箱根、御殿場、富士山界隈。帰り道はいくつかあって、お気に入りは山中湖を経て相模湖に抜ける道志村ルート。淡々と20号を戻るのも悪くないなあと思っています。134号をなんとなく海沿いに帰ることもたまにあります。ようするに下道が好きなんです。
カレーですよ。
そんな中であまり使わないのが246号。むかしむかし、あの246が、オシャレな246が富士山まで続いているのか!と知った時は驚いたもんです。道ってのはそういうもんですが。
その246号。下りで秦野を過ぎ渋沢を越えると突然山深い道になるんです。雰囲気ががらりと変わってそれがなかなかいいんだよね。そういう峠道、山道の途中にいつでも気になるお店がありました。
夜、煌々と灯りがつくその看板には古い字体で、
「みや古食堂」
とありました。
面白い場所、つくりでね。ロードサイドにトラック溜まり的な駐車場、休憩スペースがあります。よくあるでしょそういう場所。そのさらに内側にもう少し小さな駐車場があって、そこにはトレーラーは入れないようになっています。地元の軽トラやバンが停まっているのが見えてね。そこが「みや古食堂」。
何もない山道に突然あって、クルマからもよく目立つお店です。トラックドライバーの憩いの食堂、そういう雰囲気でした。好きなタイプのレストラン、いや、食堂だねえ。通りかかるたびにいいお店だな、と思い、やっている時には何度か入ってメシを食ったこともありました。とても満足でした。
この夜は19時少し回ったくらいだったかな。通りかかって電気がついているのを見て間髪入れずにウィンカーを出しました。たしか20時までやっているはず、、、じゃなくて。違う、そうじゃなくて、営業しているじゃないですか。驚いた。
たしか店仕舞いをしたはずなのだけど。風の噂で親父さんが亡くなってお店を閉めたとかなんとか聞いていました。本当かどうかも確かめられぬままであったのですが、このよりは間違いない、やってます。ホッとして、以前よりもなんとなく愛想のいいおねえちゃんたちに促されて席に着きました。
「ハムカツカレー」
を頼むことに。
サラダももらうか、と頼んだらおねえちゃんが「カレーにはサラダついてますよ」と親切に教えてくれました。ありがとう、ありがとう。
さて、カレーだよ。
期待をしていたともいえるし期待はしていないともいえるんですよ。それはつまり、悪口でもなんでもなくてね、こういう食堂で出てくる正しいカレーライスが出てくるであろうという予想。そのことをいっています。そして、それは間違いがなかったことがわかります。
どろどろとして昔風で、正しくニッポンのカレーライスがハムカツを頂きに載せて登場しました。ああ、うれしい。
ハムカツが、どうにもうまい。うまいんだよ。ちゃんと揚げたてで、ちゃんと安っぽくて(ハムカツとして正しいことなんだよ。こうじゃなくちゃいけない。ほめてんの)しかも厚切りだし。とてもいいねえ。とても好みだ。テーブルにはトンカツソースも用意されていて、全くもって抜かりがないわけです。カレーはとても当たり前の味がして、これがまた実にいいわけです。この場所のこのお店だったらこうでなくてはいけないよ。
誰も見ていないのに、ハムカツにソースをかけるふりをして、カツからこぼれちゃったという体を作ってソースをカレーにかけてやります。なにやってんだ(笑)ああ、ますますうまい。たまらない。
好みの問題でハムカツは単独で食べて、カレールウ(この場合はルウと呼んで良いと思われるわけです)にひたしたりはしないんです。ありがたいことに盛り付けでハムカツにカレーがかかっていないのがますますありがたい。ああ、すばらしい。
サラダもなかなか良いもので、自分ではチョイスしないオレンジ色の方のイタリアンドレッシングがかかっているのも嬉しいポイント。
そうそう、こういう感じが気分です。
こういう場所で食べるべきカレーライスをこういう場所にあるべき形で楽しめたことに感謝の念を抱きました。
いつも思うのですが、食堂だしニッポン丸出しだし昭和だし。でもなぜか、アメリカの荒野の中をつらぬく一本道の、その途中にひっそりある小さな小さな町の、そのまたはずれにあるロードサイドダイナー。そういうのを思い出すのです。なんでだろうな。
とにかく末永く繁盛して頂ければと祈ります。お店のみなさんと常連さんたち、頑張ってね!応援しているよ。