
みなさんは「光速船」というやつをご存知でしょうか。正式名称「コンピュータービジョン 光速船」。バンダイが販売していたディスプレイ(ブラウン管)一体型ゲーム機のこと。1983年の発売で大変高価なものでした(当時価格54800円)。わたし、このゲーム機の記憶があるんだよな。たしか学生時代だった。同年にファミリーコンピューター、ファミコンも発売となっていた、そんな頃です。
ゲームあんまりやらないよ、と嘯くわたしなんですが、思い起こしてみるとそれなりに楽しんでたな。特にシューティングゲームが好きでした。

時代背景で言うと1975年、エポック社が日本初、家庭用ゲーム機「テレビテニス」を発売。ここから日本のビデオゲームの歴史が始まっています。1977年には任天堂もビデオゲームに参入。「カラーテレビゲーム15」を発売。同年、トミーも「TVFUNカラーモデル601」を投入。日本のビデオゲームの胎動期です。
1980年バンダイから発売されたのは「インテレビジョン」。アメリカのマテルのゲーム機をバンダイが輸入したものでした。翌年1981年に「CASSETE VISON」がエポック社から登場。ソフトウェア交換式ゲーム機で当時の日本で一番成功したハードです。「与作」、覚えているよ。木を切り倒したりイノシシやっつけたりするやつ。
バンダイはどうも輸入ゲーム機を販売するのが好きみたいで1983年には香港のメーカーが開発した「アルカディア」を販売。「インテレビジョン」から「アルカディア」へ。そして同年、1983年7月に任天堂がファミリーコンピューターを発売。そんな中、異色のディスプレイ(ブラウン管)一体型ゲーム機をまたもバンダイが輸入、仕様のわずかな変更ののち発売したのです。そのディスプレイが特殊だったんだよ。

ベクタースキャン方式のブラウン管モニター。ベクタースキャンは描画法式のことをいうんですが、座標で画像を描画するやりかた。ざっくりいうと鉛筆一筆書き的な。写真などの細かい描写は苦手なんだけどシンプルで美しく動きます。その対になるラスタースキャン方式はピクセル/画素を使って描画する、いわゆるテレビや現在のPCモニターなどのやり方。これもざっくりいうと油絵的というか、面で塗っていく感じ。よーくみると点の集まり、みたいな(だいたいあってる?大丈夫か?)。
元はアメリカ「General Consumer Electronics」社が「Vectrex」の名前で発売したハードウェアでした。ここらへんの歴史の話しはわたしがこれ以上書いても仕方なかろうね。ゲーム機の専門家は数多いるからね。

今回この「コンピュータービジョン 光速船」=「Vectrex」、そのミニチュア版を作っちゃおうぜ、というクラウドファンディングが海外、キックスターターで始まっています。日本からも買えるんですが、まあそれよっか安心と信頼のきびだんご、ということで今回満を持しての日本国内クラウドファンディング展開、きびだんご株式会社が公式パートナーとして日本でのプロジェクトを進めるという流れになったんです。
その名も、
「Vectrex Mini(ベクトレックス・ミニ)」
まず素晴らしいのが「Vectrex」実機をキャプチャ、筐体サイズを1/2に縮小してのガワなこと。ありゃ〜「光速船」そのものだなあ。

「Vectrex」、いいんだけどサイズが大きいから部屋に置くとなかなか大変なのよね。ハーフサイズにしたの、ナイスです。なのでディスプレイは9インチCRTから5インチのAMOLED(アクティブマトリクス有機EL)に。コントローラは有線接続からBluetooth接続になって利便性が上がってます。ホントはあのカールコード好きなんだけどさ。実機にはついていなかったHDMI端子とWi-Fiも装備。外部ディスプレイ出力やネット接続も。

なにがうれしいって当時の筐体を再現できる「Vectrex」や「光速船」仕様を各国バージョン選んで再現できるステッカーが付属。ツボ押してくるねえ。わかってらっしゃる。フランスの開発チーム「FLYNN’S GENERATION」最高です。3年の開発期間を経て完成した復刻版、ただもう泣かせにきてます。

「Vectrex Mini(ベクトレックス・ミニ)」をただの置き物にさせないおまけ昨日もついているんです。これは完全新規機能で「Vectrex Mini(ベクトレックス・ミニ)」オリジナル。時計モード「Vector Clock」も内蔵されました。いい、いいねそれ。日常的にこの筐体をちゃんと稼働させる意義ってもんが発生するわけです。置き物化を許さない。いいじゃないですか。

ソフトはといえば「MineStorm II(内蔵ゲーム「マインストーム」の修正版)」「Bedlam」「Hyperchase」「Spinball」など13本だったかな、ゲームがプリインストールされています。さすがにROMカセット交換というわけではないですよ。とはいえ内蔵SDカードスロットからコミュニティなどが制作した自作ゲームの追加などにも対応。いろいろ夢が広がります。

元祖の「Vectrex」はディスプレイの上にオーバーレイという半透明シートを被せて擬似カラーディスプレイ的になってましたがこのオーバーレイもとうぜん「Vectrex Mini」の5インチディスプレイサイズとなって付属します。よかったよ、物理再現で。LCDの画面内でゲーム自体の色をいじっちゃうのはやなんだよ。浪漫なんだからさ。オリジナルに準じてこういうアナログ対応してくれる企画者の熱い思いが伝わります。同じ思いの同士が作ってるなあ、と胸熱です。
それで、当時のわたしの体験。

1980年代当時、学生だったわたしはゲームといえばゲーセンにいってシューティングゲームを日がな一日やっているか、MSXでハイドライドをやるか、というような日々。ファミコンはまだまだ子供っぽい内容だったしね。そんな時にデパートのおもちゃ売り場やゲーム専門店のカウンターの上でひときわ輝いていた筐体が「コンピュータービジョン 光速船」でした。

とにかく不思議な浮遊感があるディスプレイでね、なんといったらいいのかな。例えれば水槽の中を覗き込むような感覚「揺らぐような立体感、水の中の奥行き、視覚のなかでゲームをする」という擬似立体的体験。これにはとても興奮しました。本当にほかにない不思議なもので、買えるわけもないその高額でデカい筐体とブラウン管ディスプレイを他人事のように、しかし夢中で眺めていた記憶があります。

そして40数年の時を経て、現代にやってきた「Vectrex」のミニチュア版「Vectrex Mini」。さすがにあの「浮遊感」までは再現できない、むしろあれは時代の彼方に消えて伝説になったブラウン管xベクタースキャン走査だけの感覚だと思うので全人類から封印、でいいと思うのです。なのに、ですよ。
海外のクラウドファンディングがKickstarterで2025年11月にスタート。目標額11万ユーロ(約1940万円)を一瞬、わずか数日いきなりキメてきて、その後ストレッチゴールどころではない勢いの快進撃。現在118万ユーロ(約2億2000万円)ですって。いやとんでもないな。これは浪漫の共有です。オールドゲーマー、レトロゲーミングラバー、そういう人たちが世界にはこんなにもいたという証明。そして今回開発の代表ともお会いできてお話を聞けました。いろいろと満腹であります。

2026年という時代にこれを手に入れる、という意味は、それはつまり当時買えなかった高価なものが現実的価格で手に入る、しかも扱いやすいハーフサイズで、といった単純な話しではなく、物理や経済の話ではなく、歴史も文化も持つようになったビデオゲームカルチャーのイコンを手に入れる、聖杯を手元に置く、事象を手に入れるということに他ならないでしょう。

さて日本のわたしたちはクラウドファンディングプラットフォームである「Kibidango」にてプロジェクト開始を待ちましょう。
