カレーですよ4803(東日本橋 ダクシン)驚愕!ダクシン冷凍試食会。

カレー好き、うまいもの好きなら検索すれば必ず目にするはずのブログ「◆毎日カレー◆と★タイ料理★ by エスニカン」 http://blog.livedoor.jp/ma888tsu/

日本の食ブログの中でも超老舗のブログ運営をしているエスニカンさんからおもしろいおさそいがきたのです。

 

 

カレーですよ。

 

 

東京の南インドレストランの中でももうぼちぼち老舗に数えられるであろう店が東日本橋、わたしの路線でいうと都営新宿線の馬喰横山駅が最寄りにあるんですよ。馬喰町の繊維問屋街にここが出来た時は驚いた記憶が強くあります。地上4階、地下1階のビルを丸ごと南インドレストランにしちゃったというすごいお話で。

入り口に、多分今でも日本最大であろう巨大ドーサ鉄板が鎮座していて、はじめて店を訪れた時に仰天したものです。

当時はまだまだドーサ自体が珍しかったもんねえ。そんな、

 

「ダクシン」

 

が新しい試みを始めたのだとエスニカンさんからうかがったんですよ。

なんでも冷凍料理のECサイトを展開することとなったという話し。そういう話はいま、とても多いです。

コロナ禍での飲食店の売上の取り方として取り組むお店が多いのが冷凍惣菜の販売です。比較的初期投資が軽くとっかかりをつけやすい。また、お客さんたちも冷凍のレストラン料理に抵抗がなくなってきていると感じます。クール宅急便、高いじゃない、そういう人が多かった昔ですが、コロナ禍であることと、よく考えたら電車賃と運送費、そんなに変わらないかも、とみんな気づき始めたんです。

なので冷凍料理の販売、そんなに珍しい話ではないよね。

そう思ったのは実は大間違いだったのです。ダクシンの取り組み、ちょっと規模が違っていたよ。

 

凍眠(とうみん)

という技術をご存知でしょうか。食品の細胞膜を壊すことなく冷凍ができる技術で品質の変化がとても少ないもの。液体凍結という手法で食品を-30℃の液体(アルコール)で冷凍します。通常の冷凍は冷気冷凍ですが凍眠は液冷。冷気に比べ液体は熱伝導率が非常に高いので効率が良い、というわけです。

メリットとして、凍結時間短縮での作業の時短、解凍時の再現性、菌が繁殖しやすい温度帯を素早く通過、衛生的である点、それと食品内水分の凍結からくる水分の結晶化の過程で氷結晶の膨張を短時間冷凍のメリットで小さく抑えられます。それで細胞破壊を防ぎ、解凍後も高い再現性を維持。つまりドリップが出にくいんですよ。ドリップ、あれ、旨味のかたまりだからね。

凍眠凍結後は一般冷凍庫で保存可能で常温・低温・加熱・流水など解凍方法は問わないのも素晴らしい。へえ、すごいな、凍眠。

 

とまあ少し調べて勉強もしてみました。

聞き及んではいたのですが、改めて確認するとこれはなかなかにすごい技術なのですよ。興味津々です。

そのテクニカン社が提唱する技術を活かした冷凍食品製造設備をダクシンがお店内に導入(!)、通販サイトを3月に立ち上げたのです。実はこのコロナ禍が続く状況と食品業界の変化とに相まってわたしも最近冷凍関係の技術などにすごく興味を持っていて、渡りに船の話しだったんです。

エスニカンさんが間に立ってくださり、小野員裕さん、スパイシー丸山さんと共に試食のご相伴とあいなりました。

久しぶりのダクシン、まずはこの日のランチをいただきながらオーナーのラターさんにお話を聞きます。この機材の投入は外食店舗での導入事例は初めてなのだとか。なるほどそうなんだ。

 

話しをうかがいながらもダクシンのミールスが実に旨いんですよ。

昨今、インドレストランが本当に数多く増えていて、そのなかでもきちんとおいしいお店というのを探す情熱というか、大変さを抱えるのがいささか負担に思えていたんですが(良い店を見分けるのがなかなか大変だとおもう)、ここダクシンの料理を食べるにつけ、その情熱がよみがえります。明らかにおいしくて、やはりちゃんとおいしいものを食べたいと思い直すわけでですよ。そうかあ、こんなによかったっけか、南インド料理、なんてね。思うんです。

ダクシンという店の成り立ちやラターさんのスタイルというものもきちんとあって、素材にこだわり、良いものを良い形で出そうとする努力を怠らないお店であり、だからこそそれがちゃんと味に出ています。うーん、これはもう食べれば誰にだってわかるというものですよ。

 

「南インド定食」

 

をいただきました。3種あるトゥデイズカレーから辛口のベジタブルマサラとプロウンカレーをチョイス。そこにサンバル(野菜煮込み)とラッサム(酸っぱいスープ)、バトゥラ(揚げパン)、ライス、サラダ、パパド(豆の揚げ煎餅)がセットされてきます。

どの料理もホントに美味しくてね、ごはんに好みで混ぜていくことによってその強弱と素材の味が前に出たり融和融合したりと楽しくて仕方がありません。舌が「いまいいもの食べてるよ。頭にもカラダにもいいものだよ」と反応してきます。ああ、とても楽しい。(これは当然冷凍ではないんです。毎日提供されるランチだからね)

 

