これはまいった、うまかった。それ以上にこういう大衆鉄板焼きとかってのはどうにも本当にいいもんだなあ、と強く感じました。
カレーですよ。
鉄板焼きとか焼きそばとかお好み焼き、目の前で焼かれていく料理ってのはライブ感なんてのがあるよねえ。ひとの息吹のようなものを感じてこちらの体の血の巡りまで良くなってきます。
西葛西にいました。皆さんご存知の西葛西は東京のニューデリーかムンバイか、はたまたコルカタか。押しも押されぬ日本随一のインディアタウンです。レストランも菓子店もドレスショップもコミュニティも食料品店も揃わぬものは何もない、そんな町。
そんな西葛西でインド料理を食べないのがわたしであるぞ。なにやってんだ、という声も聞こえます。いや、いいの。そういう場所でこそオーセンティックなカレーライスや喫茶店のカレーがきらりと光る、生きてくる。そういうのを拾うんです。
この日も変わり種を見つけました。以前もたしかお好み焼き店のカレーを食べたことがあったよなあ。西葛西はそういう突然変異的カレーも受け止める懐を持っている気がします。
カレーですよ4835(西葛西 ぼてぢゅう)おどろき!お好み焼きやでカレー。カレー味じゃなくカレー。
本日は焼きそば専門店であるぞ。どんな成り立ちのお店なのか、友人の焼きそば専門家の塩崎さんに教えを乞いたいところですが、そういう事前調査もなく突入するのが好きなのです。ここのところ何故だか焼きそば欲、もしかするとどろソース欲かもしれないな。それがぐいぐいきていたのです。
とはいえ「みかさ」の前を通りかかったにもかかわらず(しかも行列なし)素通りしてカレーのお店に行ってしまう(神田神保町ではいた仕方なし)ようなわたしであるからして。ところが、だよ。
西葛西駅のガード下、メトロセンターをぶらぶらと歩いていました。焼きそばの専門店があって「誰もみてないからそっと焼きそば食べちゃおっかな」とか思ったのです(誰もみてないからってなんだ/笑)。ところが、
「焼きそば専門店 長田本庄店」
の大きなバナーにカレーの文字を見つけてしまうわたしなんであるよ。
これはなんだ、と色めき立ったわけです。興奮して手書きに貼ってある「ご飯、みそ汁セット +100円(平日11~17時)」を見逃してしまったのは痛恨!とにかくカレーだな。そして焼きそばだよ。いいぞいいぞ。
どんなものかも確かめずに、
「ぼっかけカレー焼きそば 並」
を注文しました。そしてこれが大いにうまかったんだよ。
鉄板焼きはいいよな。それも大衆鉄板焼きはたまらないものがあるな。ライブ感がいいんです。
もちろん静かな個室の鉄板を前にシェフが見せる華麗なコテ捌きなどで圧倒される高級鉄板焼き店も素晴らしい。「うかい」とかね。あのふわりとやってくる高級肉の脂の焦げる香り。あの高揚感は素晴らしいものです。ほかに代え難い。そういうものも捨て難いんですが。
お客のざわめきや笑い声。「ひといきれ」というやつが波打つ焼きそばやお好み焼きの大衆店の楽しさと言ったら格別なものがあるんです。ここ「焼きそば専門店 長田本庄店」はそういうものが昼間からありました。店員のにいちゃんのカッコつけない、でも無駄がないコテ捌きと、自分の焼きそばがみているそばから出来上がっていくのを見つめて楽しそいうにはしゃぐお客たちの作り出す他愛のない幸せな時間と空気。こういうものがなんとも愛おしいのです。
さあ、焼きそばがやってきたよ。おや、カレーが別添えなのか。なるほど、かけて混ぜて食べるようです。面白い、これはいい。素のままの焼きそばも味わえて、味変としてカレーがあるという構成。とはいえ味変で済むような量ではなく、たっぷりとカレーソースがついてきたよ。しかも小さな片手鍋で鉄板の上に置かれるんです。熱々のまんま、という訳。大変に楽しいし気持ちが盛り上がるよね。いいねえ。
焼きそば。うんまい。格別にうまい。
甘いぼっかけに甘いソース。しかしクドくないんです。不自然さのない、でもジャンク寄りの甘さで幸せいっぱい。ぼっかけのこんにゃくが存外にうまいなあ!いい席を選んだのも功を奏しています。ぼっかけの鍋の目の前だもん。ぐつぐつと泡を放ってくる鍋、否が応でも気持ちが昂ってきます。なんという楽しさだ。
カレーも良かったよ。これまた甘めのカレーでね、焼肉屋のカレー的な甘うまいものでした。あまxあまであるわけですが破綻なく悪くない。焼きそばにカレーをかけて、さらに鰹粉と青のりを容赦なしに振ってやるのです。まるで蕎麦屋のカレーのようになるんだなこれ。ああ、たまらない。
これは大変にいいじゃないですか。昼間からこんな極楽をやった日にゃあ午後からの仕事で確実に使い物にならなくなるな。
使い物にならないついでにビールを、、、っとっと。こりゃいけない。年末の追い込み、まだまだ仕事があるからね。