カレーですよ4737(安房鴨川 カレーハウス さつき)海のそばの町、昭和の特A級。

カレーライスという食べ物は悩ましい食べ物なのですよ。ラーメンもそういう傾向があるんだけどね、カレーは顕著なのです。

なんなのかというとですね。

 

 

カレーですよ。

 

 

いったいなにが「悩ましい食べ物」なのか。それはね、「いたるところにある」ということ。

たとえばラーメン。

専門店で食べるのが一般的だと思っています。とはいえ、普通の町の中華料理店には中華そばというラーメンがあるでしょう。ファミレスにもあるし、中国料理の店には中国の郷土料理としてのラーメン類があります(これはカウントしないという人もいると思う)。

ところがカレーライスはそれどころではないわけですよ。専門店は当然として、喫茶店、中華料理店、イタリアン、フレンチ、バーの〆料理、ファミレス、うどん屋、蕎麦屋、洋食店、ファストフード店、ホテルラウンジ、アジア各国レストランに唐揚げ専門店、間借りにコンビニ、、、

どれだけあるのか底が知れないのです。

クルマの中でそんなことを考えながら千葉界隈を流していると、またもや千葉、わりと奥の方でよいお店に通りかかりました。安房鴨川の小さな駅前商店街にあるカレーのお店。

 

「カレーハウス さつき」

 

です。専門店の看板を掲げているねえ。

 

 

まずはまずはカレーハウスという業態。

今ではとても珍しくなったその名前を看板につけたお店でした。割と大発見だと思ってて、それだけで嬉しさが込み上げてきます。

カレーハウスとカレースタンドは本当に少なくなったよね。

 

さて、「さつき」。

 

1階が2台ほど入る駐車場、お店はその上にありました。奥はどうやら母屋の様子。隣は空き地で向かい側にはもう数台入る駐車場がありますね。裏口は原っぱに面していて犬が繋がれていてのんびり昼寝をしていました。お店のこかな。いろいろいい感じです。

「カレーハウス さつき」の建物がね、すごくいい。外から見たよく目立つ派手だけど少し古びてきているその外観もいいのですが、店中がまたとてもいいんだよ。昔からずっとあるデザインの木の椅子もいいし緑色のボックスシート様に配置されたソファもね、いかにも喫茶店風でいい。いいなあ。いい塩梅のレトロ感を保ちつつ清潔にしてあって、なんだか理想的です。居心地がいいんだよ。

窓が建物に沿って階段状に段を刻んでいるのも凝っているしね。出来た当時はきっと町で1番のモダンな建物であったのだろうねえ。そんなことを思いました。雰囲気というものが内外装の色々な場所にあって好ましいんです。

 

さてと、注文は大体決まっています。

入り口の看板にあった「スペシャルカレー」を注文しようと決めていました。

 

「スペシャルカレー」は2種あって「チキンカツカレー+ナポリタン」と「ハンバーグカレー+ナポリタン」。うむ、なんとも悩ましいねこれは。トンカツよりもチキンカツがカレーには合うと信じて疑わないわたしですが、そこにハンバーグを持ってこられると途端にそちらに傾いてしまうのですよ。揚げ物類はそのざくざくした芸術的なころもにカレーソースがかかってしまうことに耐えられないのです。そんなわけで

 

「スペシャルカレー ハンバーグカレー+ナポリタン」

 

としてみました。

さて、やってきた料理。

 

まずはナポリタン。

これがちょいとピリ辛のいい感じなのよ。からりとした仕上げ、水分をフライパンで飛ばす焼きナポリタンタイプでこれがなかなかに好ましい。いいですねえ。

甘みの要素をあまり前に出さずにバランスさせるこの感じは好きだねえ。

そしてカレー。

オリエンタルでジャパニーズクラシックでけっこう辛くて、正しく「ニッポンのインド風カレー」でね、素晴らしい。いやこれ、実に良いよ。福神漬けとラッキョウが必ず必要なやつ。

もうなんか正しいカレーライスすぎて神々しい。

 

ハンバーグはシンプルで薄塩の味付けが納得いくもの。カレーソースは多過ぎず、ハンバーグと合わせて「カレーソースハンバーグ」をご飯で食べる感じのバランスに着地させてあるんです。これまたいい。

ああ、なんだかすごい満足感。

型でととのえられたごはん、ナポリタンにさらりと振られたドライパセリ、半分にカットされたハンバーグ。どうにも郷愁と食欲を刺激されるビジュアルで、それだけで安房鴨川まで足を伸ばした甲斐があるってもんです(実は通りがかりなんだけど)。

トータルでの力の発揮具合に頷ける、洋食店のカレー、スパゲッティ、ハンバーグの黄金セットでありました。

ちょっと後悔したところがありまして。いや、後悔ってのとは違うか。あとで「ああっ!そういうのもあるのか!」と思ったやつ。

注文時に店の姐さんにカレーソースの味を聞かれたんですけどね。2種あるようだったんですが考えなしで「辛い方!」と注文をしました。後でよくメニューを見ると辛い方、わたしが頼んだ方は「インド風」だったようで、うんなるほど、パウダースパイスの味、食感を感じるものであったのです。満足感がありました。

ところがもう一方のカレーソース、どうやら「カリブ風」というであったようなのですよ。なんなのそれ「カリブ風」!気になるじゃないですか。

なんなんだ「カリブ風」。なんなんだ。

もう一度訪ねていく理由ができてしまったねえ。

行こう、また行こう。