鈴木文彦さんの写真展を見に行ったのです。わたしに仕事を作ってくれてその連載に写真を担当してくださり12年も付き合ってくれた男気ある人物。
カレーですよ。
北村写真機店の地下のギャラリー。久しぶりに彼を顔を見られて存外に嬉しかったんです。話しをする中、あの連載がなくなってカレー定期食いがなくなったから自主練してますなんて楽しいことをおっしゃってくれたり。
それでこの近所のカレー店の話題になってガンジー、モンスナック、東京ドミニカあたりになっちゃうよねえ、という話になったんです。そうなんだよね、ぴたりとくるカレー店がありそうであまりない新宿東口界隈なのであるよ。
そんな話しが出たからというわけではないんですが、何か新しい店などないかなあ、と近隣をつろついてみます。新宿を、いや、繁華街を歩くのは久しぶりだね。灯が消えたスタジオアルタあたりを歩いていると。おや、カレーの看板だ。しかもタイカレーの専門店かあ。こりゃ珍しい。タイレストランには事欠かない新宿なんですがタイカレーのみに特化した業態は都内でも多くはないと思います。
「たいてん屋」
というお店でした。
外にあるメニュー写真など見るとグリーンカレーライス 490円とあります。えええ!?こんな時代に驚くべき値段だぞこれ。牛丼並盛り程度の価格でタイカレーが食べられるのかあ。ものすごいよこれ。
メニューがなかなか面白くてね。グリーンカレー、レッドカレーはわかるんですがホワイトカレーというのがあるんです。これはなんだろう。目玉焼きにヤムウンセン、ソムタムまであるねえ。カレーラーメンはカオソーイのことだよね。どれも格安。ではあたしも、と券売機の画面を行ったり来たりして
「レッドカレーライス 中辛 目玉焼き パクチートッピング」
としました。
表の看板にあったシンハーとセットになっているやつのボタンは見つからなかったよ。画面をタッチする券売機は未だ昔のボタンだけのものの足元にも及ばない、一覧性のないポンコツである。そう思ってます。操作戸惑う人やあらかじめ財布出しておかなかったり決済付方法決めてない人がいるとたちまち行列できちゃうしさ。飲食店はあれを早いとこみんなでボイコットしないとUIも良くならないし無駄な金ばかりがかかるぞ。
さて、やってきたのがこれです。
まず目玉焼きはちゃんとカイダーオ的になっているのがよしよしという感じ。中は半熟ですがこれは現代日本でのスタンダードなのでいいでしょう。ナンプラーがテーブルにないのが残念だよなあ。パクチートッピングには驚いたよ。これはパクチートッピングではなくパクチーサラダであるぞ。大量であるぞ。うれしいなあ。ドレッシング欲しくなる量です。
カレー自体はちゃんとタイレッドカレー、ゲーンペッとわかりますが、うまいことタイカレーのエグ味やクセを除いてあって不思議な感じ。多くの日本人が食べやすいのは事実でしょう。タイレストランではなくてカレーやさん、ファーストフードっぽいスタイルということでこういう着地なのだと思われます。いいと思う。
手応えあるタイ料理のお店はいくらでもある新宿なので、カレーということに特化したここはアリだなあ。
値段が値段なのでけっして量が多いとかではないけど満足できる量はあったよ。
店内カフェ的に小綺麗でカウンターは狭いながらも快適。わざわざタイ風にしていないインテリアもいいと思います。快適、快適。
戦略的な価格とファストフードテイストの店内や盛り付け。それにクセを削いだ味の落とし所。ひょっとするとひょっとするよなあ、など思うのです。
化けるとおもしろいなあ。