくなるなあ。
追記
連載終了の件はたくさんの思いもあるので別記事で書きます。雑誌が終了しちゃったんだよ。そういう時代です。