定期的に行きたくなるお店、近所で、となるとその数も絞られてきます。ここはそのうちのひとつ。お気に入りのいいお店。
カレーですよ。
南インドのうまい料理を腹一杯食べられる奇特なお店です。6月初めでそろそろ開店から8年目に入ろうかというタイミングでまた行きました。行くと思い知るんだけど、やっぱりいいねえ。
かの押上「スパイスカフェ」伊藤一城シェフの先生筋にあたるヴェヌゴパールシェフが腕を振るうお店です。アジャンタ、ダルマサーガラ、アダムスラビーなどでその力を見せてくれたヴェヌゴパールさんが満を辞して開いた店。いまでは御徒町にブランチもできて確実にファンを掴んでいます。ここの開店には伊藤シェフもお手伝いに尽力したことを聞いています。
そんな
「ヴェヌス・サウスインディアンダイニング」
に通っているわけです。
相変わらずランチのブッフェばかりに通っていて恐縮なんですが、ランチで、ブッフェで、なんでこんなに旨いものが出てくるのか、と訝しむくらい旨い料理ばかりが出てくるので、通うのを止める理由が出来ないというのが本音。
さてと、この日のブッフェも素晴らしかったよ。
チキンコルマ
ココナツマイルドなスチュー的仕上がり。これはうまい、たまらない。鶏肉が大きなカットでカトリからはみ出るほどのサイズ。大変満足感が高くて圧倒されます。食感もふっくらした仕上がりでなかなかたいしたものだなあ。どんどん食べられます。いや、すすれちゃう。飲み物だこれ。
煮干しとナスのコザンブ
マサラたっぷりだろうが煮干しは煮干し。日本人の脳髄にそう刻まれています。だから、日本人としてはたまらないわけです。いや、これうまいなあ、スプーンが止まらないなあ。スパイスと煮干し、言葉にすると、ちょっとよくわからないぞ、となってしまうのですが食べれば納得。インド料理にはそういうものが多いと感じます。特に海のものや漬物類にはそういう印象を受けるものが多いんじゃないかしら。なんと例えようかなあ、これは。例えば蒙古タンメン中本のあれから辛さを引いた感じとか。ちょっと違うか。どこかラーメンテイストで、しかもインディアンスパイシーで。何かすごいものを食べてしまった感があるんだよ。
じゃがいもと豆のマサラ
セミドライタイプ。これはカレーというのではなく、煮物の類だと思う。わかりやすいからお店もあたしもカレーって呼ぶけど。本質は違うと思う。水分少なく炒め煮に近いんじゃないでしょうか。豆とじゃがいもとタマネギが入る、おかず的アプローチです。穏やかでいくらでも食べられるねえこれ。ごはんなしでこれだけ食べてお腹いっぱいでもいいし、チャパーティなどにもよく合うでしょうね。こういうスタンダードなおかずが好き。
パプリカパチャディ
ナスと豆で辛くしてあるのはちょっといいなあ。これがこの日の一番南インド的、定番的な味ではないかと感じます。豆を使って煮込んだ料理はどうにもインド料理らしさを強く感じるよね。風味良く、豆からの適度な粘りと食べ応えがよいんだよ。何気なくずっとスプーンが進んでしまうタイプの料理で、おかわりしちゃうよね。
セミヤパヤサムもおいしかったなあ。デザートです。お店によって、コックさんのセンスと経験で意外と差が出るこの類の甘いもの。ヴェヌゴパールシェフのこれは実に上品で後ろ髪を引かれるよいものです。甘すぎない、でも甘くて幸せ。いいねえ。
いつ来ても町の食堂で、なのに特別おいしくて。町の食堂なんだけどちょっと洒落てて、でもちゃんとこなれてきてて。
まったく本当に代替がきかないよいお店だな。