恥ずかしながら、夕刻、素直に「カレーライスが食べたい」と思ったのですよ。なぜ恥ずかしながら、なのか。
カレーですよ。
なんでこんな物言いをするかというと「ではお前はあんなに毎日カレーばかりを食べているのにそれほど食べたくないのか」と言うお叱りが飛んでくるかもしれない。まあ、当たらずとも遠からず、なのです。
普段はもうなんというか、空気を吸うようにカレーを呼吸するわけで「食べたい」とか「たまらない」とかではなくて、本当に駅で切符を買うように、庭で花に水をやるように、それくらい当たり前にカレーと接しています。だからみなさんのように「ああ、カレーライスが食べたい!」と言う衝動的な感情は少ないのかもしれない。そう思うのです。
それとね、みなさん「カレーが食べたい」って言っていろんなもの食べるでしょ、カレーじゃなくて。たとえばインド料理だったりスリランカ料理だったり。わたしはあれ、頭の中で切り分けができていて「カレーライスが食べたい」と思うんです。インド料理とかスリランカ料理じゃなくて。わりと細かく分けて頭と感情が動きます。なので「あんなに毎日カレーばかりを食べている」というわけでもないんですよ。カレーという言葉は本当に難しい。
そんなわたしが久しぶりに素直に「カレーライスが食べたい」と思ったのは「仮面ライダークウガ」のコミック版を読んでてテレビ版を思い出して。オリエンタルな味と香りの店「ポレポレ」のマスター(きたろう氏)のあのカレー。五代雄介がお水と共に持ってきてくれるあのカレーライスが食べたい!と素直に思ったんです。
あそこの場面で出てきていたカレーライスはどんなカレーなんだろう。「オリエンタルな味と香りの、、」は多分前口上というかキャッチフレーズで、変わったカレーではなく、スタンダードなカレーライスのちょいといいやつ、美味しいやつなんではないかと想像したのです。そういうのを手っ取り早く近所で食べられる店は、、そう思って向かったのが、木場の
「ジャンカレー」
自ら「日本人が思い描く「カレーライス」のお店」とポスターに銘打っています。食べればわかるその物言いの妙。その通りなんだよね。いや、本当は正解がないのがカレーライス。カレーライスの正解は日本人の一人一人が心の中に持っている、各個人別々のものなのですが。とはいえ大筋、というものはあると思っていてね。
その大筋を行くのがジャンカレーのカレーライスなのではないかと考えるのです。CoCo壱番屋ではないのだな。
CoCo壱番屋のカレーライスはCoCo壱番屋のカレーライスであって、実は先ほど書いた「大筋」には乗っていないと考えているんです。なぜなのか。
これ個人的な結論なのでたくさんの考え方がいいと思っています。そういう前提で話すと、CoCo壱番屋のカレーは「喫茶店のカレー」であって、喫茶店のカレーは「大筋」ではないんじゃないかな。これはとある地方の国道沿いの喫茶店に立ち寄って経験したことから思い至ったのです。そもそも、CoCo壱番屋の前身は愛知にあった小さな喫茶店、これだけだと話が終わってしまうんだけどね。
件のたまたま通りかかった喫茶店でカレーを頼んでやってきたカレーを食べたんですが、少しがっかりしました。おいしいかそうではないかじゃなくて、好みと違ったから。
わたしは専門家であります。なので好き嫌いではなくどのカレーも興味を持って食べるんですが、こと好みでいくとちとわたしの趣向とは違っていました。甘味の要素がすごく少ないんであるよ。ブイヨンをベースにちょっと辛くてしょっぱい感じに仕立ててあります。まさにこれ、喫茶店のカレーだなあと感じたのです。打って変わって洋食のカレーライスはあまからという考え土台がある気がしています。もちろん100%ではないですけどね。何事にも例外はあります。ただ、その例外も一つ一つ掘り下げて調べるとその例外に至る理由も浮かび上がってきます。
それでね、言わずもがなのわたしを含めた日本人の舌は甘辛が好きなんであるよ。甘辛に弱いんであります。
ジャンカレーはそのあまからをうまいこと甘すぎずにバランスさせています。そしてこれもお店の信条だと公言、熱々を出す、ということ。これすごく大事。あっつくって山盛りでいいにおいでちょっぴりあまから。これがわたしの欲しいもの。