レトルトの頂き物です。どうにも胃袋と記事のネタの空きが作れぬまま時間が経ってしまうのです。これをいただいたのは8月の終わりだったかな。
カレーですよ。
静岡駅前の「ワイン食堂 ぐるまん」の馬瀬さんが精力を注ぐ地元産食材を使ったレトルトカレーです。前にもいただいたことがある3種というのがあるんですが、そのシリーズの新作が出たようです。
馬瀬さん、お元気かしら。
「ワイン食堂 ぐるまん」
は新静岡駅のすぐ前にあるちょっと良い感じのカジュアルなビストロなのです。レトルトのパッケージに顔写真がある店主馬瀬さんがいつも笑顔で迎えてくれます。
今回2種いただいた中、まずはこれ。
「静岡抹茶スパイスカレー」
名前が抹茶となっているんですが、たしかにその風味あり、です。しかし、それ以上にスパイス強く香り良く漂うのがいい。かなりよく出来の辛口サラサラカレーとして完成していると感じます。このバランス感覚、いいぞ。具材として入るチキンも野菜もちゃんと存在感があり、それが満足感につながっていますね。椎茸が入るのも面白いアクセントです。
カレーソースは油でツルツルさせず、ちょいと舌にざらついてくる感じを残してあります。これは抹茶かそれともパウダースパイスかしら。この感じも手応えが感じられて好みです。
敢えてだと思うんですが、強く抹茶に振っていないところ、いいと思います。
バランスをきちんと取ってあって「辛くてさらさらしたカレーを作ろう」という着地点がまずあっての素材としての抹茶。そういうスタンスが見えた気がします。これは大変良いことなのです。
地元の一次産業の成果物を入れようと頑張る地方の地域おこしカレーにおいて、その1点にのみ集中、いや、執着しすぎてしまい肝心の味のバランスを忘れてしまうという事例を見てきました。そういうジレンマ、そういう例を本当にたくさん見てきたんです。悪いけど、そういうものはやっぱり売れないし、それは仕方がない。何よりも「食べる相手ありき」が料理、食品というものですから。
そこをちゃんと認識、地元のもの「だけ」という考えを払拭し、まずは美味しいものを作ろうという意思が透けて見えるんだよね、これは。その上できちんと地元産の食材を持ってきています。こういうのはとても気分がいい。
食品というものは、地域の、地元の、ではなくてまずは「美味しいから」選ばれなければいけないのです。「美味しい地域の産物の加工食品」であるからこそ、価値というものが生まれる。当たり前だよね。
そして地域の食品のもう一つの価値、美味しく食べながら、その地域のことを思い出す、気にかけるというところにつながるチカラ。
先の静岡県の大雨災害の大きさも、いまもそこからの脱出を頑張る人がいることを忘れずにいねばと思うのです。
食べて思い出す。それがこういう食品の持つ、チカラ。