【プレスツアー】満腹ファムツアー@房総半島 その2 ~ 波奈総本店

さてバスは一路昼食会場となるお店へ向かいます。

バスでの移動、路線バスではないバスは久しぶりです。なんだか新鮮に感じます。高い位置、車窓の風景をずっと見ていられる傍観者的立場で流れる風景を眺めるのは運転が好きなわたしにとってどうにも不思議な感覚をよこして来ます。悪くないな、この感じ。

さて、目的地は

 

「波奈総本店」

 

館山の老舗、寿司中心の和食海鮮料理店です。ここで提供される「館山炙り海鮮丼」。館山市の「館山新・ご当地グルメ推進協議会」の皆さんが生み出した「新・OMOTENASH当地グルメ」です。館山市観光協会もオセオセの、館山市内の和食店など5店舗(訂正:現在4店舗です。「日本料理・鮨 季の音」は伊勢海老ステーキ御膳のみの提供/8〜11月限定が完全予約制で提供をしています。

https://www.tateyama-gourmet.com/

もう13年続けている取り組みだそうで、10年越えれば立派なご当地メシと言っていいでしょう。継続してらっしゃること、大変価値があると感じます。乱暴に言いますが、担当者の移動や予算組み、自治体の長の入れ替わりなどでせっかくの良い取り組みも途中頓挫というものをいくつも見ています。こういうものは時間をかけて積んでいってなんぼですからね。館山市、大変素晴らしいな。

さてこの、

 

「館山炙り海鮮丼」

 

がすごかったんだよ。参加店は「館山炙り海鮮丼」の規定、範囲の枠の中で旬や地元食材を意識しつつ料理の構成を作ります。「波奈総本店」の「館山炙り海鮮丼」はとても満足のいくものでした。

まず各店共通の器がすごいのです。この企画のために作られたものなのかしら、名前は「館山炙り海鮮丼」とあるのですが、もうね、全然そうではないの。どんぶりなんていっちゃバチが当たるよこれ。というのもこのどんぶり、3段重なのです。散弾銃ではないぞ。3段になっているんです。

↑これが、

↓こうなる。

ほらね、こんなすごいのはどんぶりなんて呼んでしまうには恐れ多いよね。これは間違いなくお重です。その内容はコースと呼んでもいいとおもう。そういう華やかさと充実の内容を持っていました。

 

房総半島南端に位置する館山市。一年を通して暖流が流れる穏やかな気候から、豊富な魚介類、花の産地、豊かな農産物の揺籠でもある土地です。これら特徴を取り入れて形にしたのが「館山炙り海鮮丼」です。地場産の食材に徹底的なこだわりを持ち、館山の食の顔を目指しての13年、というものなのです。

いただいたパンフレットからの記述がこれ。

 

千葉県館山市の新・OMOTENASH当地グルメ 館山炙り海鮮丼<2025年度バージョン>

【三段どんぶり重】

<一の重>~海鮮&炙り〜

・本日の館山産鮮魚盛り合わせ4種(ヒラメ、ヒラマサ、ヒラスズキ、タチウオ)

・各種<刺身&炙り>の計8品~自家製刺身醤油・ハバ海苔塩はお好みで〜

・サザエの壺焼き〜そのままで〜

 

<二の重>~野菜&炙り〜

 館山は女(めだけ)の産地で、『房州うちわ』は「日本3大うちわ」のひとつ(『京うちわ』『丸組うちわ』)

・館山産タケノコの炙り~ご自身で炙って自家製さんが焼きパウダーをつけて〜

 ミネラルが豊富な土壌のため、野菜が甘くなる館山市神戸(かんべ)地区の野菜たち

・館山産『神戸(かんべ)大根』&館山産イカの旨煮〜自家製柚子味噌がけ〜

 “タマネギ”ではなぐ“長ネギ”を使っているのが館山流

・館山産長ネギの炙り&地魚の南蛮漬け

 安房(あわ)地域(館山市、南房総市、鴨川市、鋸南町)の“食用菜花”は生産量日本一

・館山産菜花の生ハム巻き〜オリーブオイルがけ〜

 戦後、欧米人のために作り始めたら、いつしか館山のブランド野菜に

・館山産カブを『かんベレタス』(館山ブランド認定品)で包んだ「ラップレタス」~ハバ海苔塩がけ〜

 

