カレーですよ5370(福島白河 白十字食堂)福島白河の老舗洋食。

福島にいました。いつも通り、それは旅ではあるのだけれど、旅というよりもいつものちょっと足を伸ばす感じの移動の積み重ねで会津若松にたどり着いた、という感じでしょうか。

 

 

カレーですよ。

 

 

日光に用事、というか食べたいものがあって出掛けて来たんです。早めに食事にありつけたので色気を出してもうちょいと先に足を伸ばそう、面白い場所はないだろうか、など地図を探しているうちに古い廃小学校をリノベーションして魅力的なものにして残しているという場所を知り、見にやって来ました。素晴らしい取り組みでたいへん楽しめました。

そのあとまたも欲が出て福島の桃は間に合うだろうか、とか思って無人販売所や直売所など探してほっつき歩きます。時間がなあ、17時でもうやってるところあんまりなくて。でもスーパーで確保。気がつけば福島白河にいたんです。東北本線白河駅の辺り。ずいぶん遠くまできたな。

ちょっと洒落た石畳風の街路になった商店街がありました。その中に

 

「白十字食堂」

 

という定食屋があったんです。その名前がどうも気になって入ってみることに。雰囲気のあるいいお店です。昔風ですが清潔で気分がいい店内。小上がりや縦型の大型クーラーなど懐かしさを感じます。

遅い時間にすべりこんだので先客はひとり。なんだかいろいろのったうまそうなものを食べているなあ。あれなんだろ。羨ましくなってそそくさとメニューを広げます。ああそうか、先客氏はこれか、きっとそうだね。「大人様ランチ」か。なんとも魅力的なメニューを見つけてしまったなあ。

ポークソテーにエビフライ、ハムエッグが乗るバラエティディッシュです。うーん、いいなあ。

が、しかし、同時にカツカレーも発見。困った。困ったけどやっぱりカレー、捨てがたく。

 

「カツカレー」

 

を注文です。厨房で店主が揚げ物の用意を始めました。いい予感がするね。

果たしてやって来たこのカツカレー。最高のやつだよこれ。

まず見た目で圧倒されます。多い、量が多いぞ。型押しライスの型、大きいぞこれ。普通ならこの2/3くらい、上品な店なら半分くらいではないかしら。デカ盛りメシの横にはスパゲッティ、キャベツスライス、ポテトサラダがこれでもかとぎゅうぎゅうに盛り上がっています。こりゃあ大変だ。わくわくする。よし、やっつけるぞ。

カレー、ああこれ、あまうまい。とてもいい。リンゴとはちみつ的幸せがドバッとやってくるやつです。とてもおいしい。

オリジナリティもちゃんと感じられます。いいなあ、このカレー。

楽しかったのはごはん。むっちりとやわらかくよくねばり、このカレーソースのキャラクターによくあっているんです。どうもごはんはぱらっと炊けていればカレーに良し、と思い込んでいるわたしなんですが、ふんわりむっちりと合うカレーだってあるんだよね。それを知りました。うん、勉強になる。

 

とにかく全部多いです(笑)。ポテサラも居酒屋の一品料理くらいの量がこんもりとそえてあります。しかも甘うまいんだこれが。サイコーだ。あまうまで酸味少なめでもはやあまじょっぱいスイーツと言ってもいいほどです。これはクセになるなあ。

中華スープがどうにも実にこう、染み込んでくる。魚介としいたけであろうか。まろやかだが忘れ難い味。ネギも効果的に香りを乗せてくる。こりゃあラーメン、うまいはずだ。

ごはんむっちりで密度高く、カレーどろりで合わせても両方の力でごはんにカレーが染み込まない。これ幸いと表面のカレー味ごはんを削いで食べ、中から出て来た白飯をすかさず中華スープに合わせてペロリ。ああ、こりゃあいい味変だ。すごくおいしいリセットだ。

なんというのかな、量がいっぱいって「ウェルカム」だったり「たんとおあがり」だったり、もてなしなんだよねえそういう素朴なやり方が好きです。

メシいっぱい食わせてやっからな、は愛情だよね。

実力高いこのお店、後で調べてみると創業1955年。立派な老舗食堂です。十文字店主がやっている白十字食堂。近くには大正時代に建てられた県重要文化財「白河ハリストス正教会」が。教会の十字架から白十字食堂なのかと思えばさにあらず。先代の修行先の店から取ったのだとか。ちゃんと後継もいらっしゃるようでどうにも喜ばしいのです。

いいお店には長く続いてもらいたいものね。