カレーですよ4854(新板橋 スパイスラバー)濃厚な集まり。

最近思うところがあるのです。それは「インド・ネパール料理」という括りを蔑ろにしてはいけない、ということ。

いや、けっこう前からそうなのだけどね。

 

 

カレーですよ。

 

 

味としても、時代としても、そういうのはもう通り過ぎた過去と言えるかもしれないとも思います。不真面目な店や美味しくない店の淘汰もあったし、より深く相対するお客さん側の立場の人も増えました。

まずはおいしいものというのはけっこうな幅があると思うのです。

大森の、おそらく日本一おいしいインド宮廷料理のひと皿も、町場のインネパのバターチキンもわたしにとってはおいしいものの仲間。もちろんそれらはいろいろとまったくちがうものなわけですが、なるべく簡単に言葉で括ればどちらもおいしい。それでいいと思ってます。本物であるかないかという議論もあるけれど(これはまた何をして本物か議論に発展します)ごくシンプルに、目の前の皿の料理がうまいのかそうじゃないのか、という問いかけでいくとわかりやすい、どちらもうまい。そういうことです。高度や深度が違うだけだと思っています。どちらがいい悪いじゃありません。

それと「インド・ネパール料理」の看板を掲げるお店、行って自分から掘らないとば面白さやそのお店の仮面の下は簡単には出てこないという話しと、現代日本の飲食店ではチェーン店隆盛につきかなり姿を消してしまった店主と丁々発止でやりとりする果てのカスタマイズ、おまかせ等のこともね。何のことかと言えば「メニューこれだけ?あれとかそれとかできない?あ、できる!じゃあお願いします」みたいな話のこと。

きちんとお店の人とコミュニケーションが取れているのか、距離感は縮められたか、信頼関係があるのか、何度も通ってのお付き合いがあるのか。そういうところからメニューにないメニューが出てきたりそのコックさんの故郷の味が楽しめたり。そんなことがあるんだよね。それこそがレストランに通う醍醐味と言えますし、ただメニューを見て特にアイディアを持たずに注文する他のお客さんたちがたどり着けない食卓、ということになります。

長々書いてしまいましたが、ここ、新板橋の

 

「スパイスラバー」

 

は良い店だ、という話し。「板橋区のバラ」でお馴染みのロザリーさん。彼女がアテンドしてくれました。それで悪いようになるわけがない。そりゃそうだ。なぜって、ここは板橋だから。

インネパの甘いバターチキンなどではない、ゴリっと手応えある民族料理。この日食べた料理です。

初めに書いた「おいしさの質」の違いが大きく出るという話しね。口当たり良いというのとは違う、手応えや興味をそそるという枠の中のおいしさ。民族料理としてのおいしさがあるのです。大変楽しい、感銘深い。

そのうえね。

 

板橋の名店、いや、それをもう越えた場所にある鶏肉専門の名店「鳥新」提供の(この日だけのスペシャルオファー、ロザリーさんのお力添え無くしてこの形にはならないものです)親鶏の骨つき肉を使ったジョール(スープ)の滋味深いことといったらもう!これは大変なものが出てきたなあ。

しかも鳥新のお店のキーマンお二人も同席してくださりお話を聞けるという悦楽。とんでもない贅沢をさせてもらいました。

 

贅沢といえば「なんどり」店主のいなさんと「キッチンスタジオペイズリー」の香取薫先生が席に並び、喧喧諤々のおしゃべりを聞かせてくれて、頭もお腹もいっぱいになるわけです。贅沢!贅沢すぎる!

こういうお店と、店をよく知るお客さんのアテンドと、専門家いう強力な組み合わせ。

大雨のこの日、間違いのない幸せにたどり着いたのです。ああ、濃ゆかった。