中華カレーというジャンルが徐々に輪郭を固めつつある最近。
そんな中、お気に入りのレトルトが改めて中華カレーであったことに気付かされる体験をしたんです。
カレーですよ。
お気に入りのカレーというのがね、一見飛び道具に見えちゃうやつなんです。でもその実力、高いものがあるんですよ。
不遜を承知で言いますが、なにしろメーカーさんやメディアなどからサンプルが続々やってくるんです。飽和状態。それでも突然カレーがやってくる(笑)そういう日々の中で、この銘柄だけは個人的に見つけては購入、積極的にストックをしているんです。ホンモノです。
それが宮島醤油の
「餃子の具でカレー作ってみた。」
というレトルトカレー。どうにもこれ、好きで仕方がないんですよ。
この製品自体ではないのですが、何故だか思い出のカレーということになるんです。これが面白かった。
初めて食べたときにね、電気が走った。この味、知ってる。そうだ、あの屋台のカレーの味にそっくりじゃないか。はるか彼方のおよそ20年前のJR大森駅に記憶のフォーカスが絞られていきます。
海側の改札の向こうにそびえ立つオフィスビル、大森ベルポート。当時いすゞの本社やニフティなどが入っていた大型施設で、当時わたしはそこの飲食店街の中にある、ざっと70席ほどの規模の焼き鳥店の雇われ大将をやっていました。
忙しい店でなかなか休まることのない厳しい環境だったんですが、ひとつだけ楽しみがありました。それはビルの裏にあった公園前にお昼に店を出すカレー屋台の軽バンです。ちょっと面白いカレーで勝負をしていたんだよね。珍しい味だったなあ。なんと、ニラをつかったカレーライス。これが本当に美味しくてね、食べたことない方向だったんです。
自店のランチタイムが始まるほんの少し前に急いで買いに出て、店に戻って店を開けて戦争のような数時間をやり過ごして。店を閉めてアルバイトを返してからのお楽しみが、そのカレー。
細か目に挽いた挽肉がたくさん入るカレーで、ぽったりとろりとしています。屋台にはに「辛い味噌入れますか」と張り紙がされていて、その辛みペーストがまた美味しくてね。必ずお願いして一緒に入れてもらっていました。強いニラとニンニクの味、香り。空腹と疲れが同時に払拭される感覚があって、本当に好きだったなあ。屋台が出てたら絶対買ってたあれ。この宮島醤油の「餃子の具でカレー」はあの辛い味噌つけてくれるあの店の味とすごく似てるんですよね。初めて食べたときに本当に電気が走った感覚がありました。とんでもないものに出会ったなあ、と。
今日は思い立って、前も一度やってバチっと決まったスパゲッティ仕立てにしてみました。
スパゲッティはごくごくよくある1.7ミリほどのもので、茹で上がった後に岩塩とブラックペッパーを振りかけてオリーブオイルで和えます。そんなシンプルに仕上げたスパゲッティに「餃子の具でカレー作ってみた。」をどばっとかけます。驚きのマッチングなんだよね、これ。
甘みは裏方に徹し、塩味キメがメインでそこにニラ、ニンニクのパンチ、コクと旨味。うん、中華っぽい。そうなんだけど、でもギリギリ絶妙なバランスでカレー、キーマカレーとしても存在するという精巧なバランスの作り。
書いた通り、混ぜて食べるとどうにも中華の炒め麺の感があって頭が中華料理だと判断を下そうとするんです。そういう中で香りが、ただの中華ではないぞとばかりカレー風味をかもしだし、主張してきます。具材として入ったニラも同じく主張強く、味の印象につながっていますね。バランスというものがあるなあ。
わかっているつもりなのに何を食べているのか、どのジャンルなのかがあやふやになってくる中、強い味が個性を主張してくる、とても楽しい、とてもおいしいカレースパゲッティ 。ああ、たまらない。
わかっているつもりなのに、餃子は中華料理であるとわかっているはずなのにうっかりしてしまうんだよね。
これはもしやブーム前にすでにやって来ていた中華カレーの先駆けでないだろうか。
そんなことを考えました。