<三の重>~寿司〜

 3種類の地魚を使った

・味付き炙り寿司(コガネフグ漬け炙り、アジ、アオリイカ)3カン

・地魚なめろう裏巻き寿司(アジ)6個

【汁物】

館山産天草入り海鮮あら汁くみそ味>

【食後のデザート】

 

館山産イチゴパフェ~ミニサイズ。館山産寒天入り~

 

とまあ、凄まじいのです。質、量とも満足のその上をいくものでね、一品一品にこだわりや自慢、誇りが見えるのが素晴らしい。地元の食材の集大成的な「これでもか」感を強く感じさせる料理でした。この「これでもか」感というのは大事な要素だと思っているのです。

「これでもか」=「もてなしと歓迎」

例えば。

長野の少し山の中に入った蕎麦屋さんで「いや、こんなの頼んでいないけど」と思うほど小鉢がたくさんついてきたり「これ3人前だろ?」という量のそばが出たりすることがあるんです。これは歓迎。間違いなく好意。来たからには腹一杯にならないうちは帰さないよ。そういう思い、もてなしの意が強く現れています。

そんなときに給仕のおばちゃんに「このきゃらぶきすごく美味しいですねえ!」なんて問いかけようものなら思っていた10倍ほどの説明が返ってきたりするわけです。これはおいしく思ってくれたことの嬉しさと地のものを誇る気持ち。こういう熱量が大事なのだと思うんです。アジアを旅しても同じような体験をすることが多いですね。「なんにもないところだけどせめて腹一杯になって帰ってね」という思い。大事だよね。

こちらもこちらでそんな思いや食のバックボーンなどを知って、いま食べているものに興味が喚起されてよりおいしく食べることができるってもんです。それ含めの食体験だと思うんだよ。彼の地へ赴いての食事にはそいうものがたくさん乗っかってくるわけです。それを楽しむことこそが出かけていく価値だと思っています。

どれも大変おいしかったなあ。色々印象に残るものが多かった。館山産鮮魚盛り合わせは鮮度が高く、それを炙るわけで美味しくないわけがない。生、炙り、どちらでも美味だねえ。醤油以外にも、炙りなので海苔塩なんてのが実によく合うんですよ。変化がつけられる工夫があります。

タチウオの炙り、忘れ難いなあ。館山産長ネギの炙り&地魚の南蛮漬け、長ネギがぱりんとして香りよく、印象的。館山産『神戸(かんべ)大根』&館山産イカの旨煮〜自家製柚子味噌がけ〜も素晴らしかったよ。味付き炙り寿司のアオリイカがとても好みでした。巻き物で地魚なめろう裏巻き寿司がおもしろい。なるほどなめろうを巻くんだね。千葉の漁師スタイル、かしら。

最後のパフェまできっちりと全部おいしくて美しくて大いに驚かされました。いやいやいや、すごいなあ。

これ、完全予約制なんです。生鮮、生ものも入るわけで食品ロスという見地からも正しい選択でしょう。値段は3500円。なんとまあ。戦略価格でもありましょうけれど大変にお安いなあ。ランチでもディナーでも十分な満足が得られることまちがいなし。ディナーなら、いや、ランチでもいいけどさ、お酒を頼んでつまみつまみ、というのもいいし、おひとり様対応でも種類が多いのは喜ばれるよね。一人だとなかなか色々頼むのが大変だから。

これはまちがいなく推せます。忖度なぞ必要なし!

 

追記

黄色いフィガロが隣の店に入って行ったよ。こっちにすればいいのに。