雑誌「フィールドライフ」をご覧になってこのページを見てくださっている皆様。どうもありがとうございます。
このブログは外食のカレーを中心としたレビューメインのブログです。最近ではその割合を意識して変えていっており、デジタルガジェットのレビューやアウトドアギア、シューズ、ウェアなどの紹介記事も増えて幅広い記事内容に変化してきています。ライター、ラジオパーソナリティの「はぴい」こと飯塚敦が執筆しています。
記事最後にアウトドアギア、シューズ、ウェアなどの記事のリンクも記載してあります。是非ご覧ください。
アウトドア誌のライティング、企画、編集などの仕事を糧としている腕ある女性、福滝さんから緊急メッセージが入りました。
「はぴいさん、あさって山に遊びに来ませんか。朝霧高原界隈で小雀さんと調理の撮影なんですが、テーマ、カレー2種なので。」
うん!行く行く行きます。これは緊急度が高い。そしてちょうどいい。集中するラジオ収録の日々の中で、ちょうど1日空けてあったんです。
カレーですよ。
ラジオ収録のちょうど谷間。こういうのうまく作っとかないとフリーランスの仕事はよく立ちゆかなくなったりします。なれたもんです。
そこでやろうと思ってた原稿は調整してやればよし。うん、こんなの行くに決まってるよ。だって小雀さんの手製のカレーだぜ。行かないなんて選択ははどうかしてる。
小雀陣二(こすずめ じゅんじ)さんはアウトドアコーディネーターにしてアウトドア料理人。三浦の三崎港にカフェ「雀家」を週末開いてらっしゃる人で、レシピブックの著書も多数。アウトドア業界でその名を知らぬ人はいない、確かな調理の腕と舌を持つ男です。
そんな人が作る美味いカレーが食べられるんですから一も二もなく行くわけです。
エイ出版社の主宰していたランドネ、ピークス、フィールドライフ3誌合同のイベント「フィールアース」素晴らしいイベントだったんですよね。そこで毎年行われていた「アウトドアカレー王決定戦」ですでにシード枠、レジェンド枠となっている小雀さんのカレーは数回食べています。素晴らしいものです。
わたしはそこで「アウトドアカレー王決定戦」の審査員を数年にわたり務めていました。東京カリ〜番長SHINGO3LDKからキャンプよろず相談所の渡辺信吾さん、そこから福滝さんへ、みたいなご縁でつながりました。それでホーボージュンさんや河合桂馬くんや皆さんと知り合い、仲良くなったんです。
当日、はやる気持ちをお腹に抱えつつ中央道を富士山へ。向かうは「 VOLCANO白糸オートキャンプ場」。本栖湖を背に、富士山を左に見ながら富士宮方面へとハンドルを向けます。ここは初めていくキャンプ場だなあ。なんでも最近小雀さんがご執心のキャンプ場らしいのです。
途中で福滝さんからメッセージ。「貸切なのでそのままどんどん奥に入ってきちゃってください」え、そうなの?撮影でそれ贅沢すぎやしませんか、、、さて。
「 VOLCANO白糸オートキャンプ場」
うーん、いいところだなあ。設備が充実していて新しくて清潔です。おまけに真正面は富士山がどんと見えるという好ロケーション。
母屋には畳に囲炉裏がある宿泊施設に露天風呂まで。うーん、こりゃあいい。
なんでもオーナーさんがとてもいい方でメンテナンスデイの人が入らない日を撮影に開放してくださったのだとか。すごいな、素晴らしい。オリジナルデザインのアパレルなどグッズがセンス良くて、いまっぽいモダンなキャンプ場です。
さて、すこし遅れて入ったら調理はどんどん進んでいて撮影も好調。すでにいいにおいが焚き火の匂いと共にぷんぷんと広がっています。いやあ、これはたまらない。小雀さんはテンマクデザインのアウトドアでの調理に特化した「ワークテーブル(システム調理台)」や「マンタタープ」などのプロデュースなども手掛けています。今日の撮影でも「ワークテーブル」使ってらっしゃる。
これ、普通に広めのキッチンとか土間に置いたらキッチンじゃなくて「厨房」だよ。プロの現場のステンの調理台を運べるように作っちゃったんだねえ。こりゃいいねえ。
小雀さん、相変わらず笑顔で淡々としたプロの仕事を進めていきます。いいにおいがいっぱいして、わたしのおなかは大変なことになっています。
そうこうしているうちに飯田橋のBASE CAMPの店主、A-sukeさん登場。新宿でバーを営むアウトドアアドバイザーの大木ハカセもいっしょです。
おや!みなさん久しぶり。前回の「フィールアース」以来かな。なんだか「フィールアース」のアウトドアカレー王決定戦の覇者、勢揃い的になってきました。きょうはえらいことだなあ。
BASE CAMP、いいお店なんです。水道橋にあるアウトドアカフェです。ああ、いきたくなってきた。
そうそう、A-sukeさんもテンマクデザインさんとコラボやってたよね。「男前ファイアグリル」正直買おうと思っております。
大木ハカセもご自分のウェアレーベル持ってるんだよね、「ノイン」だよね。
なんかみんなすごいいよなあ。
わたしもそろそろテンマクデザインさんからカレーキットとか小物アイテムとか出したいわ(笑)
テンマクデザインさんといえばこいしゆうかさんとも繋がってるんだよね。こいしさんといえば同じくテンマクデザインさんの「パンダテント」。
こいしさんとも実はカレーで繋がってます。印度カリー子ちゃんの著書のイラスト、漫画部分を担当して共著を出してらっしゃった。それでこいしさんの「WILD-1厚木店」で行われたトークショーに行って終わったあと少しおしゃべりして。そののち「フィールアース」で再会してとか。おもしろいなあ。キャンプ=カレーはわたしのなかではちょっと違う意味で強く繋がっているのです。
あっ!A-sukeさんとハカセが肉焼いてくれた!もう本当にこりゃあサイコーです。なんでこのあと帰えんなきゃいけないんだ。こんなんじゃあさっさとテント立ててビールあけたくなるじゃないか!
