カレーですよ5414(横須賀久里浜 あじのや)食堂の夜。

たまに町の食堂というものを欲っする時があるのです。今では個人経営の町の食堂と言うものは見つけるのにも苦労するようになってしまったよね。

 

 

カレーですよ。

 

 

ちょっと楽しい用事があって、プレスツアーで久里浜まで出かけたんです。東京湾フェリーで行って帰っての房総半島。その帰り道、久里浜港のフェリー乗り場からクルマを出すとすぐに、わたしが求めていたような町の食堂が真っ暗な道端にポツリと佇んでいました。それはもうもちろん迷わずにウィンカーを出して、近づいてみればしめしめ、駐車場があるようだぞ。ならば遠慮なく、とクルマを止めてお店に入りました。

ホールには丁寧な接客をしてくれるお母さん。奥ではお父さんが調理をしているようです。こういう感じ、いい。ホッとする、嬉しくなるなあ。腰が落ち着くと言うものです。おいしい定食にありつけそうな予感が強くします。さて、注文。

こういうお店の常でテーブルメニューは見当たりません。壁の短冊に書かれた品書きがたくさんぶら下がっています。その短冊の中にカレールーのみ、というのがあったんですよ。おっ!こりゃいいぞ、ひらめいた。店頭入り口脇に書いてあったお勧めの「にんにくチャーハン」を頼むことに決めて入ったんですが、まあやっぱりカレーも捨てがたいわけです。あれだ、チャーハンにこれを組み合わせればいいではないですか。避ける理由もなく追加で注文。我ながらナイスなアイディアだぞ。

店内には穏やかな空気が流れています。常連と思しきおじいさん、おばあさんが楽しそうにお酒を飲んでいます。1人で食事を取る若い職人さんもいるね。ひとりテレビをぼーっと見つめつつ、こういう空気を壊さぬように、わたしもそっと気配を消して店内の空気にとけていきましょう。

さて、やってきたわたしの晩飯です。

 

「にんにくチャーハン + カレールウ」

 

この組み合わせ、良いものだったんであります。

にんにくチャーハンは塩味薄め、フレッシュガーリックスライスの散らばるにんにく強めのパワフルなやつ。パワフルなのに下品になっていないのが素晴らしい。これはなかなか簡単ではないチューニングだと思うぞ。手練のお父さんが腕を振っているようですね。

カレーは変哲のない少し挽肉の入ったカレーソース。ところがこの2つを合わせてやると化学変化が起こるのだよ。なんというか、悪魔的な組み合わせなのであります。にんにくチャーハンの不思議なスマートさとカレーの下世話な普通っぽさがなんともいえない調和を生み出すのです。うむむ、これはなかなかに価値あるものだぞ。

乱暴にカレーなぞかけてしまって、せっかくのおいしいにんにくチャーハン、厨房のお父さんに少し申し訳ない気持ちなんですが、それでもその組み合わせ、美味しいものは美味しいし、素の「にんにくチャーハン」の美味しさも間違いのないものです。

小鉢や漬物もみんないい。きちんと真面目に作られていて大変に美味しいです。おから、おいしいなあ。こういうのを食べると自分がいかに強いものとか乱暴なものを中心に食べているかが浮かび上がって反省しきりです。うーん、おいしい。そして少し反省。

会計、やっぱりお母さんがすごく丁寧にしてくれてね、恐縮します。とにかく快適で幸せだったなあ。

店を出て振り返ると、暗闇に輝く黄色い看板がどうにも暖かく見えて仕方がなかったよ。いつまでも地元の人が大事に通ってくれるといいな。

そしたらわたしもまだまだチャンスがあるもんね。