カレーですよ5302(目黒 株式会社スープストックトーキョー 本社)「Curry Stock Tokyo2024」は6月21日と22日の2日間。

 

株式会社スープストックトーキョーは創業からもう25年になるそうです。当時「洒落たコンセプトの店ができたなあ、これでチェーン展開かあ」と強く思った記憶が残っています。今や60店舗以上の実店舗展開。

 

 

カレーですよ。

 

 

で、スープ、シチュー類が好き好きなわたし、そりゃもうよく通うことになるわけです。カレーという括りで活動するわたしですけど、長くそうやって食べ歩くうちにどうやら煮込み料理が好きなのだという結論に至ったところもあります。スープ、シチュー、いいよねえ。

スープストックトーキョーにはレギュラーメニーでカレーがいつでも1〜2種あるんです。それでアイドルタイムなしの通し営業なんでカレーランチをスベった時とかに助けてもらったりするわけです。そういう便利さ有り難さもあるんですね。でもね、実はそんなんじゃ終わらないのがスープストックトーキョーの底力なのです。

あらためてホームページなんか見返すとアゴが落ちます。今週のメニューの中でカレーがあるんですが。グリーンカレーはわかるとして「カシューナッツのホッダ(スリランカ風ココナッツカレー)」なんてのがある。え!チェーン展開のレストランでホッダとかウェンジャナとか言ってる店初めてみたぞ!!いや、スリランカ料理の店でもメニュー名でそういう名前はあんまり出してない。すげえなおい、、、

でね、カレーもすごいんだけどやっぱりスープにしてしまうことも多いだよねえ。おもいだした!初期の頃ね、「オマール海老のビスク」が好きすぎて通い詰めた時期もあった。あったよなあ。世の中にこんな美味いもんがあったか、と思った若い日々でありました。

さて。

 

スープストックトーキョー、カレー付きの貴兄はもうご存じ、今年もアレがやってきます。

「Curry Stock Tokyo2024」

Curry Stock Tokyo 2024 開催決定

 

スープ専門店であるはずのスープストックトーキョーから「スープのない2日間」がやってくるのです。今回、ありがたくも株式会社スープストックトーキョー直々に「Curry Stock Tokyo for Press」ということでプレス向け試食会にご招待いただいたんですよ。25年前のオマールのビスクスープのうつわを舐め回さんくらいの勢いだったわたしにこの喜びを伝えてやりたいぞ。

目黒川沿いのいい感じにちょっと古いマンション(こういう建物のリノベ、カッコいいよね)のワンフロアを本社とし、ラボ兼プレゼンテーションルームを設けてあるおしゃれオフィス。快適なんであるよ。

わたしも飲食の現場にいたこともあるし、今はメーカーさんのお話を聞く機会も多いのですごくわかる所があるのですが、この2日間のためにカレーの製造ができるファクトリーを探し、料理自体を企画、開発、製造して現場でのオペレーションを組み立てて。いやこれとんでもないと思う。

まったくレギュラーメニューではない物が2日間だけ全店にラインナップされるわけで。業務的にそれどうなのよ!と思うわけですが、スープストックトーキョーの皆さんはニコニコと嬉しそうなんだよな。2日間のためにポスターやらステッカーやらの店頭デコレーションを用意し、Tシャツまで作ってしまう(アレ欲しい)。やっぱりとんでもない。

この動画、好きだなあ。

こりゃあアレだね、楽しくてやってるんだね、面白くて仕方ないんだな。そういうのが透けて見えてきます。リリースにも「一年に一度のお祭り「Curry Stock Tokyo」。と書いてしまっているしね(笑)。お祭りなんだよ。文化祭的な、ともあったしね。みんなでわいわいと楽しむんだね。そうなのか、そうかそうかいいねえ、そういうの。

カレーでお祭りやって楽しんじゃう、企業単位で。なんて素敵な会社なんだろう。そういう姿勢にカスタマーが呼応する姿が簡単に想像できちゃう。「商売の面白さ、楽しさ」の根源的な物がそこにあると思うのです。お客も店員さんも両方楽しい。すごいことです。

 

