カレーですよ4708(門前仲町 カフェ東亜サプライ)魅惑の喫茶店世界と喫茶カレー。

門前仲町の喫茶店「東亜」は、ずいぶん古くからある記憶がありました。調べると開店は1980年。わたしの高校生の頃からここにあることになります。そうか、門前仲町の交差点の風景を思い浮かべると、確かにこの建物、必ず記憶に上がってきます。

 

 

カレーですよ。

 

 

そうなんです。あらためて思い返せばたしかにわたしの門前仲町での記憶には必ずこの場所、この煉瓦の建物が町の風景としてありました。何気なく風景に溶け込んでいますが、そうだよね、この一角はずっと変わっていないもの。

が、しかし、一度として入ったことがなかったんです。

 

「カフェ東亜サプライ」

 

という喫茶店。

わたしが生まれ育った時代は喫茶店とくればタバコ。両親の喫煙から子供時代タバコのにおいが嫌いになったわたしには長く縁のない場所でした。よくしたもので時代が変わり、いまやノンスタンダードになったタバコの吸える場所。喫茶店がわたしの手に帰ってきた、というわけです。

そんなタイミングで少し前に、メディア業界の大先輩である放送作家の関さんと来たのが初めてだったんだよね。その時にすかさずカレーがメニューにあるのも確認していました。

店内、実にいいんです。正しく昔から続く喫茶店だなあ、ここは。品格というものを感じられます。シアトルだサードウェーブだなどいうものではない、手応えと価値がきっちり料金分以上ある空間がひととき、手に入るのです。古いけどきちんと手入れされた内装は十分なもので、所々の痛みは逆に歴史を感じさせるのです。

当日、国際展示場で開催されたトレードショーで疲れ果て、バスでたどり着いた門前仲町。魚三でビールというにはちと早い15時半。そういうわけで喫茶店でカレーと洒落込んだんです。

 

「マサラカレー」

 

なんていうメニューがあって引っ張られました。ドライカレーも魅力的なんだよ。(隣のひとのやつを見た)

マサラカレーは喫茶店の正しいビーフカレーに特徴あるスパイスを頭一つぶん出っ張らせてやる感じの調味調香。カルダモン、これはパウダーかな。爽やかで青青しい甘い香りがさっとスピード感を持って香ってきます。そこに王道ビーフカレー。この組み合わせはなかなかいいなあ。楽しいなあ。こういうやり方もあるなあと思わされました。勉強になるな。

福神漬けがなんというか、瑞々しくてパリッとしていてとてもいい。いいねえ。福神漬けにもちゃんとランクと品格は存在します。ここ、東亜サプライが出している福神漬けはいいものです。

カレーをたっぷり楽しんで、食後のコーヒー。ゴールデンブレンドはソフトタイプとメニューにありました。香り高く口当たりやんわりとした、酸味に嫌味感じぬ良いバランス。少し温度が下がるごとに苦味より酸味が前に出てくるのが面白い。

たっぷりと休ませてもらったなあ、という感が残りました。

明るい日差しが大きな窓から入る環境に、しあわせな喫茶店での1時間。

喫茶店は、いや、門前の東亜サプライはなんだかのびのびさせてくれるなあと思います。