2021年の年末。大変なことになったんです。業界、一部騒然となっていました。
あのボンベイ、柏のボンベイ。先代の鈴木店主時代から名店の名を恣(ほしいまま)にしていた同店、磯野店主に代替わりしてからその攻めの鋭さが良い意味で増してきたと感じていました。
カレーですよ。
本拠地の柏、初の東京進出の恵比寿、その次の下北沢。そして今回、カレーの街神保町界隈に満を辞しての出店です。
いや、驚いた。
正しくは神田小川町、交差点そば。顔の看板の並びといえば界隈を知る人にはすぐピンとくる場所ですよね。
「カレーの店 ボンベイ 神田」
シックな外観です。
黒い漆喰壁にロービジ的な同系色で「カレーの店 ボンベイ」のロゴ。うーん、カッコいい。
ここは、、以前はなんだったかしら。さんざ通りかかっているはずのこの通りなんですけど思い出せない。思うにこの新しいお店があまりにもこの場所に自然に溶け込み、どっしりした感を醸し出しているからかもしれないです。店内も落ち着いた雰囲気。壁の感じがワイルドなのはご愛嬌(笑)けっこうすごいです。
でもそんなものよりも、あの数々のメニューがこの場所でラインナップされることの方が大事なわけです。
ボンベイキーマ
香ばしいスパイスの香りと挽肉の旨味に心持っていかれるニクいやつ。カシューナッツ、ナス、しめじと他の店のカレーにはない組み合わせの楽しい具材。辛さは控えられていて、肉の旨味でごはんがぐいぐいと進むんです。
そうだ、どこか中華料理のニュアンスも感じるのはわたしの思い過ごしかなあ。クローブやシナモンのような甘い香りからそんな想起をするのでしょう。ここだけの味で、クセになります。
コルマ
ボンベイのコルマは、甘いんです。焙煎玉ねぎの甘味と旨味が背中からおおいかぶさってくるようにざばんと口中に広がるすごいやつ。チキンの扱いにも個性が出るよねえ。ほんのりと甘めに煮込んであって個性的なニュアンスが感じられます。うっすらなのですが、ちゃんと手を入れているのがわかって丁寧さと面白さを感じます。なぜだろうなあ、この鶏肉もなにか中華料理の雰囲気をほんの少しだけ感じます。
とにかくうまいんだよ。本家のものが好きなわたしですが、こういう幅はあるとやっぱり嬉しいもの。
トマトとニンニクのカレー
これ、非常に美味かった。口は辛くないのに汗が出る系のバランスで、それがとても楽しくていくらでも食べられて。個性があるのにクセがないちょっとヤバいやつです。
ほんとうにいくらでも食べてしまう。こわいなあ。
しかもカレーソースが少なめだったとしてもごはんがいっぱいすすむやつなので困り果てるわけです。
ごはん大盛り推奨です。
そして。
おいおい、どうしてこうなったのよ(笑)
メニューに「ナポリタン」とあるじゃあないですか。もちろん食べるわけですが、これがまたちょっともう、たまらない。きちんとおいしいぺったりする感じの幸せナポリタンなんですよ。
ぺったりといいましたがそれはトマトソース周りのこと、仕上げのことで、麺自体は食感よく思うより硬めに振ってあって実にバランスが良いのです。おいしいなあ。たまらないなあ。
これにだね、もうホント非道いんだけど、赤キーマとかのせちゃうのだよ、ナポリタンに。うわーすごいぞこれ。
え?赤キーマなんてメニューは載っていないと?
細かいことは気にしないでよろしい。いろいろと自分で工夫したり発見したりするのもお楽しみであるのだからね。
とにかく大変。ボンベイがスタジオから歩こうという気になる距離にできてしまったわけです。
困ったなあ。界隈、今でさえ選択に困る豊かな幅のカレー専門店があるというのに。いや。困った困った。ほんとに困った(嬉)
いろいろお酒類とかもあって、いいんです。昼間はもうなんか戦争状態で並んで食べるわけですが、夜、落ち着いて自分の一番好きなカレーとワイン、なんてのはいいもんです。
トッピングをおつまみにできるのもいいよね。
小川町交差点そば、1130~2100。日曜休。お酒もある。
忘れずに足を運んでね。