カレーですよ5322(市川妙典 ドール)オシャレ&チャーミング。

なんというのかしら、チャーミングなお店でありました。そんな形容が似合うのではないかと感じたのです。

 

 

カレーですよ。

 

 

このお店、場所がなかなか難しいんですね。東西線の妙典駅から10分ほどだからけっして遠いとかじゃないんですが、周りはまるっきり住宅街。そういう場所に急にお店がある感じです。同じ建物の並びにもう1軒、飲食店(イタリアン)などあるんですが、やはり住宅地に急にある感が強いんですよ。

しかしこのお店、そういうところがプラスにはたらきそうな雰囲気があるんだよね。地元のいい店。住んでいる人に喜ばれる店、そういう空気がありました。

 

「DOOR」

 

と書いて、ドールと読みます。洒落た雰囲気でおよそインネパ店という感じではないな。そう、いわゆるインネパ店なんですよ。とはいえ居抜きなのかなど邪推せず、素直に良い感じで洒落ているのが好印象。そしておやっと思わせます。ネパールでこの感じはあまりないよなあ。パッと出るのは西荻窪のサジロクローブとかくらい。

コンクリ打ちっぱなしの壁、天井。控えめな飾り付けとモダンなイス、テーブル。若い人がデートに使っても良さそうだね。インドやネパールの食事が苦手なガールフレンドでなければかなりの高得点を得られるのではないかしら。わたしが若い頃にあったら「隠れ家的な」とか「意外な場所に」とかいってガールフレンドを誘ったに違いありません。

 

民俗料理店的になりがちな雰囲気を意識して少しトーンダウンをさせているコンセプトが見え隠れします。そうじゃないかな。インテリアもそうですが、メニューも然り。そこがいい感じにキイテいるんです。

ビリヤニセット、カレーライスセット、ターリーセットとセットメニューを前に出し(ランチメニューです)、カレーなどはその中の構成要素としての幾つかからのチョイスというふうに少し後ろに引いてコントロールしています。タイ料理も選べるのはインネパっぽいね。

難しくしない、トレンドは押さえる、難解なメニューはなし、と抜かりありません。この立地でこのコンセプトはたいへんバランスが良いと思うな。

 

「ダブルカレーライス・ミニナンつきセット」

 

を注文。

カレーはチキンカレーが固定でした。もう一種は選べるので日替わりにしてみたよ。

チキン&チキンになっちゃったけど、グレイヴィの方向が正反対なので、まったく問題なし。

 

チキンカレー

カシューナッツ+クリームのまったり系。あまり重くなってないのはなかなか良いし、チキンもちゃんと美味しいですね。

平均点よりも上にあります。良いと思う。おいしい。

 

ズッキーニとチキン

ファーストアタックの香りがとても良いカレー。すっきりトマトベースで軽やか、食べやすいのも美点。ああ、これおいしい。

ズッキーニもちゃんとその風味を主張してくるので名前負けもしてません。これも良いぞ。

アルコアチャール、ムラコアチャールが洒落たプレゼンテーションで出てくるのがね、またいいんです。モダンな感じです。そして旨いんだこれ。ムラコアチャールが特に良かったです。好みだなあ。

サラダもちゃんと店の美学やサービスを感じました。謎ドレッシングたっぷりなのもうれしい。私の趣味なんですが、ナーンはサラダと一緒にして野菜サンドで食べるのが美味しいなあ。

最後にデザートでさくらんぼが2粒、恭しく皿に乗って出てきたのは本当に洒落ています。最後、これが出てきて「ああ!なるほど。やられたなあ。」と心から思いました。アイスやらスイーツならここまで「おお!」という気持ちにはならなかったな。偶然かもだし素なのかもしれないけど2粒だけ、というのも大事に出してくれたという感じを覚えます。こりゃあお見事な演出。

特筆はサーブしてくれるホール担当。ちょっとネパールの王子様的イケメンできれいな日本語遣いの若者でした。近所のマダムなどイチコロではなかろうか、などね、下衆なことを思わず考えちゃう。彼のおかげでますますそのプレゼンテーションに華が出る感がありました。いいじゃない、いいじゃない。

クールなイケメンですが「ムラコアチャールが美味しくて、、」なんて話しかけると途端に嬉しそう。少しおしゃべりをしたよ。

いってしまえばインネパであるのですが、パッケージやプレゼンテーションでこれだけ印象の違う「洒落たいいお店」になるという好事例です。味だルーツだと声を上げる輩も多いとは思いますが、レストランはトータルのパッケージ。そこから味も変わって感じるものです。そういうものだと思うよ。それで、ちゃんとおいしいし。

優秀なお店です。