カレーですよ4770(池袋 Spring Revolution Restaurant / スプリング レボリューション レストラン)忘れないで。ミャンマーの戦い。

行かなければ、必ず行かなければ、と思いつつなかなかチャンスがなかった池袋のレストランについに行ってきました。

連載の取材という名目で行ったのです。

 

 

カレーですよ。

 

 

だから、というのも変ですが、ガイド付きでした。

レストランはミャンマー料理専門店。ガイドはミャンマー料理研究家の保芦宏亮さん。ゴールデンな組み合わせです。

実は彼、街頭での熱心なミャンマーの募金活動以外にもそのレストランで定期的にボランティアスタッフとして仕事をしているんですよ。それがここ、

 

「Spring Revolution Restaurant / スプリング レボリューション レストラン」

 

2021年2月、ミャンマーで、現在では「Spring Revolution」と呼ばれる軍部独裁者によるクーデターが起きました。もう1年経ったのです。世界はウクライナとロシアの戦争で大変なことになっていますがそこだけで紛争や大変なことが起きているわけではないのです。

ミャンマーは未だ混乱がおさまらず、軍政府から市民へのいわれなき暴行、殺戮と弾圧が続いています。現在ではミャンマー市民が「国民防衛隊(PDF)」という組織を作って抵抗運動を続けており、内戦のようなことになってしまっています。政治イデオロギーはこういう場所では持ち出さないわたしですが、少なくとも無抵抗だったり兵士ではない人間だったりに銃を向けたり、その引き金を引いて命を奪うなんてことはあっていいわけがありません。大変な怒りを感じます。

上の写真、わかるでしょうか。壁一面の千羽鶴です。胸が疼きます。

 

ここ、池袋の駅からほんのわずかな距離にある、「Spring Revolution Restaurant」(通称SSR)はそんな状況下、想いを強く込めて在日ミャンマー人の人々が力を合わせ開業に漕ぎ着けた店です。日本から祖国の弾圧被害者に少しでも支援をしたいという強い意志で経費以外の収益は全てミャンマー支援に充てるという、思い切ったやり方を実行しています。

もちろんスタッフ全員がボランティアで、自分の取り分はなし。みなさんそれぞれ、自身の仕事を持ちながらこの店の運営にボランティアとして関わっているのです。

こんなこと、伊達や酔狂でできることではないと思います。

 

入り口入ってすぐの青い壁には自由と平和への寄せ書きがたくさん掲げられていました。さっきの千羽鶴などみるとそのメッセージと共に胸が痛みます。

とはいえレストランですから、ミャンマーごはん。メシを食わねば始まらないわけですよ。

できることと言ったらここでメシを食ってお金を落とすこと。スタッフの皆さんにエールを送り。労い、話しかけることだと思います。

ミャンマー料理は高田馬場のミャンマーレストランで知っていたつもりなんですが、改めて、ミャンマー料理はどうにもわたしたち日本人の舌によく馴染むんだよね。それも家庭料理的なニュアンスがあると感じるんです。とてもおもしろいな。

 

ウエッタードゥートゥ

串に刺さってるからおでん的なんですが、これはミャンマーのホルモン煮込み。彼の地の若者に人気なのだそう。

この鍋スタイルは料理長が考えたようでなかなかイカしてます。料理長、センスあるねえ。

ピリ辛のタレをつけて食べるとクセになるあじでね。においとかクセもそんなになくて、うまいホルモンです。ちょっとすき焼きっぽいあまじょっぱい味付けでたまらんです。これいいね。

 

ラペットゥ

ご存知の、、ではないか。ないよね。これはミャンマーの伝統食のひとつで発酵茶葉をつかっています。茶葉を食べるというと日本人的には「?」となりましょうが、実はネパールなんかでもそういうのがあるんだよね。ナッツや小魚、ガーリックなどをいっしょに和えてあって、ミャンマーではおかずポジションの料理です。が、これおつまみとして強力にお勧めできるんじゃないか。パンチがきいててたまらん味です。そしておかずになると超飯泥棒なんだよこれ。ヤバいです。白ごはん止まらないです。

 

モヒンガー

これもミャンマー料理の代表的メニューですね。汁そばですが、汁が濃厚。濃くて深いナマズだしのスープに米麺を入れたものなのです。アジアは川魚食べるよねえ。特にナマズはどこにもいるし人気です。SSRの料理長(シャイだけどいい男)はナマズは使わず鯖をすり身にして使った上手なアレンジで濃厚ですごいおいしいスープを作り上げました。これが最高にうまい。おすすめ。気に入りました。

 

チェッターヒン

保芦宏亮さんのレトルトでお馴染みのあれ。チキンの煮込みかけごはんです。実は現地のオリジナルを見るとアレっと思うはず。本家はご飯と合わせて食べる鶏の魚醤煮込みなんだよね。お味にクセはなく、まるで日本人のお母さんが普通に毎日作りそうな日本のお惣菜を彷彿とさせる味で驚かされます。

 

こっちが保芦さんのやつですね。

特別にレストランで食べ比べをさせてもらいました。彼が日本で製造販売するレトルトのチェッターヒンとの違いは顕著。

料理長の本場仕込みのやつと保芦さんのオリジナルレトルトチェッターヒンとの食べ比べをさせてもらいました。これはなかなか体験できないぞ。

彼のチェターヒンは激辛のキワキワを攻めに攻めた逸品で、「辛くて食べられない!」と「うますぎて辛いのに止まらない!」の境目をミリ単位でチューニングしてあります。それを日本人的にカレーアプローチでまとめたものはヒロスケチェッターヒンなのです。まったくすごいバランスなんだよね。

辛いものが苦手なあのマツコデラックスさんが番組内で食べて夢中になった。アレ。

どうやらミャンマー人からも好評、好意的に受け取られているらしいです。

アメーダーヒン(牛肉使用)も食べましたが、また味わいが違ってよかったよ。アメーダーヒンはチェッターヒンよりも味の幅が厚い感じがします。ビーフだからかなあ。

 

ミャンマーのみなさんはお店で穏やかに仕事をしていますが、心中穏やかでないのは当然でしょう。しかも自分の仕事を皆さん持っていてのさらにこのお店の手伝い。本業と二足のわらじは本当に大変なことであろうと想像できます。そういう中でそれでも祖国の困っているひとたちへの思いから、彼らはここでの努力をやめず、日々が続いています。

わたしたちお客はぜひそれに歩み寄って、心を重ね、労りの気持ちをを持ちながらミャンマー料理と彼らにに接するといいと思います。祖国を想い頑張る彼らの尊い行動を毀損してはいけないよ。飲食店でよくサービスだなんだに文句をつけるような輩は近づかない方が良いと思います。

頑張る彼らにみなさんはぜひ声をかけてほしいと思っています。恥ずかしがりやの彼らからこちらに話をしてくる余裕はまだないと思うんです。だから、こちらから。自分の国に興味を持ってくれる人に好意を感じるのは当たり前。彼らにミャンマー料理が美味しかったこと、ミャンマーという国に興味が出たこと、今起こっていることの真実を知りたいこと。そういうのを聞いてみてください。きっと彼らは答えてくれます。喜んでくれます。そういうのがね、すごいモチベーションになるんだよ。

毎日自分の仕事で疲れ果てて、さらにこの店で頑張っている。そんな彼らをいたわってあげられる選ばれし人こそ、この店に行くべきだと思っています。

 

この日の取材記事は月刊男性誌「エキサイティングマックス!」の本日発売号に掲載されています。

是非読んでみてください。