カレーですよ4368(荻窪 吉田カレー)吉田さんとちょっぴりおしゃべりの夜。


久しぶりの吉田カレー。

吉田カレーの独特の雰囲気は好きだ。よいカレーがあって、店主の個性がその味にも店の空気にも色濃く出る。客は1人、黙々とその世界観を擁したカレーの皿と対峙する。

あの感じはなかなか他の店にないものだ。

 

カレーですよ。

 

閉店をまわった時間に案内してもらった吉田カレー。

それでも店に上がってみると結構な客の入りであった。

2/3ほどの席が埋まっている店内。

テレビ前のカウンターに案内してくれて、お客が減ってきたタイミングで吉田さんがカウンターの右端、通称豚席に呼んでくれた。例のとんでもない大きさの肉の寸胴の前の席だ。

格好の吉田カレー見物ができるスペシャルシートである。

注文も久しぶりになっていた。えーと、、とうろうろしてしまい、吉田さんの手がメニューを差し出しに動きはじめた瞬間に思い至る。考えることはない。「全部乗ってんのください」となる。

早速吉田さんが手を動かし始める。目の前で作られてゆくカレー。やっぱりワクワクするものだ。

 

ごはんが盛られ、あのうまいキーマがごはん上に乗っかり、ごはんのふもとにカレーが注がれる。

肉を選びながら「どうします?」なんて吉田さんが言ってくれて「年齢相応なやつで」とニヤニヤしながら返す。それでもどーんと大きな肉が乗り、圧倒される。

大好きな中華アチャールがどっさり、チーズがばら撒かれ、納豆がどすんと盛られる。

両手持ちのダブルトーチ(これがなかなかカッコいい)でチーズがあぶられ、卵の黄身もキーマの上に着底。大量の分葱が振りかけられて、ついに完成。

この工程を全部見られるたのしさと言ったらない。

 

さて、カレーの時間だ。

肉は「吸う」感じなのだ。なんだそりゃあ、と思われるかもしれないが、肉の仕上がりの状態、それが液体の手前という風情で、それで吸う感じで食べていく。

これはなかなか伝えづらいのだが、しかし、そうなのだ。

ふるふる、とろとろの吉田肉とはそういうものだ。コラーゲンがどーんと存在感を放つ。

たまらないものがある。

カレー、やっぱりおもしろい。吉田さんのカレーは相変わらず試行錯誤と進化とが止まっておらず、今日のカレーソースはダシの苦味がほんのり口に残る印象的なもので、以前よりもスパイスの効きがよりバランス感がある、というかマイルドになっている気がする。

バナナの甘さと香りは抑えられており、ドライな印象。これを甘くて味噌のようなキーマ、わたしは薩摩料理の肉味噌を思い出すのだが、あれと混ぜたり、デカ肉と絡めたり。

納豆を溶いたり、卵の黄身と合わせて楽しんでみたりチーズの部分をつついたり。とにかくいろいろやって、いろいろな部分がいろいろな味になって、食べる場所食べる場所で違う体験をする。

あれを楽しむのだ。あれがおもしろい。

 

間違えちゃう人もいると思う。あれだけカレーとメシの「上に直接」色々な要素を乗っけているのに混ぜないで上品に別々食べをしちゃう人。それはもったいない。

いろいろ組み合わせて食べるから楽しみが広がる。おもしろい。そういうキャラクターを持った個性あるカレーだ。

カレーだけすするのはもったいない。

中華アチャールがおいしくて、あったまるのがもったいなくて急いで食べたり。

まだ食べ終わっていないのに中華アチャールの持ち帰りができるかどうか心配になったり。

分葱の香りがぶわっと印象的だったり、チーズの存在感が顔を出したり引っ込んだり、納豆を急に単独で食べてみてそのソリッドな味に驚いてカレーに戻ったり。

とにかく楽しみ方が無限に皿の上に存在する。

食べ終わればお客はほぼ帰って、吉田さんとおしゃべり。

包材が厳しくなってくるであろうお弁当の近い未来のこととか、ほかの店の動向を聞かれたりとか、工場の取材のお願いとか。

アイスコーヒーをいただきながら楽しいおしゃべりであっという間に時間が経ってしまう。無理をいってレトルトカレーを分けてもらったり、たくさんお世話になった。

支払いは5000円ちょい。

全乗せのカレーがあって、中華アチャールの持ち帰りとか、レトルトとか、いろいろでそれくらいになった。

 

吉田カレーにはアイテムが多い。自店舗の席で食する料理以外に持ち帰れるアイテムが多いのだ。

カレー店の客単価ではないと驚く向きもおろうが、よいもの、欲しくなるものを開発、アイテムとして持っていれば、ファンは買い支えてくれる。こういう状況の中では強い柱となってくれる。

今回の疫病蔓延的状況でいろいろなものの本質や真実がどんどん見えてきている。いまこそ準備を急ぐ必要があると感じる。

国難を乗り切り明日を自分の腕で掴むために、各自の立場ごとに考えなければいけない。

 

吉田さんはそれを日々繰り返しやっているのだ。

 

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