前にも書いた。「みなさまのお墨付き」、であります。また買いました。なかなかわくるないから。
カレーですよ。
西友はPB製品開発時にコンシューマーのテスターを立ててその8割からお墨付きをもらって製品化しているそうなんです。だからこの名前。
そのなかに
「みなさまのお墨付き カシミールチキンカレー」
を見つけた時には驚いたよなあ。
これはもうカシミールの民主化ではないのか、そう言いたくなります。
カシミールカレーという名前はご存知デリーのものです。まちがいなくそう。それがデリー本家で暖簾分けをしたお店、デリーでノウハウを蓄え独立したシェフのお店、そのお店から派生した孫店、独自に研究して同じような味をめざした派生店などその広がりは気づけばずいぶん大きくなっています。
おもしろいのはその名前。
カシミールカレーというのは実はデリーの歴史の中で「間違いでついた名前」なのを知ってますか?。
デリーのホームページに詳しいのですが、要約すると辛いカレーのニーズの高まりを受けて開発したカレー。その名前を創業者が南インド・マドラスをイメージして「マドラスカレー」と名付けたんですが、印刷業者に原稿を渡す際うっかり「カシミールカレー」と書いてしまう、というストーリーなのです。
であるからしてインドに「カシミールカレー」というものは存在せず、デリーの完全なオリジナルの料理なんです。そしてその後発でカシミールを名乗るカレーはデリーの間違えでつけた名前まで踏襲しているということになるわけ。デリーのカレーを基準として作ったのがわかるわけです。
https://www.delhi.co.jp/process/
それを前提にニッポンの黒くて強く辛いカレーのいちジャンルとしていつのまにやらデリーのカシミールカレーが一般名詞化しつつあるというのが今の状況だと考えています。この前提をして「民主化」と書いたわけです。
それはともかく西友の「カシミールチキンカレー」は、その片鱗がちゃんと見えると思うよ。たしかにあのニュアンスを求めたのを感じさせるところがあります。250円でこれだけやれば立派なものだと思う。しかしこれ、あくまで亜流であり、あの味を求めてはいけないです。ガーリックのパンチと強い辛さをバランスさせたレトルトカレーとして受け取るといいんじゃないかな。家庭用レトルトカレーとしては結構な辛さがあってその筋の御仁にも響くのではないかしら。
前にも書いたんですが、デリーさまのお墨付きかどうかというツッコミは各方面からきていると思われるのでわたしは言及しないのです。
とにかく各メーカーにおかれましてはきちんと本家へのリスペクトを以て企画するなり開発に臨むなりしてほしいものです。