カレーの食べ歩きをしているうちに文作の楽しみなぞ覚えて、それを生業にしたりしてきました。なかなかに楽しく、苦しい道です。
カレーですよ。
とはいえそれだけというふうに線引きをしているわけではなく、メーカーさんのちょっとしたコンサル的なことや、試食などでのアドバイス、テレビラジオ雑誌などのメディア出演や監修対応、登壇、そういういろいろなことをこなしながらの細々続けて20年、というわけです。そんな中でも光栄なお仕事に巡り会えることもあるわけでして。
正月の2本目にもここで書きました、「文春マルシェ」さんとのご縁。大変光栄なことに文春マルシェ様からのお声がけで「美味随筆」の末席にて1本書かせていただきました。もうこの感激といったありません。嬉しさ滲む記事、読んでください。
「文春マルシェ」はグルメな人たちがざわついたニッポンの厳選うまいものECサイト。「え、こんなのお取り寄せできちゃうんだ?!」という驚きが連続する驚異的なお取り寄せECマルシェです。
そんな特別なお取り寄せサイトに、「美味随筆」というコンテンツがあります。ただ食べた感想を書くなんていう単純なレビューではない、作家それぞれのとがった個性を丸出しにしたエッセイです。食のスペシャリスト以外にも馳星周さんや酒井順子さん、浅田次郎さんや阿川佐和子さん、平松洋子さんなど錚々たる執筆陣。震えました。さすがの文藝春秋。緊張しつつ書きました。
https://shop.bunshun.jp/store/u_page/essay_0030.aspx
で、これ、すごいカレーだったんですよね。あっちだけに書いておくのはもったいない。
東京銀座の高級焼肉割烹の
「雪月花 銀座」
というお店があります。
極上の和牛、炭火で焼き上げ、コース、とくればもう想像がつくでしょう。そういう焼肉の「果て」にあるようなお店の料理コースの締めにカレーが出るというわけです。
そんなわけでそのカレーにありつくにはなかなかに高いハードルがあるわけです。
「雪月花カレー」
料理コースの〆として出しているカレーですが常連客用にと製品にしたのだそう。こりゃあ逃す手はないでしょう。
箱の脇にはステッカー。「使用銘柄牛 個体識別番号 松坂牛A5」10桁の個体識別番号が7頭分、表記されていました。うひゃ!どんな子を食べるのかわかるのか。ほかにもロットによって「神戸ビーフ」「松阪牛」「近江牛」などのA5銘柄和牛が使われてるみたいです。なんだそれこわい。
さて、食べてみます。
初めに袋から皿にこぼれるのは美しい琥珀の色の脂。結構な量です。これはこわくない脂。多分美味しくて危ない脂です。あとでやっぱりと思いました。お肉はおっきいのがごろごろではなくずっとすごい肉がとろとろという感じで続きます。気が狂いそうです。
焙煎の果てまでいったタマネギの甘み、煮込みの果てまでいった牛肉の旨味、その二つがとろけて融合して濃厚ねっとり。まさに高級の極みという味、体験になっています。
すごいなこれ。シチューからやってきたカレーですね。これはたまらない。
実はこういう味、食べ進めるとどこかで破綻したりすることがあります。それなりに高級と言われるカレー食べてきて知ってるんですが。ほんの少しえぐみが出たり、飽きがきたりね。それがないんだよ。なんという不思議。
いやこれもう「雪月花 銀座」のお店でちゃんと焼肉割烹全コース終了までいっってからのこのカレーというのをぜひともやってみたいです。
まいった。まいりました。
**これ、文春マルシェで買えます。
https://shop.bunshun.jp/store/ProductDetail.aspx?sku=BM08501
**文春マルシェ「美味随筆」で書きました。やらせじゃなくて全力で書いた。おいしかったから。