懐かしきこの名前。この看板もずいぶん長くなったよねえ。よく通いました。なにしろ秋葉原にあったからね。
カレーですよ。
2004年から秋葉原で長く営業を続けた名店です。やっちゃ場界隈の再開発による閉店で移転先を笹塚に求めた創業オーナーのラジさんのお店「ジャイヒンド笹塚店」と、秋葉原/神田須田町に残ったチーフコックのアミットさんが率いるお店「アロマズオブインディア」とに分岐したようてますね。詳しい話は知らんけど。
笹塚の、
「ジャイヒンド」
はいいお店です。笹塚駅前というか改札出て駅の屋根を出るとその向かいの2階がジャイヒンド。大変良い立地です。が、いかんせん入口の階段が狭くて目立ちづらく損をしている感あり。とはいえ地元のお客にがっちり覚えられているようで繁盛していました。
ランチの終わりの時間あたりにやってきたのです。こじんまりした店内でまだいるお客たちの何人かがうれしそうにナーンを頬張っています。
さて、わたしも注文。
「ツーカレーセット」
としました。
ナーンはやめといてごはんでね。ナーンもごはんも1回おかわりができるそうです。さあカレーだ。
マトンマサラ
トマトグレイヴィのマトン煮込み。柔らかく食感よく煮込まれたマトン。舌触りはちょっとセクシーな感じでこれはなかなかすごいぞ。はじめはマトンの個性が飛んでしまってる?と思ったんですがさにあらず。よく舌で探ってやるとしっかりと主張をしてきます。ああこれ、いいカレー。
ナルギシ コフタ
タマネギの甘味もふくよかなグレイヴィ。不自然な甘さを押してこない良い味わいです。そして、いわゆるスコッチエッグのスタイルの玉子入り肉団子が入る。これがなかなかにいい。外側の肉はスパイシーでケバブ風味。こういうの好きだなあ。これは好みです。手をかけたものを出してるよねえ。
どちらもカレーソースが気前よく入っているのがね、いい。ごはんやナーンをおかわりしてもちゃんと足りる量があってやる気ってものが出ます。あ、ごはんおかわりはこの日はやめときました。
見た目も悪くないんです。細かい差ではあるのですがサラダをきちんとしてあげたり、皿をちゃんと選んだり、そういうのがあるんだよね。スープをつけるのも矜持だと感じます。
そしてこれもうれしかったのが、サーブしてくれたホール担当氏がトレーから各皿をひとつずつテーブルに置いてくれたこと。トレーで一気にドンと置くスタイルではないのがいいんです。キャンティーンではなくちゃんとレストランになっているよね。
こういうところに店の矜持が出るし、それはオーナーの姿勢が見える部分でもあります。古参はやはりしっかりしてるな。そういうものを含めて支払いをしたいと感じるんです、お客としては。
やはりいいお店だったな。変わってないな。こういうふうに文章で可視化するとよくある町のインネパ食堂とザ・レストランの差が浮かび上がってきます。そういうものがこれからは強く差別化のキーになってくると思います。差別化と言えば、あとは話題になりやすいマニアックな料理などもね。
しかしここジャイヒンドのような、日本人のインド料理の概念的な太い部分をカバーする料理は未だ、強いのです。忘れるべからず。
多くのお店がある中で、マニアが食べて「やはりいいね」があり、なおかつこだわりなく食べる層が「なんかわからないけど他よりおいしい」があるような構成。こういうのが空気のように違いになって生き残りにつながるんです。
ニッポンのインドレストランは今や飽和状態だからね。