カレーですよ5036(群馬太田市金山城 フタバ商店)瀟洒な山荘のスパイスカレー。

 

ちょいといろいろ驚いたのです。まずその立地に驚かされました。まさにそこは山の中、山のコテージのような洒落た別荘感漂う建物。ここ、お店なんだ。クルマを停めてアプローチの緩い坂を登るところでもう気持ちが高揚してきます。

 

 

カレーですよ。

 

 

例によって行き当たりばったり。わたしはたまにGoogleマップを眺めてはキーワード「カレー」で検索をかけます。Google検索ではなくてスマートフォンのGoogleマップアプリでの検索です。これがミソでね。気になる店をポインティングしておいてあとで出かけた時に近くにある行っていないリストの店に立ち寄る感じでやってるんです。Googleマップにお気に入り登録が実装されてからずっと、そんなことを長く続けています。

この日はノーマークのお店に飛び込みました。素晴らしい偶然になったなあ。たまたま通りかかったおよそカレー店の雰囲気のない名前のお店。

 

「フタバ商店」

 

ですって。こういうところに面白いカレーが潜んでるのであるよ。

大田桐生ICから程近く。スバルの群馬製作所大田北工場の裏にある金山には戦国時代の山城の跡があります。今回初めて知りました。なんかね、マップに展望台があるって出てきたんで、例によって山道細道が好きなわたしはそっちにハンドルを切るんであります。ちょっとした峠越えの趣がある細い山道を突き当たりまで走ると展望台にたどり着きます。いい眺め。

で、その手前、道沿いにに何かあった気が、、、あれ、幟に「カレー」って見えたような。いや、見えたよね。引き返してみると峠道の切れ目に入れる路地がみえました。地図で見るとボーイスカウトの施設に見えるんだけど。カレー、本当にある?

いってみると柵があって行き止まり。ああ、やっぱり違ったか。

いや、あった、その逆側の坂の上か。そうか。奥に白い建物が見えました。

 

誰かの別荘と言えばそのまま信じてしまいそうなちょっとプライベート感を纏う建物です。お店に入るとその感はますます強まって来ます。壁には真空管アンプと大きな一体式の脚つきスピーカーのクラシックなオーディオセットが配され、テーブルとソファのこなれた感じなど、そんなふうに思わせるものがあります。

バーカウンターがあってそこでオーダーと支払いを済ませるスタイル。

スパイスカレー、ドライカレー、チキンカレーがあるようで、その中でバリエーションが分かれています。

 

「スパイス増しトマトミート」

 

というのを選んでみました。ジンジャエールももらいます。

飲み物とかとカトラリーセットをその場で受け取って席につきました。

高い吹き抜けの天井に届く大きな窓に面したカウンターに腰を下ろします。こりゃあ気持ちがいい席だなあ。なんともはや快適のひとことです。

やってきたカレーはさらさらのカレーソースの湖にごはんの島が浮かぶスタイル。大阪のあそこにちょっと似たビジュアルは、カウンターの天井まである大きな窓から差す光と相まって、写真を撮ってみるとヨーロッパの写真が綺麗な料理のスタイルブックなどに印象に近い感じになるなあ。純粋に美しいと感じます。

ひと口目は「出汁系かな?」という印象。ふた口目で弾けるスパイスたち。その後から少しだけ喉と口を焼く辛さが追いかけてくる多段式スパイスロケットです。カレーソースの中から色々なものが発見されてたのしいな。

ハラペーニョは辛さ以上に酸味でアクセントをつけてくるのがいい感じです。これがね、辛いばっかりじゃないのがなかなかいい。ドライのフェネグリークリーフとナッツが香りと食感のアクセントになっています。

大粒のアーモンドは甘みを感じさせておやっと思わせるところあり。細かい粒はケシのみかな。甘さが急にやってくるのはドライのグリーンレーズン。これまたいいアクセントです。

食べながら変化があるのは楽しいものだよね。挽肉はあまり下味をつけず素顔のままの良さがありました。

これ、ニッポンのクラシックスタイルの「カレーライス」とは違う料理です。そこを勘違いしているお客さんは幸せになれないので注意しないとね。未だカレーは「カレーライス」という意識が普通の日本人の平均である2023年、それでもこういうお店を選ぶお客さんたちは多分勉強熱心であろうはず。受け入れられると思います。

他のタイプのカレーもぜひ食べてみたいなあ。

 

そして、あの快適な空間。ランチピークも終わりそろそろ閉店に向かって、という時間に訪れたらお客はわたし一人。大変に贅沢な時間を過ごしてしまったよ。

あの空気の中にもう一度戻りたいな。