高崎のスパゲッティをなめていたのです。色々な意味でなめていた。痛い目にあったのです。
カレーなしよ。
「高崎といえばスパゲッティ」というのをご存知かしら。わたしも詳しくはなかったんですが、群馬とくれば粉もんということらしいんだよね。ああ、なるほど。
おきりこみ(いわゆるほうとう)、おやき、すいとんなどの地域に古くから根付く食文化、日清製粉、日本製粉などの製粉会社の創業地でもあること、サンヨー食品(サッポロー番)、まるか食品(ペヤング)など麺類の地元企業も多く、ご当地B級グルメとして藤岡ラーメン、伊勢崎もんじゃ、太田焼きそば、水沢うどん等と並んで高崎パスタがあるというわけなのです。小麦の生産地であることから、なわけなのだね。2009年から続く「キングオブパスタ」などいうコンテストイベントもあるらしい。なるほどねえ。
わたしの中では高崎とくれば「シャンゴ」のイメージがあるんですよ。いろいろみてると「シャンゴ」はよく「ジャンゴ」に間違えられてるよね。表記間違い多い。ジャンゴはあれだよ。棺桶引きずって歩く古いマカロニウェスタン映画だぞ。
そしてここ、
「スパゲティー専科 はらっぱ 高崎東口店」
も御多分に洩れず高崎スパゲッティカルチャーの影響下にあるお店。しかも人気店。
知らないで入ったのです。18時前という微妙な時間に入ったためなんとなくすーっと入れたんですが、気が付けば満席。帰りしなにふと見ると入り口の階段には行列が階下までできていました。いやはや、やはり高崎はスパゲッティの町なのだねえ。
さてと、注文だ。
「赤唐辛子とにんにくのトマトソース 生麺 大盛り」
にしました。そして後で思い知ります。「我、おろかなり」。いまわたしは高崎というスパゲッティ特異点にいるわけですよ。そういった認識をこれっぽっちも持たずまるっきり失念してニヤニヤとしながら生麺、大盛りなどと言ってのけたのであるよ。さあ大変だ。
高崎のスパゲッティはまず量が多いんです。もともと多いんだよ。高崎の人はスパゲッティをぐいぐい食べるんです。たくさん食べるの。お店もはじめっからそれ知ってて多めに出してくるわけです。お客もそれをわかっている上で、もっと喰うか!の大盛りなんであるよ。知らなかったのだよ。えらいことであるぞ。
驚いた。洗面器、とは言わないけどかなり大きな深皿に表面張力かくやの真っ赤な水面。そこからチーズが島のように盛り上がっています。すごいのがきちゃった。
ニンニクのパンチが効いたトマトソースで食べるほどにクセになります。ああ、これいい。けっして強すぎないしょっぱすぎないバランスで食欲をそそってきます。それよりなにより、熱い。熱いんだよ。なかなか食べられないんだよ。ふーふーしたいがちょいと恥ずかしいぞ。
あ、わかった。このテーブルにあるうちわ。なんでうちわがあるのかって思ってたんですよ。まだ夏はもう少し先だし。いや、汗だくになるんですよ。もうね、あっつい。スパゲッティ、あっつい。汗、止まらない。ちょっとこれもう、どくどくと汗が流れるやつだ。うちわ、必要だからここにあるんだ。うわー、、、
そうか、あっついスパゲッティ、どうやって食べるかと思ってたんだけど、水面に引き上げて少し置いて食べればいいのか。それでフォークとスプーンで麺を引き上げては少し放置、そうやって食べ進んでいくことにしました。そうこうしているうちに少し冷めてきて食べやすくなってきたよ。すると今度はチーズの粘度が増してきたなあ。スプーンとフォークにくっつきまくるのです。なんかおもしろい。ちょっとした格闘だなあこれは。
なかなかにおいしくて、また食べたいと思う味です。やりすぎがないからだと感じます。バランスいいんだね。
他ジャンルの料理をついついカレー舌であるわたしの味覚をシフトさせないまま食べてしまうことも多いんですけど、それは気をつけないとなあ。ここはリセットをかけねばいけないです。で、おいしい。とてもいい。生麺というのも効いているなあ。満足です。おなかいっぱいすぎだ。
今回はイチオシであったしこのお店のスタンダードであったようなのでこのメニューから行ってみたのですが、他のものも食べてみたいな。美味しそうなの多かったよ。
あと、大盛りには気をつけたい。いやほんとうに。
東京に帰ります。