吉野家のカレー製品とカレー業態は長いこと見てきています。最近ではカリガリの看板を借りての共闘、黒カレーなどがあったのがまだ記憶に新しいです。
カレーですよ。
ただどうも、申し訳ないことにわたしの印象として「カレーに弱い吉野家」という印象が払拭できないでいます。実際はどうなのか売り上げ比率や季節売り上げのランクなど数字を聞いてみたいところ(もちろん聞けるわけがない)。売れてんのか?どうなんだ、という好奇心です。
なんというのか、これは私的な印象なんですが「柔軟さに欠ける」イメージがついてしまったのよね。なんでもやればいい柔軟性ではなくて会社の本質みたいなものをよく見てその上での柔軟性と選択、、、うむ、まったくの私見なのでここらへんで止めないとな。
とにかく牛丼は吉野家のやつが一番好きだということです。だから牛丼に注力してもらえればありがたいしそれでいいんじゃないかしら。確かに牛丼以外のカスタマーの取りこぼしはしたくないだろうけど。
過去カレーブランドの話し。古いところで言えば1990年代半ばから後半にかけて動きがあった「カレー亭」と「ポット&ポット」の味がかなり良かったと記憶しています。洗練とかではなかったけど、食べた後そうあいだを置かずまたに食べたくなるような魅力がありました。新宿のはしっこの都営新宿線の入り口横によく通ったよ。特に別調理の角切りのビーフは印象的だったなあ。
で、今回の新業態。
「カレー専門店 もう~とりこ しあわせのビーフカレー」
正直、大丈夫かその名前で、と思ったりしているあたしがいます。もう〜はビーフカレーを推しているところからのダジャレなのかそうなのか?直近の新業態「牛かるび丼・スンドゥブ専門店 かるびのとりこ」 が先にスタートしているのでその流れというのはわかるんですが、カレー業界での「トリコ」問題、いろいろあったのをご存知ないか。まあ、知らんけど。まあいいんだと思うけどね。
で、そんな感じの、特に印象良くも悪くもない完全ニュートラルで行ったらカレーが良かったんであるよ。いや、良かった、いいと思う、かなり。
お店は浅草にあります。もともと吉野家があった場所。浅草六区の「ロック座」のとなり。ユニクロ浅草の斜め前の賑やかな場所です。インバウンド客と競馬のおっさんが行き交う混沌の街。わたしのような下町の人間にとっては気楽でぶらぶらするのにいい場所です。あの場所に吉野家はハマってる気がしたんだけど何か戦略があるんだろうなあ。
店内、落ち着いた空気でこざっぱりしています。注文はタブレット端末からですが、ホールの男性が感じ良くて冷たさは感じなかったよ。良い雰囲気です。
「じゃがごはん スパイシービーフカレー 肉2倍」
としてみました。
いきなり飛び道具から行ってしまうあたり、わたしの悪いクセが出ています。まったく前情報なしに「じゃがごはん」に行き当たってしまったからなあ。じゃがごはん、気になるではないですか。一体どんなものか。これは頼まざるを得なかった。でしょ?
まずはカレーです。あ、カレー美味しいぞこれ。トマトベースのちょいと欧風寄りの決めどころ。甘み旨みが舌に残る良いチューニングでたしかにスパイシー。これ、いいじゃん。好みです。美味しいと思う。カレーソースは3種用意されており、ビーフカレー、スパイシービーフカレー、バタービーフカレーというラインナップ。
プレスリリースを読んだんですが、
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牛肉と玉ねぎを当店特製のたれで煮込み、その傍でカレーのルーを作っています。大きな鍋に油を熱し、スパイスを炒めて香りを引き出し、隠し味を仕込みながらじっくり丁寧に煮込んだルーは、深いコクと豊かな旨みが特徴です。お客様から注文が入ると、小鍋を用意して煮込んだ牛肉と玉ねぎを入れて火で煽り、ルーを入れて互いの味をなじませてからお皿に盛り付けます。
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とありました。おお、わりと調理工程が店内にあるようです。好感を持ってしまうぞそういうの。大変だけどねえ。
肉とタマネギの扱いは吉野家感ありです。あの肉の匂いが鼻を通り抜けるものの、カレーソースとのマッチングが良いので気にならないですね。意識するからわかるのだけどそうでなければ吉野家感は希薄です。吉野家の牛丼は普段食べると甘さの要素は控えめに感じるけどカレーに入るとまたキャラクターが少し違ってきて面白いね。ビーフカレーというほどビーフ感はないんだけど、サラッとしていていいと思う。
フライドオニオン、食べるラー油、玉ねぎのアチャール、福神漬け、キャベツの酢漬け、紅生姜と6種ある副菜から2種を選んでつけられるんです(無料)。アチャールとキャベツを頼んだよ。
おや、アチャール。ちゃんと作ってあるではないか。これはいいな。ちょいと酸っぱめで美味しいですね。うーん、上手にできている。いい。キャベツ酢漬けもかなりのもの。あまり酸っぱくしないインデアンのアレという感じでとても好き。付け合わせ2種は大変良いものでした。ああ、これどっちも倍量欲しいくらいだな。
そしてじゃがごはんであるぞ。これは、アリ。アリ判定です。
粗くマッシュしたじゃがいもにカリフラワーとブロッコリーのみじんを少し混ぜたもので、盛り付けもごはんのポジション。店内調理らしいです。粉吹きとふかしの間くらいの雰囲気があるかな。味付けなしのプレーンなものでもちろんジャガイモの風味があるんですけどカレーと合わせるわけで違和感はないですね。むしろ美味しいしよく合うなあと感心します。いや、当たり前か、カレーにじゃがいもは。そりゃそうだ。
しかしながら「じゃがごはん」なんて名前をつけられるとそれなりにその気にさせられるもので、頭が、舌が具材のじゃがいもとして捉えていないんだよね、そこがおもしろい。。あくまでごはんポジションと理解、納得させられているんです、脳が。ステーキにじゃがいもで腹一杯にするあの感じともどこか通ずるものがあるかな。じゃがごはん、なんか新しい、いいものを切り開いてくれた感覚があります。これ真似する個人のレストランが増えてもいいと思う。それくらい「オーケー」なものです。
美味しくてよく考えられていました。こういうのでいいのよ。吉野家のカレーではなく、カレー専門店という切り口でこの内容、いいと思う。
展開が楽しみですね。近所に1店あると重宝だろうな、と感じました。
また食べ行こうっと。