カレーですよ5459(西大島 ロイヤルホスト)独自進化の果て、完成度の高さ。

久しぶりになった「ロイヤルホスト」。ちょっといいものを食べようね、とうちの奥さんとやってきたのです。ロイヤルホストの料理は「ちょっといいもの」のジャンルだと思っているんです。ちょっといいレストランなのだよ。

 

 

カレーですよ。

 

 

ふたりでちょっと疲れてしまってたんですよ。やることの多い、行くところの多い4月でした。それでちょいとねぎらいをしましょうという感じでした。

ほかのファミレスよりちょっとだけ価格が上がります。だからその分、ノイズが減ってありがたいんです。ちょっとだけ価格が上がるだけで料理がしっかり美味しかったりホール担当がきちんとしていたり、色々と頷けるんだよね。気分が良くて安らげます。わたしのとっての

 

「ロイヤルホスト」

 

はそういうイメージです。

そんなことを思うのも、体感もさることながらいつぞや往時の社長のぶら下がり取材で聞いた話しなどが影響しているというところ、あるかもしれないです。そのとき聞いた話しは、ファミリーレストランとかチェーンとか、そういうところで話題に登るのではなく、町で1番の洋食やさんになりたいのだ、ちょっといいレストランが目指すところ、という話しでした。なんというか、頷けるし共感するなあ。たまに立ち寄ると、今でも継続的にそのDNAはきちんと色濃く残り、続いています。

たとえばいくつかの体験。それほど忙しくない夜の遅い時間帯なのにホール担当の女性が穏やかだがキリッとした表情でホールに立ち、見まわし、客への目配りをしていました。あたりまえの真面目なホールの仕事をあたりまえにしていて、しかしそういうあたりまえの光景は実はあの業態の他のお店では割と見かけないんです。だから大変に感心した覚えがあります。

レンジアップだけの厨房ではないのも特筆(それは厨房ではなかろうて)。きちんと料理番を置いてコックさんが手を動かすシーンが用意されるのです。当然だよね、「レストラン」なんだから。そういうものも大事にしているのは知っていて損はないと思う。

さて、迷いに迷ったんですが、やっぱり頼んだのはいつもどおり。

 

「カシミールビーフカレー」

 

であります。「ロイヤルのオニオングラタンスープとドリンク」のセットにすることにしました。

まずはやってきた、久しぶりに食べる「オニオングラタンスープ」。

うーん、これ、やはり素晴らしいものだなあ。奥行きがある甘く旨み強いスープ。これ、やっぱり頼まずにおれないもの。

カレーも来たよ。これもとても好きなメニュー。昭和40年から続く「ビーフジャワカレー」と並んで長く続くメニューです。

そもそも「カシミールカレー」という名前は、、、などいう話しがあります。上野の話しももちろんあるしそういうものは貴兄も聞き飽きているとは思います。が、数十年を経てロイヤルホストのカシミールカレーは「ロイヤルホストのカシミールカレー」になった。そう感じています。

原初のカシミールカレーという料理、当然上野に端を発するものです。それはもう、なににも変え難い事実です。そして改めて、「ロイヤルホストのカシミールカレー」はあれとは違うものになっていました。確かにフォーマットは似ていると思います。しかし、もう違うものになってるね。

そして上野のカシミールも数十年の間、止まってはいなかったわけです。エッヂを尖らせシャープでソリッドな味わいに進化しています。限定で出していた昔のレシピでのメニュー、「昭和のカシミールカレー」を食べて確信にかわりました。そして、ロイヤルホストでは同じ名前と同じフォーマットで、しかし違うものに変化、進化したんです。カシミールカレーというものの進化の系統樹が想像できました。

ちょっと似ているのはフォーミュラカーとスポーツカーの違いかしら。フォーミュラカーはレースのために生まれ、サーキットのみでその本当の真価を発現する、色々なものを削ぎ落とし、公道では本来の姿を見ることができない性能を有するクルマです。一方スポーツカーは、これはもう自動車メーカーが法律の則った基準で作ってあるからして、スポーツドライビング志向ではあるけれど緊張することなく普段の道を走ることもできるという作りになっています。その違いは大きいわけです。

当たり前ですが「ロイヤルホスト」はファミリーレストラン。尖らせすぎはよろしくない。ピーキーなエンジン特性とスリックタイヤでは近所に買い物に行けないわけです。そういう中での着地点としての現行の「カシミールビーフカレー」は大変高い完成度だと感じます。ビーフの質と味に感嘆したり、辛さのバランス取りに頷いたり。とても美味しく、とても勉強になります。行き届いている、というのはこういうことなのかもね。

 

そして少しだけ余計なことをしたくなるわけです。

件の「オニオングラタンスープ」を少しずつ「カシミールビーフカレー」に混ぜてやる実験などをやってみます。楽しさ多少高まるも、両方の料理の完成度の高さに敬意を表してほんのちょっと試してやめておきます。どちらもきちんと完成していて美味しいからね、小手先のちょいいじりなどではびくともしないわけですよ。そこがまた素晴らしい。

 

そのまま幸せに食べるのがいいよ。