夕方。仕事の帰りに少し歩いて秋葉原。ラホールをのぞいてみたんですけど、おやすみ。昼間はやっていたのかな?一箇所、半分だけシャッターがあいていました。
それではともう一軒、近くにあてがあるのでやってきました。
カレーですよ。
よし、やっているね。エレベーターで5階へ上がってみれば、ありがたい、間違いなくやっていました。
営業時間は20時まで。ならば、食べていこうかね。
お店の名は、
「ホットハウス」
オープンしてからまだまだ新しい、金沢からやって来たインド料理のレストラン。
秋葉原のメインストリート、ツクモEXの隣の飲食店雑居ビルの5階。エレベーターを降りるとそのまま店内です。
残念ながら、大変残念ながら、お客はわたしひとり。とはいえこれはイートインチャンスでもあるのでね。
それで、聞けば店の再開が今日からなのだとか。そうか、まだ皆それを知らないからか。みんな、ホットハウス、お店再開しているよ。
さて、注文。
きょうはわりとはじめから食べたいものが決まっていました。ホットハウスの大定番。
「マサラチキン」
これが忘れがたい味なのです。カレーとごはん。シンプルな注文としました。
店内は相変わらずシックで、やりすぎではないけれどしっかり金沢のヘリテイジを感じさせる雰囲気です。
さて、やって来たマサラチキンとライス。
まずごはんがおいしい。これは特筆したかったこと。とてもおいしいんですよ。長粒米ではなくジャポニカ米なのも納得がいきます。それで、日本のお米でぱらり、さらさらという炊き上がりはたいしたものだと感じます。ちょっとすごいなこれは。
カレーは、これは旨味深く本当に素晴らしいもの。大好きなやつです。タマネギがとろりとした食感を残してあって存在感を強くて出しています。粒の黒胡椒ががりりとくるのも心地いい。バターの香り、タマネギの旨みがふわり口中から鼻に抜けてとてもしあわせ。黒胡椒とチリの辛さ、香ばしい風味が渾然一体となって口の中にこれでもかと広がります。やっぱりいいなあ。
鶏肉、これがまた量が多くて期待を裏切りません。そしてこれまた旨味が強くでる。鶏肉自身の品質と同じくらいに高い調理品質を感じます。繊維がさらりとほどけるのが素晴らしい。
ちょうど欧風とインド風の間にあるな、と感じる素晴らしき英国風インドカレー。そんな印象を受けるんですよ。
それはつまり。
金沢という土地で40年ほど前に生まれた、日本人オーナーとインド人コックさんが生み出したインドレストランの味。そこから歴史を刻んでゆき、創業当時から育まれたその味が現代までほどよい状態「日本の古いインドレストランのスタイルとしてのインドカレー」として動態保存されて、いま秋葉原にあるという、これはちょっと奇跡のようなカレーなのです。
そこにわたしが感じた欧風とインド風の中間という感覚の鍵が隠されているのではなかろうか、これを食べるたびにそう思うんです。
とにかく食べてみるとわかるんじゃないかしら、そこら辺のわたしが感じた感覚のようなもの。
思い出すとどうにも食べたくなる、忘れえぬ味なのです。
こういう味を持ったレストランは体験しないのはもったいないよ。