【コラム】タケイファームで世界一おいしい茄子の収穫体験。

先日誕生日でありました。その折、SNSで「お誕生日のプレゼントを差し上げたいのです」とおっしゃってくれる方が現れたのですよ。青天の霹靂ってやつですねえ。なんと楽しい、ありがたい。しかもそのプレゼントはその方が丹精込めて育てている茄子だといいうじゃないですか。こりゃあ大変だ。

送ってくださるというお言葉を制止して「こんないいチャンス滅多にないですから畑に伺いたいのですが!」と頼み込みました。ついに、ついにの宿願達成。

 

「タケイファーム」

 

にお邪魔できる日がやってきました。

武井さんとは山路力也さんが主催する神楽坂のパーティで知り合ったんです。山路さんには「アルボール」で本当に多くの出会いをいただいており、感謝しきれないんです。

武井さんはすごい男でね、柏の地で1.5haほどの畑を奥様と2人で大切に育てています。育成する野菜を厳選しており、ミシュランシェフが入手を懇願、畑行脚をするまでの高品質で希少価値高い野菜を育てています。特にアーティチョークは日本最大級の作付けを誇り、美しさと品質の高さで大きな定評があるのです。来シーズンはアーティチョークが実ったところを見てみたいな。

畑はなるほど、都市型農業といって差し支えないでしょう。住宅街の外れに広々とした畑が広がっています。茄子が整然と並び、畑の広い一角を占めていました。シーズンを終えたアーティチョークは花を咲かせているものもあります(つぼみを食べるんだって)。

枯れたものはちょっと何か前衛芸術的な雰囲気を湛えています。実際に生花をやる方がこの状態のアーティチョークが欲しいと畑に来ることもあるそうで、なるほど、と思うところあり。じつは義母が草月であったのでそういう作品を見たことがあるんです。わかる、欲しいのわかるな。畑にあってもあれはちょっとした芸術品です。そう見えるんだよね。

汗ばむ日差しであったのですが、武井さんから土の上でお話しを聞いてそれをもっともっとと欲するわたしがいました。すごく楽しいし刺激になる。いいなあ。本当に自分で土をいじって野菜を育てている人からしか出てこない言葉は大変尊いものです。

さて、武井さんが収穫用鋏を手渡してくれます。指示をもらって自分で茄子を収穫であるぞ。これがなかなかに楽しいんです。確かに自分の手で畑からもらってきたという実感が手の中に残るのがとてもいい。。忘れられないですね、この体験は。

いくつかのバジル、レタスリーフバジルなどをちぎって味や香りを確かめさせてもらって大いに感激。すごく楽しいなあ。畑で自分の舌と脳を刺激されて、それについて記憶したりちらりメモを取ったりなど、これはなかなかできないことで大変に価値のあるうれしい体験でした。

いただいた茄子の名前は「フィレンツェ」。イタリアのナス。世界一美味しい茄子として知られる品種です。後日焼いて食べたのですがすごく美味しかった。とろりとしたクリームのような食感で穏やかなんだけど力強い旨みと個性を感じるものでした。肉などの同じ皿に乗った他の強い味の料理にまったく負けない風味の、すごいもの。なるほ武井さんが言ってた「一人で2個くらい食べちゃえる」のは本当にその通り。

フルサイズのフォークと一緒に写真を撮りました。焼けば当然少し縮むわけでこのナスの大きさがわかってくれると思います。いろいろ料理しました。もう本当に美味しいのはただスライスしてオリーブオイルと塩で焼いたやつ。風味厚くやんわりした味わいなのに肉類に負けない、飲み込まれない。すごいなあ。

チーズを挟んだり、スパゲッティに合わせたんですけど本当にきちんと個性があって他の料理に味を持っていかれない。こりゃあ確かに腕のあるシェフたちが所望、渇望するのはよくわかります。ジャガイモもいただいたんですが、こちらはすでに収穫してくださっているもの。白っぽくてすごく綺麗なメークイン方面の形。これも大変うまいんです。夢中で食べてしまう。じゃがいも、大好きなのです。

畑での収穫体験をさせていただきお話しを伺えたのは何よりも価値がある時間でした。すごいお誕生日プレゼントだったなあ。

早々にインタビュー、ラジオでのお喋りなどお願いをせねばいけない。さあ、畑のあとはカレーの時間だよ。