またもや千葉でスリランカ。今回も深度が深めです。いや、もうかなり深めのお店です。
カレーですよ。
ここはほぼレストランではなく、食堂というよりも、うーんとなんだろうか。
簡易食堂という感じかな。いや、それも違う。「賄い処」と呼ぶのが一番しっくりくるのではないかしら。
すごくこう、来る人を限定している感があります。なんというか、マッドマックス感が溢れているとでも言いましょうか。
「チバハラルフード」
という名前でスリランカ食材・ハラール食材をを扱うこのお店。どうやらムスリムのスリランカ人がやっているお店の様子。スリランカはご存知の通り仏教国。7割の人々が仏教を信仰していますが、人口の10%ほどのイスラミックの人もいます。
隣の棟には東京ランカモータースという看板が出ています。うん、いろいろと察しがつくぞ。ここ「チバハラルフード」の店舗の前にはエンジンが抜かれたドンガラの車体やキャブも荷台もあがった状態のダンプトラックが止めてあったりしていてちょっとした現地のストリート感が漂います。
店前の狭い駐車スペースにはスリランカンの男性が乗用車を停めて食料品を大量に積み込んでいるのがみえます。多分レストラン等のプロであろうとお見受け。
さてメシを、と扉を開いて(自動ドアだけど動かなかったので手で開けた)中に入りました。そこはまるっきりスリランカ、ローカルの乾物屋です。棚にはずらりと缶詰や豆が並び、奥の棚にはミックススパイスなどが見えています。ピットゥメーカー(スチームドココナッツライスの蒸し器)なんかも売っているみたい。
中央には通路を塞がんとする大きな冷凍庫が3台。床にはMD(スリランカの大手食品メーカー)の段ボール箱が投げ出されており、外から見ると米袋が窓を割って飛び出しそうな勢いで積み上げてあるんですよ。実に、実に混沌が深い。いい。スキです。
その乾物のカオスの奥に小さな扉があって、うす暗いホールがありました。ここが食堂というわけです。つまり、食料品販売の、それもわりとプロ向けという風情の店の奥に薄暗い小部屋があって、そこでスリランカメシが食べられるということです。メニューは当然ないですよ。ないに決まってる。昼間なので電気はつけていません。だから薄暗い。ちょっとしてから電気をつけてくれました。つけてくれたひとも店の人かどうかは不明です。
ホールには客なのか従業員なのかわからないスリランカ人男性が席に座っていて、食事をしながら笑顔をむけてくれました。食べるの?じゃあちょっと待ってね、とばかりに店員さんを呼んでくれました。とにかく誰がお店の人がわかりません。最後まで分からなかった。
キッチンからコックさんらしき人が出てきたときに厨房がチラリ覗けたんですが、なんかすごい。隣のバラックで作ってんなという感じですごいすごいすき。
もじゃもじゃの髭ともじゃもじゃの頭のちょいと小太りのコックさんでしょうか。シンハラ語だけがわかる様子です。さっきの食事中の男性が何を食べたいか聞いてくれました。カレーのセットとフライドライスがあるようで、連れもいたので両方もらうことに決めます。
さて、出てきたのがこれ。
茶色いのがビーフのウェンジャナ、というところかしら。このタイプは辛めの味決めでマトンが入るところが多いやつです、多分。ここは、この日は、ビーフ。結構な量のビーフが入っていてなかなかにゴージャスな仕上がりです。スリランカ版の辛いビーフシチュいーという風情ですね。
それとブロッコリのホッダ。これは大変好み。よくスリランカレストランで出てくるココナッツミルクを使った辛くしないスープがあるんですが、あの味です。これスキなんだよ。ブロッコリが入るのは初めてでしたが、ブロッコリの味とよく合うバランスで好みでした。どんどん飲めるなこれ。
パリップ。スリランカの豆のココナッツ煮込みです。インドではダールだね。この店のパリップはチリが多めで辛めに仕上げてありました。辛いけど悪くないね。
これはタマネギはアチャールということになるかな。レモンの酸味が爽やかでチリが辛くて胡椒がいい匂いでとてもシンプル。こういうのはとてもいいね。
連れの皿はフライドライス。これがうまかった。いわゆるチャーハンなんですが味付けが濃くならずに繊細で、なのに食べ応えがあってまったくうまいんですよ。長粒米を使うフライドライスはうまいものが多いと思っているんですが、ここのは油の量も味付けも絶妙。たいしたことやってないはずなのにすごくうまいの。なんだろうなあ、素晴らしいなこれは。
添えられたフライドチキンも上出来のマリネ具合、揚げ具合。これは手放しで薦められる良いものです。
隣で食事を終えたスリランカンの連中が、やけに残して帰ったなあ、と思ったらそうではありませんでした。ああこれ、その器から自分で取り分けるやつだ、惣菜だ。ポルサンボル、ココナッツの生ふりかけじゃない。うん、これがあるとないとでは体験が変わるくらいスリランカ料理には大事な要素だよ。これもよかったな。
とにかく手強そうな店なんですが、店にいるスリランカの人たちがみんな感じがよくて気のいい人ばかりで。とはいえ最後まで誰が従業員で誰がお客かわかりませんでした。
でもそんなことはいいんだよ。快適にうまいメシ食えたんだからさ。
それだけで十分。またきます。