いつもと違うジャンルのものを食べるのはどうにも楽しいもんです。それを後で調べて「そうだったのか」とか「あれはそういう意味だったか」なんてのが好きなんです。
カレーなしよ。
秋葉原での取材の後始末的仕事を終えて御徒町へ移動です。なんとなくこの日は歩いて移動してみっかなあと思い立ちます。ちゃんと街を歩かないと発見とか考察とかに行き詰まることあるからね。
歩いている途中で何か引力を感じるので顔を上げてみると、強い誘因力で「魯肉飯」の文字が私に呼びかけてきました。
おお、「魯肉飯」いいねえ。もちろんそういう呼びかけには即応えることにしています。
「沙県小吃」
というお店でした。
お金はかけていないけどこざっぱりした印象のお店です。個人店かチェーンなのか、何を出すのか何がメインか。まったく知らずに飛び込みました。ただもう「魯肉飯」食えればいいよねえ、と。
後で調べると中国全土に65000店舗(!)の展開をする世界最多店舗を抱えるキャンティーン、大衆食堂なんだとか。すげえなおい、その店舗数!
看板にカタカナで「サケンシャオチー」と店名が読めるように書いてありました。中国語読みだと「シャーシャンシャオツィー」かしらね。もう少し調べてみると面白かったんです。このお店、チェーンとか会社組織ではないんだって。
福建省三明市の市轄区、沙県区の発祥だそうです。古くから小吃(軽食)が名物の同地域、「沙県小吃」の名前でお店を始める人が昔から多くいて、店名というよりもジャンルの通り名的なところもあるみたいです。90年代の中国の地域経済崩壊の折、個人の商売を助けるため県政府主導で商標、ロゴの統一や調理、メニュー指導なども行われて、そのタイミングでお店も増え、店舗数世界最大の外食店グループとなっている、のだそう。おもしろいねえ。成り立ちが資本主義国っぽくないというか、昔っぽい感じおもしろい。
つまり統一ロゴでの多店舗展開と外からは見えるんだけど、僕らからみるとチェーン店に見えるんだけど、それは違ってて、というね。Wikipedia、ありがとう、ありがとう。
インバウンドで大陸から来た人はこの看板が東京にあるのをみて皆驚くそうです。それくらい中国全土に店があるということかしらね。
それで、
「魯肉飯」
を注文。味はわたし的には台湾のスタイルの方が好みでした。
味のバランスが面白かったんだよね。魯肉の部分、あまじょっぱい味を想像してたんですが意外やあんまり甘くしてなくて。甘味は高菜炒めの方についていて、うわ、おもしろいってなりました。合わせるといつもの魯肉飯的になるのがまたなんというかいい意味で裏切られる感じで楽しいの。ちょっと驚いたよ。
スープもついてきちんとお腹いっぱいになって750円。安いなあ。
店のウリは拌麺/バンメンだそうで、汁無し混ぜそばらしいです。ナッツペーストを使った粘度の高いソースが麺の下に敷いてあって混ぜて食べるんだとか。へえ、気になるぞ。そちらも食べにまた行きましょう。