清里の顔と言えば「アフガン」と「ロック」です。(「カレーですよ。」的に。共にカレー)
「アフガン」は先日食べに行きました。リゾートでクラシックな感じでやると欧風のいいのになる。そう言う感じが垣間見られて面白かったです。「ロック」はどう言う感じでやっているんだろうね。行ってみましょう。
カレーですよ。
北杜市は最近では漫画とアニメーションの「スーパーカブ」で話題になっていますね。あのアニメーション、ちょっと好きです。
なんというのか、一番初めに誰もがオートバイで体験する面白さや難しさを丁寧に描いていて、好きだなあ、あの感じ。ちょっとまたオートバイ直して乗りたくなってきました。
さて、
「萌木の村ロック」
ロックは2016年だったかな、たしか。火事で一度なくなってしまいました。有名店で、わたしもチャンスを見て行こう行こうと思っていたお店だったのでニュースを見て驚いた記憶があります。
そこから再建までの道のりと、当時20代後半の若者がロックの営業の全権を背負って進んだと言うストーリーを同店のホームページで読みました。なかなか圧巻で大変面白かったし、その後の進捗や取り組みがきちんと公開されていて、なんと言うか、ああ、心ある人がやっているのだなあとわかって少しイメージが変わって見えました。観光地のカレー屋さんというステレオタイプの見方を変えてくれたと言いましょうか。
高原の施設で、カレーでロックで、と言うイメージはちょっとベタだな、と思っていたんですが、なんのことはない、場所や規模は関係なく、一所懸命な取り組みと深く考えてのアクションがちゃんとある良い店だと分かったわけです。ホームページはそういう一つ一つの取り組みを丁寧に文章化してあって、読み物としても優れていると感じます。伝わることがきちんと伝わっている良いページ。今回は行ってみてその確認作業をした感がありました。
さて、雨と深い霧の中、店にたどり着きました。そういう日の高原も嫌いじゃあありません。
思ったよりも大きな敷地、大きな店で、建て直し後であるからきれいで新しいです。店内は快適、良い意味でモダンで気楽なかんじです。悪い意味ではなくファミレス的モダンさ。ちょうどアフガンと背中合わせという感で、アフガンは古い時代の別荘カルチャーそのものという感じの重厚感や積み上げた時間の作用で独特のオーラを持っています。火事で一度リセットがかかっているというのもあるんでしょうけど、ロックは違う方向のカルチャーを持っているとわかります。どちらがいいという話ではなく、ヨーロッパとアメリカの違い、という感じかな。
さて、注文。
ロックのビーフカレーを頼もうと決めていましたが、意外やメニュー数が多い。そうなのかあ。ソーセージやステーキも魅力的だよなあ。迷って頼んだのは、
「ファイヤードッグカレー regular」
自家製のソーセージが1本乗るものです。さて、どうかな。
広く、天井の高いホールは快適で、席間の距離もあり安心感が強いですね。通気もきちんと気にしている様子で安全をちゃんと考えているのがわかってありがたい。数人のホール担当さんもきちんと気配り目配りがあって感心させられます。うん、これはいいお店。
さあ、カレーの時間だよ。
昔風に手をかけ時間をかける男の料理的なところにルーツが見えるビーフカレーのソース。かなりうまいぞこれ。カレーソース自体にスモーキーな香りがあるのが面白く感じます。ビーフはカレーソースの中で解けて筋状になっている様子。これが40数年続いているこのお店の味なのだね。
野菜が大量に乗るのが気分いいのです。なんといっても高原のレストラン。野菜を摂りたいものだよね。ブロッコリーの茎をぱりんとさせた仕上がり茹で加減に好感を感じます。他の野菜たちも、その量と扱いに野菜への愛があると思わせる丁寧なもの。おいしい。
ドレッシングもたいへん良かったねえ。酸っぱい方へ振らない手作りマヨネーズという感で、とろりとクリーミー。野菜に強く絡む良いドレッシングで、これはクセになります。
面白いのがカレーにレーズンバターが落とされているところ。意外やこれがけっこうな存在感を放つんだよね。味、香りともによく、カレーのドライな味わいに甘みを加えてくれるナイスなアイテム。徐々に溶け出して広がってくるわけですが、その時の香りがなかなかなんだよ。
これを乗せたのはいいアイディアだなあ。
うわーと思わず声が出たのがソーセージ。ものすごくうまいんです。フォークを跳ね返すぱつんぱつんに張った皮をえいやと突き刺して口に運びます。これまたスモーキーでジューシー。パンチのある辛さとエッヂ感じる塩の加減。あーこりゃあたまらない。
こういう男っぽい味はほんとうに好みなんです。肉肉しく、肉汁あふれ、男っぽい。この場所の世界観を雄弁に語っているよい料理です。何度口に運んでもそのうまさで心が躍るナイスソーセージ。そうか、そうなんだ、買って帰れるんだ、これ。いいねえ。
そのほか、例えばナプキンもぺらぺらの汎用品ではなく厚手でカッコ良いものを用意、ワンウェイなのにおしぼりが布おしぼり級の太さ厚みであるとか、伝票を挟むバインダーも世界観を反映した金属製の重厚なものを使っていたりとか、端々からこだわりが伝わってくるのが楽しいです。
ほんのちょっとだけ気になったのは蟻のようなものが皿の端にくっついていたこと。食べ終わってから気がついたんだけどね。わたしは特に気にもならないしこんなの屁でもないんですが、こういうのはわたしだけの話じゃないから(元飲食店マネージャーなりの考え)お伝えしておいた方がよかろうと他のお客に聞こえぬよう(元飲食店マネージャーなりの行動)ホールの男性に小声でそっと伝えておきました。すぐに確認、謝ってくださった。厨房等につたえたなど報告、フィードバックがあればなお良かったね。
いや、このお店、観光地のカレーなど間違っても言うなかれ、です。
そんなものではまったくない良いお店でした。
はじまりはわりとラフなカレーであったかもしれないですが、それを止めず、磨き込み、共感を得て40年分の知見が生み出したカレー。もしかするとまだ途上で進化があるかもしれないとも想像します。
とは言えすでにお客たちがちょっとでも逸脱すると「これではない」「元に戻せ」という声も出ているようですね。つまりそれは完成したといえるのかもしれない。
興味深く次の10年をみていきたいですね。