カレーですよ5391(埼玉 川越鯨井 カレーの健ちゃん)記憶を揺さぶるあの出汁と甘み。

大変に驚いたことがあったのですよ。なんというか、脳内で記憶が生々しく再現されるような感覚。そんな中で自分の記憶を疑う感覚。なかなかの大きな経験でした。

 

 

カレーですよ。

 

 

初めて行ったお店で他のお店と似てる似てるというのはどうも無作法、野暮だとは自分でも重々。しかし「あっ!似てる。」小さな悲鳴をあげてしまったんですよ。濃くいうのは仕方がない、止めるとか口を閉じるではなく、こぼれ落ちてしまったのだから。

道端に大変ストレートな看板が出ていました。屋号を

 

「カレーの健ちゃん」

 

といいます。

 

お店の雰囲気、おもしろいな。ロードサイドの結構な大きさの店舗で看板が大きくよく目立ちます。未舗装ですが駐車場も広いし便利です。建物の作りは南欧風とでも言うのかしらね、雰囲気があるものでした。

店内もシック。カレー店というよりも西洋料理のレストラン的な雰囲気がありました。いい感じです。テーブルやイスなどもちょっと重厚な感じでね、快適で落ち着ける雰囲気はとても好ましいんです。

 

さて、カレーを注文しましょう。

注文はまず店に入ってすぐには席に行かず、カウンターで注文を通して支払いをします。前払い方式だね。あとは自分でコップに水を注いで席に着けばオーケー。

 

「野菜カレー+ハーフチキン」

 

を注文してみました。白ごはんの大盛りにしたよ。エクストラチャージなしで雑穀米にも変更ができて、親切でありがたいですね。お肉は煮込系のポークとチキンでそれ以外は揚げ物のトッピングという感じ。選んだメニュー、正解でした。

しばしまつと野菜カレー登場。配膳はお店の方にお任せのようです。食器の返却は自分で。お手伝いいただけることもあるよ。

美しいビジュアルです。揚げ野菜の美しい色目にうれしさ込み上げます。じゃがいも、ニンジンにかぼちゃ。さつまいも、ナス、水菜、パプリカ。野菜ひとつひとつのボリュームもすごい。素揚げ野菜はいずれもカットサイズが大きいね。スープカレー的なサイズ感ですなこれは。

期待しつつカレーをひと口。それで、あっ!っと声が出てしまったんです。似てる。あの失われて久しい渋谷のカレーの良心、あそこの味に似ているのです。ああ〜なんということか。ひとくちめののっけから他店に似ているなぞ失礼な話しなわけですが、しかしそれを口に出さずにいられないほどの近似性を感じたんです。驚いた。

「リトルショップ」。あの味が見え隠れする気がするんだよ。それはつまりはじめのひと口目の鰹出汁の強いアタックと、並行してやってくるやんわりした甘み。ああ、なんということだろう。永遠に失われたかと思ったあの味を川越鯨井で思い出すとは。ちょっと胸がいっぱいになります。

そういうフィルターが一度ついてしまったから、ですが野菜の素揚げのボリューム感に思うところを感じてしまったりね。たとえばですがここに厚揚げとひじき煮が添えられたら、と想像して心臓が高鳴ります。これをあの平の大皿にごはんと一緒に盛り付けたら。ああ〜卒倒しそうだ、、、

思い出フィルターを外して頭を冷やし、もう一度スプーンを振るいます。うん、おいしい。和風に仕上げた、と言えそうな甘辛く和風に炊いてある骨付きのチキンもものすごく好みだし。あまうまい欧風カレーが好きなんですが、これはバランスがいいなあ。出汁の効き具合と甘みでなんというか、日本的な雰囲気を出している感があります。「和風」ではなく「日本的」と書いたよ。そういうことです。

とにかく、川越に通う強い理由ができた、ということです。お店の人たちも感じがいいし、ちょっと忘れ難いなあ。