猛烈に食べたい時があるんです。何を食べたいというのではなくて、食べるという行為を猛烈にやりたいということ。まあ、ただの空腹です。
カレーですよ。
食の暴力衝動とでもいうのかしら。食の傷害犯とも言えるかも知れない(笑)。たとえばそういうものがあるとすれば、わたしは前科4桁犯とかですな、きっと。
そういうなかで保芦ヒロスケさんの作ったレトルトカレー、
「チェッターヒン」
を10回、20回と食べているということです。そういうことです。あれは激辛となっていますが激旨辛が正しくて、辛いものでうまいものを食べたい時にとにかく重宝なんですよ。たまらぬ美味さなんですよ。食の暴力衝動をぶつけるのに最高のカレーです。
厚ぼったく膨らんだレトルトパウチパックには驚くことに骨つきチキンドラムスティックが2本入っているんです。ちょっとおかしいぞこれ。レトルトの袋に骨つき肉2本を詰め込んでしまうというところからしておかしい。よくこれをやったものだよなあ。製造元、工場さんは大変だあ。高木社長、お元気でらっしゃるかな。
だもんで、普通のレトルトパウチ食品より念入りに時間をかけて温めます。温めすぎはいかんのですが、何しろデカチキン2本なので念入りにね。レトルトは基本あまり煮詰まらないからありがたいんです。
さて。
がりり。ひと口目からホールスパイスの洗礼きました(笑)。これは、カルダモン。パウダーではなくホール、タネのまんまのやつです。爽やかエグい香りが広がっておおっ!ときます。初めからこの楽しさだ。いいじゃん、いいじゃん。
骨付きのチキンの肉はスプーンでつっついていればきれいにつるんと骨から離れます。旨みと刺激の図太い塊のようなカレーソースも間違いがないねえ。白メシが猛烈に進みます。白メシをドカンと決めてやらないとたちまち足りなくなるので要注意であるぞ。
この味とヒロスケさんの情熱的でかつ足をすり減らす営業でその知名度は広く行き渡り、味のたしかさも相まってテレビでレトルトカレーを取り上げる時などの常連銘柄となっています。いやほんとうにそうなんだよね。歌舞伎俳優、尾上右近さんや辛いものに弱いはずのマツコデラックスさんをも絶賛、虜にしています。中毒性のようなものを感じるのよ。
ミャンマーという国。2021年2月に発生したクーデターから軍政府圧政が未だ解決を見ず年明けにはもう4年。陰惨なニュースが飛び込むミャンマーの状況に胸を痛め、ヒロスケさんは今日も平和と解放を訴えミャンマーの若者たちと駅前に立って声を上げているんです。その想いと情熱、継続の力には言葉もなく自然と頭が下がります。そういうものも忘れずにこれを食べるべきだと思っています。
イデオロギーも信仰も、なんもかんもありましょう。でもね、とにかく人死にが出るのは悪いこと。それがわたしのスタンスです。
日本のこういう男があなたの国の現状を憂いてこんな形で心血を注いでいる、とミャンマーの人にあったら話しかけようと思ってるんです。わたしもこのカレーを食べて応援しているんだよ、と胸を張ることができるのです。ただ美味しいというだけで知らぬ間にミャンマーを応援することになるんです。
すばらしいな、これ。