カレーなしよ(神田神保町 スマトラカレー 共栄堂)なんと共栄堂でカレーなしよ。

 

時間がないのであります。相変わらず時間の使い方が下手くそだなんであります。もういい加減諦めています。わたしはこのまま一生、あとの残りの人生を時間を無駄にしつつ生きていくのです。まあ、それはいいの。それでいいです。そんなもんだろう。ちゅっちゅまでお見送りに来てますます時間がないってば。

 

 

カレーですよ。

 

 

神田神保町の東京堂書店に用事があったのです。18時半からのトークショー、

「ラーメンの神様が泣き虫だった僕に教えてくれたなによりも大切なこと」(文藝春秋)刊行記念 田内川真介さん×北尾トロさんトークイベント

という催し。楽しみに予約をしてたんですよ。

それでせっかくの神田神保町界隈、始まる前に腹ごしらえと考えました。ここは当然「お茶の水、大勝軒」へ行かねばならぬわけですが、カレー中華を所望すべきなわけですが、いかんせん時間がないんです。この町で時間がなくて、でもカレーを食べるとくれば。察しのいいツウの貴兄ならもうピンと来たはずです。大正13年創業の老舗、

 

「スマトラカレー 共栄堂」

 

一択であるぞ。

座ればたちまちカレーが出てくるありがたさ。しかし、しかし。今日はカレーは頼まないんであります。ツウのわたしはこう注文するんです。

 

「ハヤシライス」

 

お願いします。

そう、皆さんうっかり忘れてらっしゃる。共栄堂の秘密兵器、ハヤシライス。これ、絶品なんであるよ。忘れるなぞ愚の骨頂。カレー3回に対し1回はハヤシライスを挟むべきメニューなのです。

まったくもって素晴らしい味わい。スイートアンドビターというひとことが一番表現できていると思います。デミグラスという言い方をする輩もいますが、ちとニュアンスが違う感があるんだよね。そんな簡単な言葉では表せない、ここだけの味なのです。

食べるチョコレート、いや、それではそのもの、チョコレートそのものか。ではすすれるチョコレート、かな。それも違うか。チョコレートファウンテンになってしまうもんね。とにかく素晴らしすぎて唇の端っこからヨダレが垂れでる感覚。もう本当にたまらない。まったく楽しい、面白い。おいしいなあ。

分け入っても分け入ってもチョコレートの感。そこにらっきょうを加えてやるとまた別のバランスが完成するんですよ。すごく面白い。添えられる紅生姜はらっきょうや福神漬けのようにハヤシに混ぜずにリセット利用にするのが良いと感じます。

 

目眩くような時間を過ごして気を失う手前、正気の淵からまた突き落とされてしまったんです。小さく声を上げてしまったよ。驚き、まだあったか!

あろうことかカレーを食べ終えた隣の席の若いにいさんのテーブルに焼きリンゴが届いたのです。えっ!なぜだ、とカレンダーを確認。もちろん見る必要もなく、すでにゴールデンウィークは通り過ぎているわけです。5月です。なんということか。

皿を下げにきたホールの女性に少しおどおどしながら「や、焼きリンゴを追加できますか、、」と声をかけました。果たしてすんなりオーダーは通り、私の手元に焼きりんごがやってきたんです。大事件です。5月半ばに共栄堂で焼きりんご。この至福といったら例えようがないわけです。

もう一度1階階段脇の看板を見に行きたいくらいです(看板に「焼きリンゴ 期間限定10月〜4月」とあるのですよ)。

その味、香りは言わずもがな。舌どころか時間までがとけて流れていってしまいそうな美味しさなのです。

いやはやまったく。

あっと、時間、時間だった。あと10分で18時半!席を立たねばいけない。急いで会場にいかないと。

急げ、急げ、、、ってほど離れてないですけどね、東京堂書店。

そして催しは白熱し、時間を大幅に越えて熱く楽しいおしゃべりがたくさん聞けました。それもあって東京堂書店のレジが閉まってしまったんですよ。田内川店主の書籍「ラーメンの神様が泣き虫だった僕に教えてくれたなによりも大切なこと」は次回の神保町で「お茶の水、大勝軒」のカレー中華とセットで買うことに決めました。

北尾トロさんのサインも欲しかったんだけどなあ。