カレーですよ4444(山梨市駅 デリーベイ)山梨のピカリと光るオリジナリティ高いひと皿。

名前は知っていたんですよね。なんどもわりと近くを通っていたはずです。

なぜだかタイミングと気持ちに引っかかってこなくて。なんでかなあ。なんだかんだで後回しになっていたお店があります。正直、大反省です。

 

 

カレーですよ。

 

 

山梨市駅自体にはきたことがありませんでした。甲府界隈ということでどこかカレー屋さんないかしら、と探すときわりと目にしていたんです。

なんでかなあ、と色々思い巡らせると理由は情報不足と思い込み。そこらへんかしら。反省せねばいけないな。

その店、

 

「デリーベイ」

 

という名前。

そのうち、そのうちと、先延ばしになっていたのですが、そんな中、たまたま何かで目にした盛り付けの写真。

おや、これは?!と手が止まりました。

 

それは銀色の楕円形のステン皿にカレーが揺蕩うあれ。ごはんは白い皿に別盛りで添えられます。うむ、これはなにか、こう、あれだ。あれかな?あれだよね。あそこだ。違うのはわかってるけど、ね。あれだな。よし、いってみよう。

 

そんなこんなで山梨市駅前へやってきました。駅前はこぎれいで。それで、地方都市のコアタイムから外れた時間帯でそしてコロナの影響もあって。

エッシャー的影が伸びる暑い昼間のがらんとした町の中にまるで迷彩で隠れるように店がありました。(簡単に言うと、蚊帳がかかってたので見つけづらかった)何度か通り過ぎました。

飾らない感じの店内にホッとさせられます。ちゃんと対策もあって、安心。さて、注文。

メニューもかなり興味深いんですよ。

メニュー名はポエム的(居酒屋さんなんかでね、あ?よね)でも素材的(これは普通の料理の名前。素材と調理法の組み合わせ)でもない、ちょっとロジックというか、味の方向で端的に表現してあるのが不思議な感じ。これでぐっと掴まれます。

 

カレーはインド風、欧風、シーフードとあり、まずこれでおっと思わされます。幅が広いね。

その中でもインド風はキレ、コク、すっきりという方向のカレーソースが3つに分かれているようで、これまた面白い。いやー面白い。全部試したくなります。

考えるとまあ迷うし決まらないのは目に見えていますから。ここはやはり店の名前がつく看板メニューであろうこれを。

 

「デリーベイカレー」

 

に決めました。

 

どうやら野菜が煮込まれているインドカレーに分類されるものの様子。

 

さあ、どんな感じだろう。

しばらく待ってやってきたカレー、おお、これは面白そうだ。このビジュアルはちょっと驚いた。なんだろう、この黒い油状のものは。なんとなく構成としてカレーソース、黒いオイル、赤い辛味部分となっているように見受けられますね。とうかな、どうかな。

 

まずカレーソースの部分。

さらさらで、おお、これ野菜の旨味とコクが素晴らしいよ。日本人が作るインドカレーの美点がしっかり出ている感じ。あーこれはおいしいなあ。

ふちに集まる赤い部分が辛味パートですね、きっと。ああ、やっぱりそう。チリの爽やかでスピード感ある刺激をカレーに加えてゆく役割り。混ぜてなんぼのパートです。

 

黒い油はこちらも別の方向の旨味が深い香ばしさ。

うわーなるほど、こういうものかあ。ちょっとごま油系の香りにも似ています。これ、どうやらマー油である様子。マー油、馬油か!

この3つの要素を組み合わせて食べていくわけなんですが、どの要素も一つ一つが非常に個性的で強いものを持っています。そしておいしい。果たして喧嘩をしないのだろうか、そんなことも思いましたがそれはまったくの杞憂。組み合わせると幅が出て味の変化や厚みを増す旨味に圧倒されるんです。すごい旨い。

 

辛口を選んだんですが、これがなかなかの強さ。混ぜてなんぼ、混ぜて完成とわかっていながらもカレーソースの旨さに負けてカレーソースだけをどんどんすくっては口に入れをやっちゃって。

気づけばけっこうな量を減らしてしまってました。さあ困った。

そこからうっかり気がついて辛味を混ぜていくとちょいと大変なことになりました。いやー痛恨のミス。これがなかなか手強い。汗のかき方尋常では有りません。あれ、この汗の出かた、また思い出すところがあるぞ。どうしてもデリーと言うキーワードが浮かび上がってしまうのですよ。この汗の出かたはカシミールを食べた時のそれ。もちろんそこまでは辛くないですが、それにしてもあの感じが頭をよぎるなあ。この上に激辛もあると言うのだから大したものだわあたしにゃ無理だわ。

 

付け合わせはごはんの皿にタマネギのかなり酸っぱいピックルと同じくキュウリのピックルが乗っています。

タマネギはカレーに混ぜると結構な幅でカレーの印象が変わり、おもしろいですね。キュウリはちょうどいい箸休めという感じです。両方乗っていて意味が出るな、と感じました。

とにかく唯一無二、強い個性を持っている良カレーです。

これは、なんと言おうかね。

カレーと強く対峙させられる、強い強い個性があります。そう感じさせる。そういうカレーでした。

こんなにいいカレーがあったかあ。

 

山梨、奥深いぞ。もっと分け入ろう。