そういうひとたちだから、プレゼンテーションがみっちり。しかも内容、面白い、引き込まれる。思いと熱量がぐいっと伝わってくる。いやあ、聞いてて楽しい。

「Curry Stock Tokyo」は今回で9回目だそう。25年の会社の歴史の中で9年もこの大変な(だと思う)催しを楽しくやっているということ。しかもその間には新型コロナウィルス蔓延の時期も含まれるわけです。いろいろとグッときてしまうな。

 

さて、カレー。

 

豚トロのビンダルーカレー

インド・ゴアに端を發するビンダルー。それをスープストックトーキョーのセンスで。お肉を豚トロに、というチョイスがとてもいいのです。お肉、しっかりしていておいしいんだよ。タマネギの食感もうまく残してあります。酸味が過ぎない上手な味の着地にしてあって、現地のものそのままではないスープストックトーキョーの空気をのせた「らしさ」を感じさせます。ビンダルーすぎるとダメなんだよ。そのエッヂをどこまで削るかのバランス勝負。うまいねえ。

 

花椒の麻婆カレー

麻婆カレーはなにかと難しいのです。スタイルも考え方もそれぞれなので固定された味のイメージがないから。だから自由にやれるという考え方もあるともいえます。これはよかった。バランスの取り方とか小さくスマートにまとめる感がなく、素直にコレただ一つの個性を作り出していると感じます。花椒と豆板醤の辛さでこういうバランスを作ったものはあまり体験がないな。カレーと言い切れないけど(笑)どうにもおいしいのです。いや、これでいい、これがいい。

 

白いスパイスカレー

白いカレーもね、難しい。何をやってもホワイトシチューとどう違うの?ないしは白いけど普通のカレーの味がして面白い、だけで終わる物が多いのです。そういうのに満足しないのがスープストックトーキョーのDNAなんじゃないかな。酸味が少し前に出るんだよこれ。これ、おもしろいなあ。酸味がうまく「白いカレーのつまらない感」を払拭しています。ちょっと香ばしさにテンパリング的なものも感じたりして、個性的。

 

バルタラッチャチキンカレー(南インド風ローストココナッツカレー)

これが一番インド料理っぽい味。さつまいもは甘みを加える差し色的役割を果たしていていい感じ。味に変化を作り出していてとても効果的、おもしろいです。インド料理的な感じに素直に美味しくて、素直に感心してしまうなあ。現地料理であったらここはもっと強く、こちらはもっとエッヂを立てて、という面倒な声をスーッとかわすしなやかさと美味しさがあると感じます。いいぞこれ。

 

タマネギアチャールもスタンダードなもので添えられていると効果的に味のリセットができよいですね。枝豆とおくらのサブジ、これはいいな。オクラを和えてあるのが新鮮さを感じました。スープストックトーキョーらしさがあると思う。

7種の野菜の辛くないマイルドカレーはね、特筆です。キッズカレーの枠なんですが。実はこれが一番好みかもしれないと思ってしまったんだよ。とにかく丁寧な仕事がしてあるのが印象的で、ポタージュでありマサラであるこのバランスはちょっと芸術的にすら感じてしまったよ。これこそ言葉の意味としてのスープストックとしてベーススープにできる逸品で、ここから香りやからさの幅を広げていくと幅広いメニューができるのではないかしら!という背骨のまっすぐさと確かさを感じさせます。これすごい、おどろいた。キッズカレーは今回が初のチャレンジだそうです。いいもの作ったなあ。

兎にも角にも他にも色々とあるのですが、これくらいにしておきますね。

 

とにかくぶれていないな、という感想が残りました。土台がスープで、それがきちんと突き詰められていて、もちろんただ高級食材を使うとか何百時間かけるとかそういう意味とのズレた凄さではなくて。

多くの人たちがきちんとおいしいと実感できる、よいもの。そういうものを「よいもの」というわけですが。それがありました。そういうものを土台にしてカレーを作っている。マニアにむけておらず、かと行ってつまらないものにはせず、驚きがあっておいしいがある。こりゃあなかなか手強いぞ。

 

「世の中の体温をあげる」

 

スープストックトーキョーの理念です。カッコいいなあ。すごく、伝わってくる。