墓参りのついでにカレーを食べようと思ったのです。そういうの、よくあります。(写真は通りがかりの東八道路沿い、ご存じの天命反転住宅です)
カレーですよ。
よくあるってのはいいのか悪いのか、なんですが。
わたしは何かあるとカレーを食べるんです。誰かに良いことがあったらカレーを食べ、悩んでいる知人がいたら相談を受けつつカレーを食べ、友達が死んだらカレーを食べ、墓参りに行ってはカレーを食べる。亡くなった友達も気を悪くはするまい、そう思っています。笑ってくれるはずです。その友達だってカレーが好きだったからね。多少追悼の意味もあるわけです。そういうカレーを今日は食べました。
Google Mapsで墓地の周りなど検索してカレー屋がないと、その友達がちょいと不自由してるんじゃないかなあ、なんて心配になってしまうんだよ。麻布十番の友達には「きりんや」があるからいいよな。こっちはなかなか、、、いや、心配の必要はないか。こっち側にいるよりももっと自由になったわけだから、彼はもういつでもどこでもどんなカレーでも食べに行ける状態にあるはずなわけで。ちょいとうらやましいぞ。
とりとめもなく、そんなことを考えながらたどり着いたのがここ。
「CURRY& SAND MAHORAMA / マホラマ」
と看板にありました。
どうやら二毛作。夜は「Music Salon FOGGY」というバーらしいよ。店頭の看板に「原価高騰でサンドしばらくお休みしてます!」の張り紙。うむ、原価、何があがっちゃったんだろうか。そんなわけでカレー&サンドのサンドは現在なし、なんだそうです。わたしはカレーなので問題ないわけです。
青いエントランスを階下に降りてゆくと、おお、こりゃいいな。素敵なお店だな。使い古されて馴染みが良い調度や暗めの照明。日差しが強い外からやってくるとホッとします。すーっと体温が下がる感じで心地いいな。さて、改めてメニューを見ると、ちょっと心が動いちゃった。サンド、おいしそうなのだよ。再開したら必ず頼みたいです。「ちょこっとビーフカレー」というオプションもあるみたいなのでね。
店主、ちょいとコワモテかな、、と思ったのは一瞬。感じよくにこにこと注文を聞いてくれました。いい空気を纏ったひとです。わたしはね、カレーは人を込みで食べる男なので(人喰いではない)、こういう店主が作ってくれるカレーは大いに期待をしてしまうわけです。さて、注文。
「欧風ビーフカレー 目玉焼き乗せ」
としました。
なるほど、意外な場所で欧風に出会えたねえ。世間のビリヤニブームなぞどこ吹く風で、最近なんだか欧風づいているわたしのカレーライフなのであるよ。さて。
やってきたカレー。うん、いいな、このプレゼンテーション。オーバルのうつわでステンじゃなく瀬戸物というのがいいね。そこにソースポットを合わせてあります。こだわり見え隠れのクラシックな組み合わせ。いいねえ。で、カレーが良かった。旨いんです。
あまり難しくしすぎない、デミグラスベースのカレーで大変好み。誰もが好きなチューニングでみんながニコニコするカレーだなこれは。最近は本当にこういうカレーこそが尊いな、と思うことが多いのです。顔突き合わしてみんなで同じもの食べていいね、いいねとみんなでニコニコ。そういうのがいいよね。
お肉もちゃんと「おいしいじゃん」と言えるものが入っており、いうことがないんです。しかも付け合わせのピクルスは自家製で良いお味。目玉焼きを乗せてもらってのこの内容でで3桁とは恐れ入るなあ。なんということか。あんまり無理しないでね。
欧風カレーは難しいのです。凝れば凝るほど、手間をかけ、材料を吟味するほどに確かにおいしくなるんですが、金額も上がるわけです。3000円越えで金額以上の素晴らしいものを返してくれる荻窪の「トマト」のようなお店ももちろん大変に尊いんですが、カジュアルな欧風もないと困るのであるよ。
大変ありがたいお店に辿り着きました。メニューにあったトマトチキンカレーと四川風麻辣キーマカレーも気になっています。また来なければね。
カレーを食べている最中は、墓参に来た友人のことをしばし忘れていました。たぶんそんなわたしを彼は笑っているでしょう。「いや立場変わったらオレも同じだから!」なんていってくれるんじゃないかな。