「エキサイティングマックス!2024年3月号」本日発売。今月のカレー連載「それでもカレーは食べ物である」は新宿のパキスタン深夜食堂「パトワール」
カーンさんに会いに新宿へ行ったのです。彼は夜番なので22時くらいに行ってみたよ。取材の申し込みでした。
カレーですよ。
パトワール、好きなんだよね。あの佇まいがとても好き、それも夜がいい。いつもクルマなんだけど、それもいいんだけど、少々遠いけど歩いて南口の方から近づくと暗い中に誘因性高い強い光と個性テクな飾り付けが目にはいってほっとする。あの感じがいいんだよ。
それで、店に入ると明るくて強い色の壁とかが見えてすごく面白い。新宿からラホールにトンネルが繋がってるんじゃないかって感じになります(カーンさんはカシミール生まれでラホールには行ったことないよって言ってた)。どうなってるんだか古いパキスタンのモノクロームの映画なんかが流れててね。
連載誌の取材願いだったんですが、お願いをしてみれば、迷いもなく頷いてくれて快諾を得ました。ほっと一安心。以前も一度取り上げたんですが、カーンさんも喜んでくれたし、店に行った時にたまたまいらっしゃったパトワールのオーナーがね、きれいな日本語で「いつも宣伝をしてくれてありがとうございます」って。喜んでもらえて何よりです。
いいお店、好きなお店しか取り上げないんですよ、SNSも連載も、って言ったらにっこりしてくれました。だって、
「パトワール」
が好きだからさ。繁盛してくれて長くお店続いてくれないと困るから。
ムスリムの人は感じがいい人多いんだよねえ。カラチの空のジャベイドさんもそうだし射水に行った時のコックさんたちもそうだった。なんだかやさしいんですよ。
この日は膝が痛くて電車で行くのが難儀であったのです。階段の登りはいいんだけど下りがいけない。なかなか難しい。歩く速度も遅いんです。まったく歳をとると治り遅いからつらいよなあ。
この日はお弁当ではなく食べて行くことにしました。メニューに悩んでいるとカーンさんおすすめが来ましたよ。「ブレインマサラ、あるよ。スペシャルメニュー!」おお、そうなんだ。じゃあ、
「ブレインマサラ」
おねがいします。羊の脳みそドライカレー、だそうです。
イメージと違ってました。
酸味と辛さで食べる爽やかなもので、よく白子のような、と例える人が多いですがそういう感じ、そういう仕上げにしてなくて、ドライタイプでキメてありました。そんなドライ仕上げだからだと思われるんですが、なにか鶏ササミを細かく叩いたような食感に感じました。いやこれおいしいなあ。
それと、カーンさんはトマト多めの調理が好きみたい。C弁当(ドライカレー)を注文するとそれが如実に出るんだよね。他のコックさんと色が違うの(カーンさんのはより赤い)。カーンさんの味が好きです。あと、出色だったのが「ドライガーリックライス」ものすごいおいしかった。
カレーと合わせるためだと思うんだけど少しだけ塩が控えめになっていて、でもそのひかえめ分を止めるか自分でお塩を振りかけたら立派に一品料理として成立する味なんです。あれだな、ご飯を使ったペペロンチーノだな、これは。しかも一流シェフの作ったやつの味。
終電の都合で食べきれず持ち帰りとなりました。そうだそうだ、クルマじゃないんだもん、危ない危ない。すっかり話し込んでました。
カーンさんがお会計をオマケをしてくれました。ラッシーもサービスしてくれちゃって。
困ってしまうぞ。嬉しいぞ。その分いい原稿にしなくっちゃね。