ついにここに来ることができたのです。ずいぶん長いこと毎度クルマで通り過ぎるばかりで、その長い間に牛丼太郎が「丼太郎」になっていたよ。
カレーですよ。
牛丼太郎とたつ屋は好きだったな。メジャーではないセカンドの牛丼チェーン。だから、という言い方もつらいけどほとんどが姿を消して久しくなりました。
たつ屋は東銀座、木挽町病院並びの店によく通いました。なにしろ木挽町病院の向かい側がわたしが焼き鳥を焼いていた店だったからね。あの酔っぱらい看護婦は元気かなあ。何度も羽交締めにして暴れないようにおさえながらふたりががりで階段おろしたよなあ。
焼き豆腐が乗った少しすき焼き寄りの牛丼は好きだったね。それを卵でとじた開化丼と言うのもあったことを覚えています。三つ葉が乗ってたりしてちゃんとしてるなあと思ったよ。今でも新宿南口の跨線橋のたもとの店には通っています。
そして牛丼太郎。こちらは記憶に残っているのは大久保のお店。奥まで長いカウンターがあったっけか。牛丼がやけに安かったよなあ。で、その安っぽい牛丼がね、好みだった。いい意味でビーフのにおいが強かったと記憶しています。それが面白かったんだと思う。
そんなお気に入りの牛丼店、
「丼太郎」
は茗荷谷に1軒だけ残りました。会社はもうチェーンとしての営業活動は停止して久しいのですが、現場の従業員がどうしてもと店を譲り受け、営業を続けているそうです。ありがたいことだなあ。
で、カレーがあるわけです。なにげな胃カレーなのだ。凝ったものでも何でもない。しかし、ここではこれでいい。丼太郎、いにしえの牛丼太郎のメニューの範囲を越えない、なんでもないカレーライス。ここではこういうのを食べたいんだよ。そういうのがとても正しい。愚直朴訥なカレーと懐かしき牛丼太郎の牛丼の味。これでいいのです。
なんだかおいしくなりすぎた世の中の外食、そういう中でいじらない良さのようなもので正気に戻してくれる、そういうカレーライスです。
こういうのがなくなっちゃうのはダメなのどはないかと思っていますす。