カレーですよ4802(千葉五井 Samanara)本国のちょっと洒落たホテルのような雰囲気。

千葉、五井駅から少し歩いた場所にあるレストランに行ってみたかったんです。実は何度か通りかかったことがあるお店。時間が悪かったりタイミングが悪かったりでいつも立ち寄れないままでした。

 

 

カレーですよ。

 

 

この晩はたまたま意識したわけではないんですけどクルマで通りかかりました。ちょうどタイミング良く店の明かりが灯っていたんです。お、よし、夕ごはんだ。急いで引き返して食事をすることにしました。

なぜ行ってみたかったかというとね。

ここ、

 

「サマナラ」

 

というお店、いくつか気になるところがあったから。いつも通りかかると見えるのですが、スリランカレストランを看板に掲げているところ。それと、建物が実に雰囲気があって、本国のちょっと洒落たホテルのような雰囲気なんですよね。ちょっと気持ちが惹かれるものがありました。夜になればその感はますます濃厚で、まるで本国のコロンボの隣にある小さな町、懐かしいマウントラビニアに戻ってきたかのような気分になります。ひと月ほど彼の地に滞在していたことがありました。

お店に入ると店内も外観に見合う雰囲気がありました。材料を惜しまずにたっぷりと使った重厚なテーブルは雰囲気があり、ここが食堂ではなくレストランであることを教えてくれます。照明も雰囲気あるいいものが使ってあり、古いお店のようですが行き届いているのが感じられました。

ちらりと見えるガラス貼りのキッチンの壁がね、コンクリート剥き出しというセンスでこれはなかなかいい。現地の感じがあります。いいなあ。現地のドキュメンタリーなんかで映像に出てくるような白っぽい照明にハッとさせられてそれがまたとても良いんです。

さて、料理はどうするかな。メニューを見ると主にムガル料理が中心のようで、そのなかにちらりとデビルチキンなどあってスリランカの料理も楽しめるようです。スリランカ生粋の料理はメニューに少ないようですが、この立地で長く営むレストランであれば当然のチョイス。日本人にわかりやすいところから持ってこねばならないはずで、至極真っ当です。

さてそんな中で選んだのが、どう考えても飛び道具であろうと思われるこれ。

 

「JEFカツカレー」

 

うふふ、何かちょっと感じるものがあったのですよ。ここはご存知のJEF Unitedのご当地なわけです。ホームは蘇我にあるスタジアム。わたしがよく使うガソリンスタンドの向かい側。あそこからわずかな距離のこの場所ならなるほどのメニューで、実はスタジアムにも出店しているのだとか。なるほどそれでこのメニュー。スタグルというやつだね。食事の途中でオーナーであろう日本人の紳士が教えてくれました。この店はJEF Unitedのスポンサーショップなのです。

さて、JEFカツカレー。これが思わぬ良いひと皿だったんです。

JEF Unitedとくれば思い出す、チームカラーのイエロー、グリーン、レッド。ユニフォームなどのカラーがこのメニューに落とし込まれていますよね。黄色はダール、緑はサーグ。赤はキーマでね、なるほどなるほど。

ダール

ぽってりと水分少なめ、マッシュポテト様に仕立てられています。豆はあらかた溶けているんですけどそれが良い。スタンダードな味付けで、他の料理の邪魔をせずに、なおかつ他と混ぜると力を発揮するタイプのものです。ダールはこういうのがいいよね。

キーマ

少し甘味と酸味感じるふくよかさ。グレイヴィのフワッとした感じと挽肉の食べ応えが楽しい対比です。思うに玉ねぎ量が多めになっているのではなかろうか、と感じます。それでふわりとして甘味コクが深くなったのではないかしら。味の方向やスタイルが本当に幅広いキーマカレーの、これはちょっと自分のベンチマークになってしまいそうな大変好みのものだったんです。とてもおいしい。

サーグ

サーグの美味しさに驚かされてしまったよ。実はもともと苦手なサーグ。好きとか嫌いではなく食べてもぼんやりしたものが多いと感じていました。これはエッジを立てずに個性を出せているすごいもので、なかなかないんじゃないかな。甘くまろやかな香りとお味。それにムースのような食感。冗談や例えではなくもうほんの少しだけかためればこれはほうれん草のムースと言えそうなものですよ。インド料理というよりも西洋料理のニュアンスがあるなあ。舌へのあたりの柔らかさとふくよかさは特筆です。これは大したもの。

どのカレーも水分を控えてあり、ごはんの上にかけて完成させるこの料理のスタイルに合わせて調整してあるのがわかります。

カツはといえば、これも上出来、トンカツ店ではなく洋食店のカットレット的な仕上がりで満足いく内容なのです。下味の黒胡椒と塩が効果的でカレーソースに浸さずともそのままでうまい。そのままの方がいいかもしれない。いやこれおいしい。

テーブルに生けられた生花、ミモザが置かれていたりして心が和みます。コップの意匠やきちんとした接客と目配り、どこを見てもレストランとしての矜持を持ってやってらっしゃるその態度にこちらも背筋が伸びる気持ちになりました。

同じ千葉で言えば検見川のシタールに迫る30年越えの営業年数にも納得がいきます。

うん、良いレストランに巡り会えたね。