久しぶりになってしまったんですがモトさんを訪ねて行きました。カレーが食べたいというのはもちろんですが、モトさんに会いたいな、と思ったんだよね。
カレーですよ。
北習志野の、あのお店。ちょっと楽しかったんだよね。
引き寄せというかなんというか。申し合わせたわけでもなんでもないんだけど、お店に入ると知った顔がいます、そしてすぐにまた知った顔が後からやってくるというね。ぜんぜん頻繁に通ってるわけじゃないんだけどね、こんなことが起こる。わたしもモトさんもなんだか大笑い。なんだろねえ、これは、なんかとても楽しいのです。そうそう、
「モトカレー」
にはこういういい空気があるんだよ。これがモトカレーらしさだと思う。とても心地いい。
よし、カレーだよ。
「モトカレー」の味、誤解を恐れずいうと、いつ行っても「未来のデリー」を感じるのです。わりと本気で思っているんだよね。ちゃんと説明しないと誤解を受けそうな言葉です。つまり、「デリー」という店ではなく「デリーというジャンル」の、正確には「カシミール」という日本で生まれた料理のジャンルの未来なのではないかと思っているんですよ。
モトさんのカレーは柏系に分類されると思います。上野から数えると孫世代になるのかな。レシピを受け継いだのではなく、自分の経験で体感として掴み、それを自分のものにしているんです。血脈は垣間見えるもののそのカレーはもうオリジナルといっていいでしょう。モトさんの日々の試行錯誤と工夫がきちんと実りとして味に出ているのがすごくわかるから。そして今も、今日も進化し続けています。
「ミルチブタキャベツ」
など食べるとそれが本当によくわかるんだよね。今日のやつもやっぱり美味しかった。
本家上野のカシミールはストロングな味です。ソリッドで削ぎ落とした鋭さと豊かな香りがあるひと皿。そのエッヂに少し揺らぎや丸さを感じさせるのが柏系ではないかなと考えています。それは「柏系の祖が生まれた時点での上野の味」という分岐があるから。上野ももちろん止まっていないということです。あの分岐点からまた変化があったわけで。その当時の上野の味からの進化、ということです。良い例ですが、しばらく前に上野でやっていた「昭和のカシミールカレー」を食べるとそういう類推に辿り着きます。
いろいろ書きましたが、そういう面倒なのは置いておいてモトさんのカレーはうまい。すごくうまいんだよ。そしてわたしにちょうどいいんです。ちゃんと落ち着いて味わって食べられる辛さで、尚且つモトさんの色がちゃんと出ているカレー。いいカレーだなあ、と思わず毎回唸ります。
どこからどう入ったのかはわからないんですが、ラーメン方面のカルチャーもちょっと感じさせるのが面白くってね。ご本人はそんなこと思ってない可能性も高いんですが、わたしなんかの目線で第三者的に見るとそんな感覚もあります。いろいろと俯瞰してみようという気にさせる面白さがあるということです。
ミルチにはミルチだけの個性とたのしさ、おいしさがあるなあ。