車山高原までお出かけとなりまして。
渋滞予想から早々に高速を降りて楽しくだらだらと山道を走っていたら、お腹が空きました。ではランチにしましょうかね。
カレーですよ。
ここらへんまでくると(大月すぎてしばらく走って)お店を選べるのはやはり甲府かな。
そうなると、ついついいつもどおりになりがちな「一刀斎」。うーん、でもきょうは我慢して、タイ料理はどうかと考えましたた。タイ料理のお店もポツポツあるよね、甲府。
そうだ、とても久しぶりの、
「ショークディー」
はどうだろうね。いいね、それ。よし「ショークディー」に決めました。
相変わらずのシックでエレガントな店内。それで思い出したんですよ。しまった、うっかりしていた。忘れていた。だめじゃんあたし。
この店、すごくいい店なのだった。なんでだろうね、タイ食堂の気分で入ってしまったんですよ。違うの、ここはレストラン。タイ料理のレストランですから。それもセンスあるきちんとしたお店。しゃちこばる必要はないけど背筋は伸ばしたい、そういうお店。
調度品はきちんとアートと呼べるレベルのものが揃えられ、ホスピタリティも自然で本物のもてなしだし、タイ人のマダムが仕切るホールには安らかな空気があります。マダム、やさしいし素敵なんですよ。惜しむらくはあの挑戦的なメニュー、タイ料理とイタリアンの融合メニューがなくなっていたこと。いつかまたあの素晴らしい料理に戻ってきてもらいたいものです。そういうメニューをやってたんだよ。ここの名前が「ショークディーカフェ」だった頃の話し。
さてと。パイナップルチャーハンを所望したのですがどうやら欠品。こんな寒くなってパイナップルチャーハンてのもあれか。では、と
「ガパオライス」
を注文です。なんの文句もありません。
やってきたガパオライス、おもわず笑顔になってしまう、お皿の上にも笑顔が乗っかってるこれでした。うわあ、かわいいなあ。コックさんのしてやったりガオが浮かんできそうです。可愛くてやられちゃいました。でね、それはそれなんですが。かわいいんですが。
このガパオライス。知っているパッカパオラーカオとは違う、すごいものなんです。
タイ料理としての力強さ、特徴は当然あるわけですが、同時に上品さや繊細な工夫が感じられるんです。粒の大きいミンチではない叩いた鶏肉はきちんと味わいがあってとてもおいしい。しめじがたくさん入っていて、季節とこの界隈の土地が感じられるのがまた素晴らしいわけです(県内、北杜市などキノコのメッカ)。
タマネギ、ピーマンなど、難しい野菜、凝った食材ではないものがその調味とバランスで唸る美味しさに持っていってあり、凄みを感じます。ニンニクなど大きめがフレッシュでちょっとほくっとしてマッシュみたいになってはいっていて、こういうものにいちいち唸らさせます。
肝心のガパオ、ホーリーバジルも多い少ないではなくフレッシュが適量入ってバランスというものがちゃんとある。まったくもって素晴らしいものでした。
そんなふうにシリアスに書くわけですけど目玉焼きのこのスマイル。なんともはや。本当に心和むステキなセンスでぐうの音も出ないわけですよ。
まいったなあ。
一緒にやってきたゲーンジュー、スープも鶏出汁の強い旨味とほんのり甘みに導かれる奥行きでとてもいい。そこに青ネギぱりり、黒胡椒びりりで隙がない。これもいいよねえ。おかわり欲しいよ。
デザートに上品な上品な抹茶のゼリーを出してくれました。甘さがね、そよ風が吹くとスーッと消えるような、そういう上品さだった。驚いた。
本当にうっかりしていました。何気なく地方都市でタイ料理のランチ、などいう気分でうっかりと入ったんですが、ここは、ショークディーという店はスペシャル、特別なんだったよ。思い出した、まったく抜かっていた。
はじめに「タイのおばんざい」というランチの2200円のコースをちょいと高いと思ってしまった自分の頭をはたいてやりたいです、心から。絶対にそのお値段の3倍ほどの価値があるものが出てきたに違いないもの。ああ、あれにすればよかったなあ。
ガパオライスの名前で1300円ほどのメニューを頼んで、驚くべき美味しさのものが出て、スープも完璧、デザート上品。そこにたった900円乗せるだけでよかったのに。うむむむ、、
とにかくダメだ。ショークディーという店のクラスを、品格を、レベルを忘れていたよ。こんなんじゃダメだ。近々、もう一度うかがわねばならない。
誓いながらお店を後にしました。