すごくご無沙汰してしまった神田小川町、都営新宿線小川町駅からすぐのトラットリアからカレーというワードが聞こえてきました。
これもう行かなくてはね。
カレーですよ。
なぜかラーメンつながりで知り合った藤枝シェフ。
ジャーナリストの山路力也さんの恒例のプライベートパーティーでおしゃべりをして以来のお付き合い。うちの並びの拉麺5510の大滝店主とも繋がってたりして楽しいんです。
それで、きのうFacebookを見ていたら藤枝さん、なにそれカレー仕込んでんじゃん!なにやってんのよ!!(笑)なんでカレーなの?。
翌日ちょうど、岩本町のデジタルキッチンに仕事に行く予定もあったので、小川町に足を伸ばしました。
藤枝さん、珍しいやつが来たので目がまんまる。
いい感じに席の間隔を開けてあって、お客さんがこれまたうまいこと少しだけ入っていて、そのバランスの中に自分の席を見つけることができました。よしよし、安全安心、さてと。
この日のランチメニューはひとつだけ。
「黒毛和牛カレーパスタ」
です。これをなんか知らんけど50人前仕込んだらしく(笑)
いやいやいや、席数は何席よ、とか翌日は営業自粛の土曜日じゃんとかいろいろ突っ込みどころをふりまきつつサイコーのやつが仕上がっていたわけです。
まず、黒毛和牛すごい。すごいんです。
大量に入っているという物量的すごさと、深く滲み出た味わいの波のすごさ。その中にシャキッとした食感のまま入るクッタリさせていない玉ねぎの食感。
ニンジンもじゃがいもも入ってるんだけれど、こちらの食感もまあなんというか舌触りが柔らかで繊細に仕上がっていて。センス、いいなあ。すごい美味しさだ、これは。とんでもないですこれ。
それで、香り。確かにこの香り、カレーと呼べるんだけどやっぱりどこか違うのです。これ、なんだろうな。成り立ちは黒毛和牛煮込みのカレーと呼べるものなのに。
いや、でもこれ、カレーではないな。ないよ。そしてそれが大事なのだよね。
なぜかというと、ここはイタリアンレストラン。トラットリアです。ベタなカレーライスが出てきてはダメなんであるわけで、そういうことなんです。
これはね、わたしが敬愛して止まないラーメン店の拉麺5510、大滝店主が作るスパイスを使ったラーメンと同じ。
大滝店主もスパイスラーメンと言えるものを作ったりするのだけれど、絶対にラーメンであるという一線を踏み越えない、ブレない物なのです。カレーではなくてちゃんとラーメン。
カレーはカレー店が作ればいいわけで、ラーメンをカレーにしてはいけないわけです。それと同じことを藤枝シェフはやっている。
これって実はすごいことだと思います。
カレーという食べ物。そのイメージも、実際も、他の料理と合わせるとカレーがその対象の合わせられた料理の個性を食ってしまう。
皆さんバランスさせようと努力をするか、もしくはジャンクなものだから、と片付けてえいやでやっちゃう。(ところがこのえいやというやつもそれはやっぱり美味しくて困ったりするね/笑)
そうではない着地点、迷いなく自分の店の看板に胸を張れる内容のカレー味ものを作り出すのはとても大変なのです。すごく繊細なチューニングと、日々の調理の積み重ねと裏づけから自然にそうなるという両方の要素がなければこうはならない。
しかし藤枝さんさ、ダメだってこんな値段(笑)
パスタの量は選べるしすごいおいしいし、そのうえうっかりセットにしたらドリンクと(コーヒーにしました)デザートの凝ったやつと(黒ゴマのブリュレ!)サラダたっぷりとか含めで1100円とかさ。
ちゃんとお金取りましょう(笑)安すぎる!!
なんかカレースパゲッティ食べて、トスカーナ料理とかカラブリア料理とかそういうの食べたくなった経験は初めてよ。
なんちゅうまあ面白い体験。
これだからやめられない。
カレー括りのわたしではありますが、ヨーロッパなど西洋料理も中華も和食もちゃんと食べねば、体験せねばいかんと感じるところがあります。
地続きであろうがなかろうが、料理は必ずどこかで国も民族も越えて繋がってるなあと思います。
あぁ〜藤枝シェフのレギュラーのメニューを食べたくなってきた!