カレーですよ4686(浜松 アンミッカル)冷凍カレー、サンバルとフィッシュモイリー。

浜松のインド料理の持ち帰り専門店、インドカレー弁当のお店があります。お弁当店、カレー店とわざといいましたが、そうではないのです。そう思ってはいけない。そういうことではないんです。そういう成り立ちではないんです。

 

カレーですよ。

 

店主の菅沼絵里さんは非常に面白い考え方でこのお店の成り立ちを構成し、実現させています。ざっくりいうと、お弁当屋さんでもカレー屋さんでもないんです。予備知識なく外からただ眺めると(物理的にもそうじゃなくても)そう思えるのですが、その根幹には地域貢献や留学生の一助となるべく考え抜かれたビジネスモデルなんです。これ、すごい。

こんなスタイルの店、ないと思う。大変に興味深い取り組みをしてらっしゃいます。

 

「アンミッカル」

 

という、日本人にわかりやすくいうと洗濯板風の石板と石の麺棒のセット。それが店の名前です。ハーブやスパイス、食材を砕いたりこねて合わせて伸ばしたりする調理器具のこと。彼女がこのインドの調理器具の名前をつけたお店にかける思いが伝わってきます。きっと色々混ぜ合わせてこねてひとつにして、という想いなんだと思う。

そんなアンミッカルの菅沼店主から冷凍カレーが届いたんですよ。「届いた」というのも、これはとても特別なことでして、本来通販はほぼやっていないんです。そこにも考え方の根っこが違う部分が見えてきます。

 

その日の仕込みを無駄にしてはいけない。作ったものはちゃんとお客さんに食べ切ってもらいたい。せっかく農家の人が一所懸命作ったものを無駄にしてはいけない。それを前提としてお店に買いに来てくださる方にはなるべくフレキシブルに利便性を差し上げたい、そういう極めて地域に根ざした、人に根ざした考え方からの結果としての冷凍製品なんです。すごいです。冷凍の製品を作る目的のために作っていないところがこのカレーたちの魂の在りどころなのです。成り立ちが全く違う。食べる機会を持てた幸せな人たちにはこれを意識しておいて欲しいんです。

この日は2種を合い盛りにしました。合い盛りなどいうと日本風に聞こえるかもしれませんが、インド料理のターリーやミールスなどの定食スタイルや、ホームスタイルでいくつかの料理が一緒の皿に盛られるスタイルをとってみました。

 

サンバル

トマトとタマリンド弾ける爽やかな酸味が印象的な野菜煮込みです。ビーツが良いアクセントになっていて美味しいなあ。ちゃんとシャキシャキ感が残るこのうれしさ。冷凍ってすごいよね。インゲンも、茄子も、季節の野菜の美味しさがきちんと残るのが素晴らしいです。

トゥールダールが溶けたざらりという舌に残る食感と野菜のシャキッと感の対比が食べていてとても楽しい。そして、香る、香る、ちゃんとスパイスが香るこの嬉しさ。ああ、いいにおいだなあ。辛さもきちんとあってそれが満足感に繋がっていると感じます。日本で食べるスタンダードなサンバルは野菜煮込みで辛さなしも多いんですけどこれはパンチがあって一種類一食でも完結する輪郭というものがあるねえ。良いものだったです。

 

フィッシュモイリー

これは思わず叫んだよ。これはうまい、うまいなあ。大変な美味しさです。爆発的に美味しい。旨味がすごい。ココナツミルクのぐいっとくるコクと、やさしいとろんとしたグレイヴィ部分に鯵の風味が実によく馴染んでいます。お魚のカレーはなかなか難しいんだよね。扱いを慎重にしないとたちまちくずれちゃって残念な感じになります。

それで味が変わるわけではないけれど、お店屋さんの料理となるとそうはいかないもんね。それをちゃんとクリアしているんだよ、しかも冷凍にして。ちょっと凄みを感じます。これが冷凍で食卓に上がるなんていうのは本当に尊さを感じてしまうねえ。

サンバルとフィッシュモイリー、ちょっと混ぜて食べると酸味と辛味、甘さ旨味が程よいバランスになってくれて、スプーンが止まらなくなります。

うわあ、なんかすごくてちょっと色々しゃべれなくなる感じ。

すごいもの食べちゃったなあ。