さて、そんなことを言いながらお肉をつまんでいるうちにカレーが仕上がったようです。
撮影も一通り済んで、賄いタイム。いや~幸せだ。
スパイシーチキンカレー
結構な辛口に仕立ててあるスパイシーチキンカレー、すごくスッキリと仕上がっています。さらり、とかスッキリという言い方が一番しっくりくるカレーです。
鮮やかな赤い色で、粘度はほとんどないスープ状ですね。チリとブラックペッパーのシャープな辛さと爽やかさ。
ああ、いいなあこれ。好みです。
丁寧にスープを組み立ててあるのが舌から伝わってきます。トマトの酸味軽やかで、鶏の仕上がりがものすごいんだよ。繊維に沿ってきれいにほろり、するりとほぐれる気持ちよさ。アウトドアでこの味は凄みを感じずにおれません。
土台で言うとインドのシチューやスープ料理の手法をベースにして鶏の旨みやおいしさをグッと引っ張り出した感じ。完成度高いなあ。悪いこと言わないからこれ、フィールドライフ誌を手に入れて(フリーペーパーだぞ)レシピ見て作った方がいい。外でも家でもいい。うちで一度作ると絶対フィールドで作りたくなるはずです。こんな美味しいのが外でできちゃったらみんな驚くから。
ビーフカレー
手をかけにかけた、という感がありました。これはまったく素晴らしいカレーです。お見事としか言いようがない。カレーなんていう簡単な呼び方したくないと思ったよ、本当に。
たまねぎ焙煎にとても時間をかけたのがわかる奥行きと深み(わたしもほんの少し手伝いました)。異常に、、くりかえします。異常に美味しいビーフのブロックにぶち当たり心と舌に震えが走ります。もちろんとろとろに柔らかく仕上げてあって、歯を立てるごとに旨味がほとばしってもうね、卒倒しそうなお肉です。
欧風と言えるような仕上がりです。スパイス類などはインドをお手本にした、さきほどのスパイシーチキンカレーと重なるイメージもありながら、ほぼフォンを外で一から作るような調理の構成で、外でこれだけのものができてしまうということに驚愕。言葉もありません。欧風カレーと言われるものがどういう構造になっていて、どうしてあの味に着地がなされるのか、横で調理をしているのを見せてもらって非常によくわかりました。これは圧倒的。
手間をかけただけ美味しくなる、という種類の料理の典型的な実例です。いや、まいった。このレシピ、勉強になるんじゃないかなあ。カレーが好きな人も時間をかけて料理を楽しみたい人も、これ、ぜひトライするべき名レシピです。
小雀さん、これと同時にスパイス炒め物とタマネギアチャールをさらさらっと片手間でやっつけて副菜としてすーっと付け合わせにしてくれました。腕があるのはもちろんのこと、こういう物を思いついてさっと作って、というのは、これこそセンスだと思うのです。ただカレーできました、ではなくてね。
そういうところに神が宿る、そう思っています。
うーん、まったく素晴らしい1日だったなあ。
わたしはちょいとこだわりがあります。料理をしない、カレーは自分で作らない、と決めてまして。それというのもプロが作るプロの味のものが好きだから、ことカレーに関しては外食で、と心に決めてるんです。外食の応援という自分に課したミッションというところもあります。
が、このレシピは自分で手を動かしてみたい。久しぶりにそんな気分になりました。
アウトドアで食に時間をかけるというのは心の安定につながるなあ、と感じたんです。
このレシピはアウトドアショップなどで配布されているフリーマガジン「フィールドライフ」の2021年春号に掲載されています。あなたもぜひ手に取るべきです。あ、わたしの顔写真もちらり載っていますよ。
追ってAmazonでKindle版も手に入るようになりますので、念のため。