そののち、今日の主題の冷凍製品を見せていただきました。

まずパッケージ。パッケージが非常に美しい。これだけで圧倒されたんだよ。レストランがオリジナルで作る冷凍食品、なかなかパッケージまで手が回らないと思うんですよね。致し方ないところもあると理解できます。でも、冷凍宅配便の段ボールを開けて色気のない原材料ラベルだけが貼り付けられ、白く霜のついた真空プラパックが剥き出しで出てくるのと、こっちが出てくるのと、どちらが「ああ、お金を払ってよかった」と思わせるだろうか、という話しです。言わずもがなだよね。

これだけでラターさんがどういう想いでどれくらい真剣にこの事業に取り組んでいるのかがわかります。

ECサイトもそうなのですが、パッケージもね、まず写真が美しい。完成写真が載っていて、なおかつどれが美しいと期待感が高まるし、やる気ってもんが起きます。コックさんたちスタッフの写真を載せたのも良いよねえ。これからインド料理を食べるのだぞ、という気持ちが強く湧き上がって楽しい気持ちにさせられます。

 

ダクシン10周年のアイコンも、ハラールマーク、トリップアドバイザーのバッヂなどもいいね。和紙を配した外袋も非常にセンスよくてこの製品の価値を高めてくれています。これはこのまま気の利いたギフトにできるセンスがあるね。ちょっと覚えておくと良いと思います。そうか、文春マルシェにお薦めできるんじゃないだろうか。そんなことも思いました。

 

そしてそのラインナップです。これがもう驚くほどの商品幅。ダクシン、そのままメニューを全部冷凍しちゃったか?と思わせる幅広さなんですよ。

https://dakshin.jp

 

もちろんそんなわけないんですが、厳選しているんだけど、でも「ナーンとカレー」ではないんだよね。

ちゃんとコースを組めるような内容のラインアップで圧倒的。すごいです。

 

アラカルトの「カレーではない」インド料理。「南インドおつまみ」と分かり易いタイトルがつけられているやつはこれ。

ハイデラーバード・チャパ・ヴェプド、カリフラワー・マンチュリアン、ウディン・ワダ、カライクディ・チキン・チュッカとレモンライスセット、バンガロールチキン・フレークとスンダルセット、チキン65(インド風チキンから揚げ)とクスカセット、エラ・チェティナード、、、おいおい、冷凍ワダとか揚げ物があるぞ、、

 

「南インドカレー」のタイトルのページはこれ。

コリ・ヴァルタ・カリー、ベジタブル・マサラ、ケララ風魚カレー、コチン・チャミン・カリー、チェテナード・チキンカリー、ムッタイ・クルマ(たまごカレー)、カッタリカ・カラ・コヤンブ(なすカレー)、キーライ・コットゥ、マイソール・マトン・キーマカリー、、、

うむむ、マニアがちょっと涙ぐむようなものまで、、

 

「南インドクレープ、蒸しパンとパン」のページには、、

ヴィーチ・ポロタ(1枚)、マサラ・ドーサ、チャパティ、イドリ(3個)、、、

えええ、パン類かよ、、、冷凍!!

 

色々とおかしいわけですよ。なんでやる?なんでできた?の連続で。そして安心のバターチキンやチーズナンなども用意されていますので。ビリヤニもレモンライスもあったよ。万能だよこのECサイト。

気になった「冷凍のマサラドーサ」(!)を試食させてもらっんですが、いやこれが驚きの再現性で。もう「冷凍マサラドーサ」というキーワードだけでぶっ飛ぶわけですが。

しっかりと皮のはしっこのカリッとした食感の部分までじょうずに再現されてます。え、なんで?あ、そうか、水分がおかしなふうにでないからこういうことができるんだ!なるほどねえ。

凍眠(とうみん)技術、恐るべし。驚かされます。

 

この日はエスニカンさんがねじ込んだらしい(笑)サンバルワダの冷凍試作のものも出してもらったのですが、もうこれがね、すごい。ランチに毎日これだけ食べて、それでいいんじゃないかっていうくらいの感じ。大変な美味しさです。

ワダもサンバルもレギュラーの冷凍製品としてあるんですが、わざわざサンバルワダにしてから冷凍というこのこだわり、こういうこともできちゃうのが自社、自店舗で設備を持っている環境ならではなわけですよ。

ほかにも珍しいしパンの試食させてもらいました。冷凍解凍でこの感じはすごいなあ。どれも気をつけないとレストランそのまんまだ!と思ってしまう仕上がりです。

実はこの日、帰りにラターさんから「おうちで試してください」と数点、冷凍製品をいただきました。

選ばせてもらったんですが「バターチキンとナーン」をいただいたの。笑うところであるが(ここはバリバリの南インド料理店/笑)笑い事ではないのだよ。

日本人に一番なじみの深いバターチキン。甘くてクリーミーで、、、は間違いです!チキンバターマサラ、本当にいろいろなスタイルがあって、甘さだけではない本物を食べた時に意識がひっくり返るような体験があるんだよね。なので注目をしているジャンルです。

いやマジでバターチキンだけの連載とか書きたいもん。

冷凍のバターチキンを取り扱う店もずいぶん多くなったんですが、ダクシンのこれが本物であったら業界再編となるやも知れぬポテンシャルがあると感じるんです。

そんな事を思いながら選ばせてもらいました。

さて、如何あいなるかしら。