新川にデリーが帰ってきました。わたしは本家上野通い頻繁なんですが新川ももちろん定期的に食べにきてました。そうやって「カレーですよ5230(茅場町 新川デリー)祝、移転。」書いたんですが。
カレーですよ。
記事、もう一度読んでね(笑)
それで、カレー関係のえらいひとに誘われて、行く日の調整もしてもらったにも関わらず先に行きました。我慢できずです。それはいいんだけど、エンジンかかってその約束までに3回行きました(笑)
「新川デリー」
なんというのかなあ。ちょっと急激に思いが込み上げたというか。
「新川デリー」、移転が成ったわけですが、やっぱりヒヤリとするのです。心臓によろしくない。
ここのところコロナだったり、わたしと一緒に年齢を経てきた店主の仕事納めだったり土地建物の話だったりで随分と名のある良い店が閉まっています。ぼやぼやしていると思い出の彼方。それはこまるわけです。そんな思いもあって新川デリーがしまったという報にぎくりとしたんですよね。デリーの田中社長のブログなどで移転ということは認識していたんですが、どうなるかなんて誰にもわからない。そうやって心配の果てに物件の決定や開店の知らせなどがあって心底ホッとしたんです。
えーと、こんなこと書いたら浅野社長に怒られちゃうかもしれませんが。本家はうちからバスの便も良くて、それ以上にあのカウンターが好きで足繁く通ってます。新川だっておなじくらい、と言いたいところなんですが頻度はやっぱり上野、、、だったはずなんですが。
「新川デリー」いざ一旦閉店など聞いたらちょっと自分の中での動揺が大きくて、そういう自分に驚いたというのが正直なところでして。なので、なんだろうな、こうしちゃおられん!と連日日参。挙げ句の果てに連載の取材を申し込んでしまった、というのが顛末なのです。
ちょっとだけ、連載の5月号の冒頭をね、ちらっと。「ないと困る店、代替えが効かぬ店というものがある。」という文頭が、執筆を始めようとキーボードを目の前にしてするりと降りてきました。原稿の執筆、この書き出しのワードというのがすごく大切で、だから苦しむところでもあります。いくら構想がいいところまで運んでいても、冒頭の一言が出てこないとどうにもできない。一歩も動けないのです。その頭の一文が出てくると驚くほど筆が走る。頭のセンテンスさえ出れば、と毎号苦しみながら原稿を捻り出しています。
いろいろなパターンがあって、取材の途中で原稿の半分が頭の中で出来上がる時もあれば、ネタなり書きたいことなりがこれでもかと取材できたのに、その冒頭が出てこなくて三日三晩苦しむというパターンもあるんです。浅野社長のところの場合はもうね、これしかな、と。今回の一連での想いがその文頭に魂をくれた感覚です。「ないと困る店、代替えが効かぬ店というものがある。」それが全てです。
かくして本家、田中社長をして「職人浅野の味」と言わしめる価値ある味は守られたのです。本当に良かった。
ちっともこの日食べたカレーのことを書いてなかったね。
「コンチネンタルカレー」
を食べました。水曜だけのお楽しみ。
クラシックなカレーライスでね。およそデリーを知ってるひとたちにとっては「なんだこりゃ」というカレーだよ、なんて言い方をする人もいるんですが。いわゆるジャパニーズスタンダードなカレーライスです。あなたが想像する古いカレーライスそのもの。なのにね、デリーの味だな、と納得してしまうんだよね。
いつだったか田中社長が、、あれはLOVE INDIAかなんかのイベントの時だったと思うんだけど「なにを新しく作っても「デリーの味がする、デリーのクセを感じる」といわれちゃうんだよねえ」と困った顔をしているのを覚えています。「コンチネンタルカレー」を食べるとあれを思い出すんです。
クラシックでスタンダードなんだけど、やっぱり店の味になる。新参では簡単ではないことです。素晴らしいことだと思います。「新川デリー」のことを大事に思っています。
そしてこのカレーのあと、そんな想いをぶつけながら取材を申し込んで、浅野社長に快諾をもらったのです。
「エキサイティングマックス!5月号」、全国のコンビニと書店で本日発売。連載「それでもカレーは食べ物である」をご覧ください。